人事院勧告で国家公務員の給与、25年度から大幅引き上げへ

2025年7月27日、人事院は国家公務員の給与を民間の大企業並みに引き上げる勧告を発表しました。これは4年連続の増額勧告となり、特にキャリア官僚の給与水準を大幅に改善することが柱です。今後、中央省庁の国家公務員の給与は、従業員数1000人以上の大企業の水準に近づけられ、2025年度(令和7年度)から実施される見込みです。

背景と目的

人事院は国家公務員の給与を決定するにあたり、民間企業の給与実態を詳しく調査し、比較して適切な給与を勧告しています。令和7年度の勧告では、民間給与の調査対象の見直しを行い、労働市場の実態に即した大幅なベースアップが示されました。労働基本権が制約される国家公務員に対し、代償措置としての重要な給与勧告です。

この動きは、長期的な物価高騰や実質賃金の低下に対応し、優秀な人材を安定的に確保して国家行政の効率を高めるために不可欠とされています。政府の「骨太の方針2025」でも賃上げを軸にした成長型経済の実現を掲げており、国家公務員の賃金引き上げはその先導的役割を担うものとして位置づけられています。

今回の勧告の主なポイント

  • 給与改善幅は約4.4%増加(定期昇給分を含む)で、約30年ぶりの高水準のベースアップとなる。
  • 民間企業との給与差額(官民較差)は約11,183円で33年ぶりの大きさ。
  • 中央省庁国家公務員の給与水準を、従業員1000人以上の大企業の水準に引き上げることが狙い
  • 給与引き上げはキャリア官僚に特に重点を置き、優秀な人材確保を目指す。

政府と人事院の対応

国家公務員の給与は、物価上昇や労働市場の変化を反映しつつ慎重に運用されます。人事院は毎年、民間企業の給与データを詳細に調査し、対比によって増額や引き下げの勧告を出しています。今回の勧告は厳しい財政状況であるにも関わらず、実質賃金の低下を食い止めるため、かつ国家の行政効率を維持・向上させるために重要視されています。

総務省や厚生労働省、大臣クラスもこれを重視し、地方公務員の給与や制度整備にもその影響が及ぶ形で、給与体系の持続可能な見直しが求められています。特に若年層の待遇改善は喫緊の課題として政府内でも認識されています。

民間企業との比較と今後の課題

今回の勧告で対象となる比較企業は、従業員が1000人以上の大企業に限定されています。これまでの比較対象が中小企業を含む広範囲だったのに対し、より大企業の水準に肩を並べる形での引き上げが意図されています。このため、公務員給与が民間に対してより競争力のある水準となり、転職や人材流出の抑制につながる期待があります。

一方で、民間と公務員の給与格差解消は単なる賃上げだけでなく、労働環境の改善や職務内容の見直しも伴うため、今後の継続的な議論が必要です。人口減少や働き方改革の流れもある中で、国家公務員の給与制度の改革は今後も注目されます。

まとめ

今回の人事院勧告により、令和7年度から国家公務員の給与は約4.4%アップし、キャリア官僚を中心に大企業並みの水準に引き上げられます。物価高騰が続く状況で実質賃金を守り、人材を確保して効率的な行政運営を目指す狙いです。これにより、国家公務員の待遇改善が進み、地方行政などにも影響が波及する見通しです。

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