アドバンテストが2026年3月期第1四半期決算を発表
2025年7月29日、半導体関連企業のアドバンテスト(証券コード:6857)は、2026年3月期第1四半期(4-6月)の連結決算を発表しました。国際会計基準(IFRS)に基づくと、最終利益は前年同期比で約3.8倍の901億円まで急拡大し、大幅な収益改善を示しています。
決算の主なポイント
- 最終利益:901億円(前年同期比約3.8倍)
- 通期最終利益予想:1790億円から2215億円へ約24%上方修正
- 増益率:従来の11.1%増から37.4%増へ大幅アップ
- 売上営業利益率(第1四半期):22.6%から47.0%へ急上昇
- 通期の業績見通し(上期含む):4-9月期は引き続き開示せず
これにより、アドバンテストは2期連続での過去最高益更新を目指す非常に強い業績見通しを示しました。
好調な決算と株価の反応 ― 投資家は慎重な姿勢に
決算発表を受けて市場の反応は一時的に注目されましたが、アドバンテストの株価は急落しました。これは、外資系証券会社が同社の投資判断を引き下げたことが嫌気されたためと見られています。
また、日経平均株価は同じく7月29日に457円安となり、半導体関連銘柄全般が軒並み値を下げました。アドバンテストの急落は、業績の良さにもかかわらず、一部の投資家の「高所恐怖症」と表現される慎重な売り姿勢を表していると分析されています。
専門家による見解
- 業績面では予想を大幅に上回る好決算となったが、海外の投資機関からの評価が厳しくなったことが株価下落の要因に。
- 半導体市況自体は依然として不透明感があり、短期的には不安定な相場状況が続く可能性がある。
- 今後の設備投資や世界的な半導体需要動向が株価を左右する重要な要素となる。
決算詳細と今後の展望
今回の決算では、税引前損益も1213.57億円に達し、アナリスト予想の820.33億円を大幅に上回りました。通期予想の税引前損益も2970億円に上方修正されており、前年同期からの増益基調が鮮明です。
ただし、4月から9月までの上期業績見通しは開示されておらず、市場の不透明感は残っています。
競合他社との比較
アドバンテストはディスコや東京精密、東京エレクトロン、京セラ、SCREENホールディングスなど、他の半導体関連企業とともに業界を牽引しています。今回の決算の良好な数字は同社の競争優位性を示すものの、市場全体の不安定な状況は続いています。
まとめ
アドバンテストの2026年3月期第1四半期決算は、利益面で非常に良好な結果を示し、通期業績も大幅に上方修正されました。しかし、外資系証券の投資判断引き下げや半導体関連銘柄全体の軟調な動きから、株価は急落しました。投資家の慎重姿勢がうかがえ、今後は市場環境の変化や上期の業績見通しの開示が注目される展開となりそうです。