ニデックの2025年4〜6月期業績速報と株価動向

2025年7月24日に発表されたニデック株式会社の2025年4〜6月期(第1四半期)の業績速報によると、営業利益は前年同期比で2.3%増加し、営業益は614億5,000万円となりました。一方、売上高は前年同期比で1.6%減の6,378億9,900万円、最終利益は18.7%減の455億1,500万円となりました。この業績の中で、特に営業利益の増加が市場予想を上回ったことから、株価は3連騰し、3,000円の大台を超えて年初来高値を更新しました。

円高による収益圧迫と事業構造改革の効果

円高が前年同期よりも進行したことは、売上高や最終利益にマイナスの影響を与え、収益を圧迫しました。為替変動は国際的に事業を展開する企業にとって避けられないリスクですが、その中でもニデックは営業利益を増加させることに成功しています。

背景には、精密小型モーターの堅調な販売や、特にデータセンター分野での事業拡大があります。また、継続中の事業構造改革もプラスに作用しており、これらが営業利益の増加につながったと見られています。

子会社取引調査による開示延期と今後の影響

一方で、イタリアにある連結子会社に関する貿易取引上の問題や関税問題が判明し、これに関する追加調査が継続中です。この調査の影響で、第1四半期の決算短信の正式な開示は予定よりも遅れ、四半期末後45日を超える見通しとなっています。

調査結果によっては、費用の追加計上などが必要となり、今回の速報値に修正が入る可能性もあるため、投資家は今後の動向に注意を払う必要があります。

株価への市場の反応と展望

営業利益の増加を中心に、今回の速報値発表を受けて市場では安心感が広がりました。その結果、ニデックの株価は7月25日までの3日連続で上昇し、年初来高値を更新。強い買いが入り、3,000円の大台を突破しました。

これは、為替の逆風を受けながらも本業の収益力を維持している点が高く評価されたためと分析されています。特に精密小型モーターの好調な動きや、成長分野であるデータセンター関連ビジネスの拡大期待が投資家心理を後押ししました。

注意点と今後の注目ポイント

  • 最終利益は大きく減少しており、これは円高や子会社の調査問題が影響している点に注意が必要です。
  • 調査の結果次第で決算内容に修正が入りうるため、正式な決算短信の発表が待たれます。
  • 為替の動向や国際貿易環境、そしてニデックの事業構造改革のさらなる進展具合が今後の業績に影響を及ぼします。

まとめ

ニデックの2025年4〜6月期の営業利益は前年同期比で2.3%増加し、市場予想を上回る堅調な結果となりました。そのため株価は年初来高値を更新し、3連騰で3,000円の大台に達しました。

しかしながら、円高による収益圧迫やイタリア子会社の貿易取引調査の影響で最終利益は大幅に減少しており、正式決算の開示延期や将来的な修正リスクも存在しています。投資家はこれらの点を踏まえつつ、堅調な本業の動向に注目していく必要があります。

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