トルコの信用格付けがムーディーズにより「Ba3」に引き上げられる
2025年7月25日、世界的に著名な格付け機関ムーディーズは、トルコの長期信用格付けを従来の「B1」から「Ba3」へ引き上げました。この格付けの引き上げは、中銀がとった金融政策を評価したものであり、トルコ経済の安定化に対する期待が高まっていることを示しています。格付けの見通しは「安定的」とされ、今後の財政運営に対しても楽観的な見方が示されました。
ムーディーズによる格付け引き上げの背景
- インフレ率の大幅低下:トルコのインフレ率は2024年6月の約72%から、2025年6月には前年同期比で約35%にまで減少しています。これにより通貨の購買力が安定しつつある状況が評価されました。
- 中央銀行の政策対応:トルコ中央銀行はインフレ抑制のために大幅な利上げと流動性引き締めを断行しました。この対応がトルコリラの安定化に寄与し、金融政策への信頼回復に繋がっています。
- 政治経済環境の改善:2025年初頭にあった国内の政治不安や米国による関税発表による影響にもかかわらず、迅速な政策対応により市場の混乱が抑えられたことが評価要因です。
今後の展望と評価
ムーディーズは、2025年末のトルコの年間インフレ率が約30%まで低下し、2026年末には約20%に落ち着くと予想しています。このインフレ低下見通しが信用格付けの引き上げを正当化する根拠の一つとなっています。
今回の格上げは、トルコの格付け史上、2013年以来の重要なステップとなりました。中銀の金融政策が「効果的な政策立案の実績」として国際的に認識され、政策の一貫性が強調されています。こうした評価は、外国からの資金流入促進や経済全般の安定に向けてプラスに働くことが期待されます。
ムーディーズの評価の詳細
- 長期外貨建ておよび自国通貨建て発行体格付けの引き上げ(B1 → Ba3)
- 見通しはポジティブから「安定的」へ変更
- 自国通貨建て国別上限をBa1からBaa3に引き上げ
- 外貨建て上限をBa3からBa2に引き上げ
これらは、トルコ経済全体の信用力が底上げされたことを示し、国際金融市場におけるトルコの評価向上に寄与するものと見られています。
日本や世界への影響
ムーディーズによるトルコの格付け引き上げは、国際投資家にとってトルコの信用リスクが低下したことを示すサインとなります。これにより外資の投資が促進されやすくなり、経済のさらなる回復に繋がる可能性があります。
一方、インフレ抑制後もなお約30%の高水準である点や、政治的リスクの継続は注意すべき要素です。今後は、引き続き中銀の政策動向や国内外の経済環境を注視する必要があります。
まとめ
- トルコの格付けがムーディーズによって「Ba3」に引き上げられ、見通しは「安定的」。
- インフレ率の大幅低下や中央銀行の金融政策対応が評価の中心。
- 格付け引き上げは2013年以来の重要な出来事であり、トルコ経済の信頼回復を示唆。
- 今後も国内政治や経済指標の動向に注意を要する。
トルコは今回の評価を得て国際金融市場における地位向上を図るとともに、経済の持続的な安定成長に向けた課題に取り組む段階にあります。