IHIが営業利益率2桁台を目指す成長戦略を発表
重工業大手の株式会社IHI(アイエイチアイ)は、2025年7月18日に発表された最新の決算報告と経営戦略で、今後5年以内に営業利益率を「2桁」、具体的には「11%」に引き上げることを目標に掲げました。この意欲的な目標は、同社の成長分野である防衛事業の拡大や事業領域の見直しなどによって実現を図るものです。
2025年3月期決算の概要と業績改善
まず直近の2025年3月期決算について振り返ると、IHIは売上高6,268億円となり、民間向け航空エンジンの販売増加により営業利益は1,435億円(前年比で大幅増益)に達しました。親会社帰属の当期利益は1,127億円の黒字と、前期の赤字から大きく改善しています。配当も1株あたり20円増の140円に増配し、株主還元姿勢も強化されました。
また、第4四半期の連結最終利益は前年同期比でやや減少したものの、売上営業利益率は7.4%から8.4%に向上しており、着実な収益体質の改善が見られます。
営業利益率11%の目標設定、成長の原動力は防衛と事業再編
IHIは今回の発表で、5年以内に営業利益率を11%に達成すると表明しました。これは従来の約8%台から大幅に改善させる目標であり、市場関係者からも注目を集めています。
この目標に向けて、特に注力するのが防衛関連事業の伸張です。防衛関連は政府の安全保障政策の強化に伴い、需要が拡大している分野であり、安定した収益確保に寄与するとの見通しです。加えて、既存の事業領域の見直しと選択と集中による効率化を進めることで、収益構造の強化を実現する方針です。
株式市場の反応と今後の展望
7月17日にはIHI株が4日ぶりに反落しましたが、決算発表後に市場では営業利益率2桁達成の具体的な目標が明らかにされたことから、長期的な収益成長期待は維持されています。特に証券アナリストの中には目標株価引き上げを示す声もあります。
今後は8月上旬に第1四半期決算の発表が控えており、そこでの進捗状況にも注目が集まるところです。また、防衛関連をはじめとした成長領域での受注状況や、グループ全体の事業再編の具体的成果が鍵を握るでしょう。
まとめ
- IHIは営業利益率11%を5年以内の目標に掲げている
- 2025年3月期は増収増益で過去最高益を達成し、配当も増配
- 防衛事業の成長と事業構造見直しによる収益改善を推進
- 株式市場では一時反落も、長期的な成長期待は根強い
今後もIHIの成長戦略と事業展開には目が離せません。防衛分野の拡大をはじめ、技術革新と効率化による収益体質の改善が、同社の持続的な成長の鍵となりそうです。