青森県六ヶ所村で画期的な新型スーパーコンピュータが公開

2025年7月28日、青森県六ヶ所村にある六ヶ所フュージョンエネルギー研究所で、核融合発電の実証に向けた新型スーパーコンピュータが公開されました。このスーパーコンピュータは、1秒間に4京400兆回という膨大な計算能力を誇り、従来の性能の約10倍の処理速度を実現しています。量子科学技術研究開発機構と核融合科学研究所の共同調達により設置され、核融合エネルギーの実用化を強力に支える中核技術として注目されています。

核融合発電の夢を支える最先端技術

核融合発電は、太陽のエネルギーの元となっている原理を人工的に再現し、膨大なクリーンエネルギーを生み出すことを目指した技術です。六ヶ所村の研究所では、日本とヨーロッパの国際協力のもと、核融合炉に必要な材料強度試験や計算シミュレーション、遠隔操作実験など、多角的な研究開発が進められています。

今回公開されたスーパーコンピュータは、核融合プラズマの複雑な挙動や材料の熱放射・損傷を正確にモデリングするために不可欠であり、フュージョンエネルギー研究の加速に大きく貢献すると期待されています。この計算能力の向上によって、シミュレーションの精度と速度が大幅に改善し、核融合炉の設計や実験の効率化が可能になります。

六ヶ所フュージョンエネルギー研究所と共同調達の背景

六ヶ所村には、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構の六ヶ所フュージョンエネルギー研究所が所在し、核融合エネルギーを目標とした研究の拠点となっています。この研究所は国際熱核融合実験炉(ITER)計画を支援・補完する位置付けにあり、日欧間の高度な連携体制を築いています。

今回のスーパーコンピュータ導入は同研究所と核融合科学研究所が共同で調達したものであり、その性能は従来機の約10倍に達します。これにより、六ヶ所村の核融合研究の環境が大きく進展し、将来的な核融合発電の実証実験や開発が迅速に進むことが見込まれています。

一般公開イベントも実施

この新型スーパーコンピュータの公開に合わせて、2025年7月27日には六ヶ所フュージョンエネルギー研究所の施設公開イベントが開催されました。イベントでは、「核融合炉をVRで体感する」体験や科学実験コーナーが設置され、幅広い年代から多くの参加者が集まりました。

また、最新の研究紹介や量子科学技術研究開発機構の取り組み、そして今回のスーパーコンピュータの威力を生かした未来のエネルギー展望がわかりやすく紹介され、核融合エネルギーの実用化に対する社会的関心も高まりつつあります。

地域と共に歩む核融合研究の未来

青森県六ヶ所村はこれまでも日本原燃の再処理工場をはじめ、原子力関連施設の誘致・整備が進められてきました。今回の核融合発電を支えるスーパーコンピュータの稼働は、地域の技術基盤強化だけでなく、世界最先端のエネルギー研究の一端を担う重要な役割となっています。

国際熱核融合実験炉(ITER)をはじめとする国際プロジェクトの中でも、六ヶ所村の研究施設はその高度な計算シミュレーション技術で存在感を示しており、この新たなスーパーコンピュータが核融合発電の実証にどのように寄与していくのか、今後も注目が集まります。

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