赤堀雅秋最新舞台『震度3』の全貌とテーマ

2025年8月21日から東京・本多劇場を皮切りに、大阪、福岡と全国ツアーが予定されている赤堀雅秋プロデュースの舞台『震度3』が大きな注目を集めています。本作は荒川良々、丸山隆平、上白石萌歌ら豪華キャストが出演し、赤堀雅秋ならではの独特な世界観と日常の“ざわつき”を描き出す作品です。

タイトルの「震度3」とは気象庁の定義で「屋内にいる人のほとんどが揺れを感じる」震度を意味しています。この震度のように、劇中もはっきりとした劇的な事件が起こるわけではないが、そこにある得体の知れない微妙な緊張感や不安、日常生活の中の不確かな揺らぎを繊細に描き出しているのが特徴です。赤堀氏は、壮大な物語ではなく、混沌とした日常の中の小さなざわつきをテーマに据えています。果たして“震度3”の揺れは訪れるのか、それを観客に委ねるスタイルが強い印象を残します。

キャストが語る『震度3』の魅力

主演の荒川良々、共演の丸山隆平、上白石萌歌、そして企画・脚本・演出を担当する赤堀雅秋が、作品や役柄について率直な思いを語る座談会が注目されています。

  • 荒川良々は、自身が演じるキャラクターの心の微細な動きを丁寧に表現することに意欲的で、赤堀氏の脚本の奥深さを改めて感じていると述べています。
  • 丸山隆平は、ジャニーズとしての経験を活かしつつ、赤堀の世界観との融合を楽しみながら、観客に新しい感覚を届けたいとコメント。
  • 上白石萌歌は、舞台への参加に大きな期待を持ちつつ、作品中の日常の微妙な不安や、緊迫感の中にある人間らしさを表現することに挑戦していることを紹介しています。
  • 赤堀雅秋は、「震度3」というタイトルに込められた意味や、舞台での共同作業を通して生まれる温かい“座組”の雰囲気を語り、劇場でしか味わえない独特な空気感を強調しています。

舞台の“ざわつき”とは何か?

赤堀雅秋は劇的ではない日常の中に潜む、不穏で曖昧な“ざわつき”を描くことを重視しており、それこそが『震度3』の核であると語っています。彼の作品に繰り返し現れるテーマであり、観客が物語に入り込み、自分なりの解釈を深めることを促す仕掛けとなっています。

話題となった上白石萌歌の「オペラグラス禁止」「オレンジ服禁止」発言について

2025年7月に行われた『震度3』の宣伝インタビューで、上白石萌歌が「オペラグラスは禁止」「オレンジ色の服も控えてほしい」といったファンへの独特なお願いを発したことが大きな反響を呼びました。

これは、舞台鑑賞時に一部の観客がオペラグラスを使うことで役者の細かな表情を過度に観察し、物語全体のバランスが崩れてしまうのを防ぎたいとの配慮から出た発言です。また、衣装に関する同色の服装禁止は舞台美術や照明効果と関連し、観劇体験の質を高めるためのお願いでした。

一方で、この発言は一部のファンから「不親切だ」「楽しみ方の自由を奪っている」と批判的な声が上がり、大きな議論を呼んでいます。しかし、上白石萌歌や劇団側は作品世界の独特な雰囲気を維持し、すべてのお客様に共通した鑑賞体験をしてもらうためのお願いであると説明しています。

赤堀雅秋作品の深みと俳優たちの化学反応

『震度3』は赤堀雅秋独自の脚本構成と演出によって、個々の登場人物の微細な人間描写が際立ちます。荒川良々、丸山隆平、上白石萌歌という異色のキャストが揃うことで、それぞれの持ち味が絶妙に融合し、作品の世界に深みと緊張感をもたらしています。

赤堀氏は座談会で、「役者同士の信頼感と、各人が持つ独特の感性がぶつかり合うことで、新たな演劇表現が生まれる」と語っており、演じる側も制作側も熱い連帯感を持っていることが伝わってきます。

舞台上の“日常”に隠された“非日常”

本作の舞台は、地震という物理的な揺れとは別に、登場人物の心情や人間関係の揺らぎを象徴的に描き出します。一見何でもない会話や動作の中に、じわじわと不安や期待が滲み出し、観客も日常の中にある「ざわつき」を肌で感じ取る構造です。

公演概要

  • 日程:2025年8月21日(木)~9月7日(日)【東京:本多劇場】
  • 2025年9月10日(水)~9月16日(火)【大阪:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ】
  • 2025年9月19日(金)~9月21日(日)【福岡:J:COM北九州芸術劇場中劇場】
  • チケット:一般発売中。U-25割引もあり。

最新作『震度3』は劇場でしか体感できない繊細かつ熱量のある座組の魅力と、日常の予測できない揺らぎを感じられる作品として、多くの観劇ファンから期待を集めています。

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