モルガン・スタンレーがレーザーテックを格下げ

2025年7月28日、米国の大手投資銀行モルガン・スタンレーは、半導体製造装置大手のレーザーテック(コード番号:6920)の投資判断を引き下げました。これは、主力製品であるEUV(極端紫外線)リソグラフィー向けの需要が「踊り場」を迎えたとの見解に基づくもので、今後の成長に対して懸念が示されています。

背景にあるEUV需要の鈍化

レーザーテックは、半導体製造に使われるマスク検査装置の分野で世界的な存在感を持っています。特に最先端のEUVリソグラフィー技術向けの装置は、半導体業界の微細化推進に不可欠ですが、ここにきてEUV需要の伸びが一時的に停滞する局面を迎えています。モルガン・スタンレーはこの状況を受け、レーザーテックの成長に対する期待を見直した格好です。

市場への影響と他アナリストの見解

同様に、モルガン・スタンレーMUFG証券(MSMUFG)もレーザーテックの投資判断を引き下げており、マスク用装置市場の「踊り場」入りを示唆しています。この報告を受けて、レーザーテックの株価は2025年7月28日に約6%の下落を記録し、投資家心理に影響を与えています。

しかし一方、アナリストのコンセンサスは「中立」となっており、強気寄りの意見も根強く残っています。2025年7月27日時点のレポートでは、18,000円台の目標株価が示されており、今後10%超の値上がり余地を期待する声も聞かれます。

業績は好調も先行きに慎重な見方

レーザーテックの2025年6月期第3四半期決算は、売上高1688億円(前年同期比7.4%増)、営業利益793億円(同36.5%増)と増収増益であり、サービス売上高が特に61.3%増加しました。通期予想も高い成長見込みが示されているものの、市場の一部ではその成長に一服感が出てきているため、株価は短期的に不安定な動きを見せています。

株価の短期動向と市場の反応

2025年7月中旬以降、レーザーテックの株価は下落トレンドが続いています。テクニカル指標でもリバウンド力が弱く、短期的には18,000円付近までの下落が予想されています。多くの投資家が反発を待っている段階で、決算発表に向けた警戒感も強まっています。

投資家の今後の注目ポイント

  • EUVマスク用装置の市場動向と需要回復の兆し
  • 8月7日に予定される次回決算発表の内容
  • グローバルな半導体製造投資の動向

これらの要素が、株価の回復または更なる下落を左右すると考えられます。

まとめ

モルガン・スタンレーによるレーザーテックの格下げは、半導体製造装置市場、とりわけEUVリソグラフィー関連の需要動向が一時的に鈍化していることに端を発しています。業績自体は好調を維持しつつも、投資家には慎重な姿勢が求められそうです。今後の市場環境や次回決算の発表内容が、レーザーテックの株価や評価に大きく影響を与えるでしょう。

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