ナスダック100が連日最高値を更新する一方、NYダウは反落―IBMの決算結果が株価の重荷に

2025年7月24日、アメリカ株式市場は明暗が分かれる展開となりました。指標株価であるNYダウが316ドル安と大きく反落する一方で、ハイテク株中心のナスダック100は連日で史上最高値を更新し、市場が二極化した様子が鮮明になりました。

NYダウの反落、その主因はIBMの決算不振

NYダウ平均株価は前日比316.38ドル安の44,693.91ドルで取引を終えました。これはおよそ0.7%の下落で、市場の調整色を強める動きといえます。この下げの背景には、米IT大手のインターナショナル・ビジネス・マシーンズ(IBM)の株価が大幅に下落したことがあります。

IBMは7月23日に発表した2025年第2四半期決算で、1株利益(EPS)や売上高は市場予想を上回ったものの、特に注目されていたソフトウェア部門の売上高が予想を下回りました。人口知能(AI)関連の生成AI事業は好調で、75億ドル規模まで急成長していると報告される一方で、ソフトウェア部門全体が期待に届かなかったことが投資家心理を冷やしました。その結果、IBMの株価は取引時間内で9.54%(約27ドル)と急落し、ダウの下げ幅を拡大させる要因となりました。

IBMのアービンド・クリシュナCEOはに、「今四半期は市場の期待を上回る収益と利益を達成し、AIの導入支援という戦略が成果を上げている」とコメントしていますが、一部の部門業績が及ばなかった評価が株価に厳しく反映されました。

ナスダック100は堅調、連日の史上最高値更新

一方、ナスダック総合指数は37.94ポイント高の21,057.96で取引を終了し、これで2営業日連続の史上最高値更新となりました。ナスダックを牽引しているのは、主にハイテク企業株や成長株で構成されるナスダック100指数です。

市場参加者は、米国と欧州連合(EU)が重要な経済合意に向けて前向きな交渉を行っているとの期待から、リスク資産への投資意欲が増していることが背景にあると分析しています。この合意期待により、投資家の避難的な債券への買いが後退し、国債価格は反落しました。株式市場に資金が流入しやすい環境が整ったこともプラス材料となっています。

米国株式市場の今後の見通しと影響

  • IBMのソフトウェア部門の業績は今後の株価動向に影響を与える重要なポイントです。AI関連事業は確実に拡大しており、投資家の期待は根強いため、次回の決算発表や事業戦略の進展に注目が集まります。
  • ナスダック100を中心にハイテク株が連日最高値を更新する中で、グロース株への資金シフトが続く可能性があります。
  • 米EUの経済合意交渉の行方と、それに応じた市場のリスク許容度変化が、今後の米株式市場全体の動向を左右するでしょう。

まとめ

この日の米国株式市場は、NYダウの主力銘柄であるIBMの決算期待と結果のギャップにより調整色が強まりましたが、ナスダック100指数は高値を維持し続けています。こうした結果は、投資家の間で成長企業への資金集中が続きつつ、一部の大型優良株の業績変動には敏感に反応するという市場の複雑な動きを反映しています。今後の決算発表や国際的な政策動向により、一層の市場変動が予想されるため、注意深い動向把握が求められます。

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