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「笑ってコラえて!」約30年の歴史に転機―視聴率低迷と時代の変化

かつての国民的バラエティ、視聴率3.9%の衝撃

『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』(日本テレビ系)は、1996年の放送開始以来、全国の人々に親しまれてきた長寿バラエティ番組です。所ジョージさんの温かな司会と、日本各地の“普通の人々”にスポットを当てた企画は独自の魅力と安心感を持ち、視聴率ランキングでも常に上位に君臨してきました。
しかし、2025年夏、ついにその長き黄金時代にも大きな影が差すこととなりました。7月から8月にかけての個人視聴率は、7月26日に3.7%、8月2日には3.5%、そして8月9日には3.9%という驚くべき低水準に留まり、かつての国民的人気番組とは思えない数字が続いています。

視聴率低迷の最大要因――土曜夜8時への枠移動

なぜここまで急激な視聴率の低下が起きてしまったのでしょうか。専門家やメディア関係者の間で指摘されている最大の要因は、2025年4月からの放送枠移動です。長らく水曜夜8時から放送されてきた「笑ってコラえて!」は、比較的競争が緩やかな「穴場枠」にありました。水曜夜は大型対抗番組が少なく、“笑コラ=水曜”として多くの視聴者の生活リズムに溶け込んでいたのです。

しかし、新たな放送枠は土曜夜8時。この時間帯は他局も人気番組を多数投入するゴールデン激戦区です。NHK「ブラタモリ」は安定して4~6%台の個人視聴率を維持し、「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」(テレビ朝日)は同日で5.3%、TBS「ジョブチューン」やフジテレビ「新しいカギ」、テレビ東京「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」など、まさに週末視聴争奪戦が繰り広げられる特異なゾーン。番組編成上の「勝負」ではあったものの、既存ファンの“生活リズム”や想定ターゲットとのミスマッチが目立ち、数字低下の大きな要素となりました。

過去の栄光―愛された「笑コラ」黄金時代

「笑ってコラえて!」は、かつてはゴールデンタイムのバラエティの顔として、特番やSPで10%前後の世帯視聴率を叩き出していました。特に地方の珍しい文化、知られざる名物、人の温かさなど「普通の日本」の魅力を掘り起こし、週の真ん中に一時の“ほっこり”をもたらす存在だったのです。
例えば2025年1月の特番SPでは6.5%の個人視聴率を記録しており、近年も一定の安定感を保っていました。長年にわたり、視聴者とのつながりや番組の空気感を大切にした番組構成が評価され、確固たるファン層を築き続けていたことは間違いありません。

土曜夜8時という超激戦区の現実

  • NHK:「ブラタモリ」(4~6%台)
  • テレビ朝日:「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」(8月9日・5.3%)
  • TBS:「ジョブチューン」
  • フジテレビ:「新しいカギ」
  • テレビ東京:「出川哲朗の充電させてもらえませんか?」「バス旅」シリーズ

枠移動後、これら人気番組の間でシェアを奪い合う形となり、「笑コラ」は苦戦を強いられました。さらに、土曜日夜は家族や若年層がテレビ以外の娯楽に時間を割く傾向が年々強くなっていることも、視聴率維持を困難にしています。

枠移動の功罪と日本テレビの強気戦略

「笑ってコラえて!」の枠移動は日本テレビにとっても一種のギャンブルでした。同局はこれまでも平日内で「ぐるぐるナインティナイン」や「ザ!世界仰天ニュース」を曜日移動させてテコ入れ成功に導いてきましたが、こちらは同じ平日帯内での移動。一方、「笑コラ」は平日から週末へという大きなシフトチェンジ。生活リズムの定着によって“水曜夜”に見る、という強い習慣を持つ視聴者が多かったため、移動で離脱傾向が顕著となってしまったのです。

また、今や動画配信サービスやSNSなど多様なメディアに視聴習慣が流れており、地上波TVのゴールデン帯であっても「ただ新しい視聴層が加わるのではなく、既存ファンが離れてしまうリスク」のほうが大きくなる現象が浮き彫りとなりました。

出演者の活躍と光るエピソード――新世代の挑戦も

一方で、番組内容自体は依然として質の高い企画と温かい雰囲気で放送されています。2025年夏の放送では、人気ジャニーズグループ・HiHi Jetsの井上瑞稀さんが体育会系行事に参加した回や、俳優堤真一さんが愛犬家として感動的なエピソードを披露するなど、毎回多彩なゲストが素顔を見せ、心温まるVTRで視聴者を楽しませています。

  • 井上瑞稀さんは、体育会系イベントで普段見せない本音を爆発。スポーツの現場で刺激を受ける姿が話題に。
  • 堤真一さんは、愛犬との日常や心癒される思い出を語り、スタジオも和やかな雰囲気に包まれました。

このような人間ドラマは、従来の「笑コラ」らしい見どころでもありますが、放送時間帯やライフスタイルの変化によって、それが届く層が限られているのが現実です。

長寿番組ゆえの宿命―時代の波と「番組の終焉」リスク

テレビ番組、とりわけ長寿バラエティ番組は、時代の潮流・生活者の価値観の変化・情報消費のスピード感などに常に適応を迫られています。「笑ってコラえて!」も新企画やゲスト登用、特番放送など様々な工夫を重ねてきましたが、動画配信やネット文化の隆盛、家族テレビ離れが重なり、ゴールデンタイムでの位置づけが揺らぐ結果となっています。

視聴率3.9%という数字は、視聴者層の分散と放送局の編成戦略の難しさ、そして何より「番組が時代とともに変化を迫られる」テレビ業界の厳しい現実を端的に物語っています。30年の歴史を持ち、令和の時代へと歩み続けてきた「笑コラ」。このタイミングで「約30年の歴史に幕」かと囁かれるのも無理はない状況です。

今後の「笑ってコラえて!」とテレビバラエティへの期待

ファンの間では、番組が新たな枠や形態で再起を図る可能性、または特番や配信など新たなメディア展開へのシフトを期待する声もあります。現場スタッフや出演者は、これまで長く支持された物語と空気感を大切に守りながらも、時代に合わせた“進化”の必要性を感じていることでしょう。

これまで30年近く日本の夜を彩ってきた「笑ってコラえて!」が、どのような今後を歩むのか。視聴者、関係者、そしてテレビ業界全体が、“時代の変わり目”に立ち会っていることを改めて強く実感する、2025年夏のニュースでした。

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