北海道電力、泊原発3号機のテロ対策施設に1100億円の補正書を原子力規制委員会に提出
2025年7月25日、北海道電力は、泊原子力発電所3号機に設置を予定しているテロ対策のための特定重大事故等対処施設および所内常設直流電源設備(3系統目)に関する原子炉設置変更許可申請の補正書を、原子力規制委員会に提出しました。今回の補正書では、これらの施設の設置にかかる費用が約1100億円にのぼることが明らかとなっています。
この申請は2015年12月に初めて提出されて以来、今回の補正が加えられており、現在審査が進められている本体施設の設計方針を反映するとともに、施設の配置計画などの詳細が盛り込まれています。北海道電力は引き続き、原子力規制委員会の審査に適切に対応し、泊原発のさらなる安全性向上に努めていくとしています。
泊原発3号機の安全対策と再稼働への準備
泊原発3号機は、後志管内の泊村に位置し、北海道の電力供給に重要な役割を担っています。特定重大事故等対処施設は、原発が事故やテロなどの緊急事態に直面した場合に備えて設置される安全施設のことで、これにより重大事故リスクの低減を図ります。
北海道電力は、2027年早期の再稼働を目標に掲げており、この再稼働に向け安全対策費用は従来予想の6270億円に達すると見込まれています。これはテロ対策費用や関連施設の増設など安全性を高めるための積極的な投資によるものです。
猛暑続きで北海道電力の株価が年初来高値を記録
同時に注目されているのが、2025年7月現在の北海道電力の株価動向です。2025年3月期の決算では燃料費の低下で売上高が減少しましたが、7月に入って猛暑が続き電力需要が増加していることから、北海道電力の株価は今年の年初来高値を更新しています。
7月24日の終値は879.5円で、25日には約0.9%上昇するなど、猛暑による電力需要増加が業績期待につながり、投資家の関心が高まっています。市場の投資家らは、泊原発の再稼働に向けた動きや、今後の電力需給状況を注視しながら取引している状況です。
泊原発の安全リスクを伝えるPR施設「とまりん館」へ取材
北海道電力は地域住民や一般の方々への情報提供にも力を入れており、泊原発の隣接地に設置されているPR施設「とまりん館」は、事故リスクを含む原子力発電所の安全対策をわかりやすく伝える場として注目されています。
「とまりん館」では、泊原発の安全設備やテロ対策の取り組みを紹介し、原発がいかに安全に運転されているかを伝える展示が用意されています。記者の牧内氏が現地を訪れた報告によると、来館者からは「リスクについて正確に伝えている」と評価する声がある一方で、原発に対する不安感を持ち続ける地域住民も多いことがうかがえました。
こうしたPR活動は、原子力発電所の安全性に関する情報を透明にし、地域との信頼関係を築くことに役立っています。
まとめ
- 北海道電力は泊原発3号機のテロ対策施設の設置に約1100億円の補正書を原子力規制委員会に提出し、安全対策の強化を図っている。
- 泊原発3号機は2027年の再稼働を目指しており、全体の安全対策費用は6270億円に上る見込み。
- 猛暑の影響で電力需要が増加し、北海道電力の株価は年初来高値を記録している。
- 原発の安全リスクや取り組みを一般に伝えるためのPR施設「とまりん館」も地域理解促進に貢献している。
北海道電力は今後も原子力規制委員会の審査に真摯に対応し、安全性を最優先に据えた取り組みを続けていくことが求められます。