『電影少女』原画盗難と広がる波紋――天野あいがつなぐ作家たちの思い
人気漫画『電影少女』の原画盗難が明らかになり、作者・桂正和さんが深い悲しみと怒りを明かしたニュースが、今大きな注目を集めています。
同時に、この事件をきっかけにヒロイン・天野あいを描いたイラストが各所で話題となり、作品の魅力と原画の大切さをあらためて考えさせられる状況になっています。
『電影少女』とはどんな作品か
『電影少女』は、1989年から1992年にかけて『週刊少年ジャンプ』で連載されたSFラブストーリーで、ビデオテープから現れる少女・天野あいと少年の恋と成長を描いた作品です。
恋愛とSF要素、そして繊細で色気のあるキャラクターデザインが支持され、コミックスは累計約1400万部と報じられるなど、桂正和さんの代表作として現在も根強い人気を保っています。
発覚した「原画盗難」事件の概要
問題となっているのは、『電影少女』全巻分に相当する原画およそ2500枚が、桂さんのもとから一式失われた疑いがあるという重大な盗難事件です。
原画は一点ものの貴重な作品であり、市場価格を単純計算すると最大で約7億5000万円相当になる可能性があると報じられており、その被害規模の大きさも衝撃を広げています。
盗難が起きたとされる経緯
報道によれば、原画が失われたとみられるのは、桂さんが仕事場の引っ越しを行っていた時期で、長期間にわたる移転作業のあと、保管していた『電影少女』の原稿が一式なくなっていることに気づいたとされています。
桂さんは、処分予定の品は自ら確認し、原画や時計・カメラなどの私物は決して紛失しないよう業者にも念押ししていたと伝えられており、それでも『電影少女』の原稿だけが選択的に姿を消している点が大きな疑問として浮かび上がっています。
オークションサイトでの流通と「購入控えて」の呼びかけ
その後、『電影少女』の原画とされる作品が、インターネットオークションやフリマサイトに次々と出品されていることが確認され、出品者は「本物の原稿」であるかのように説明して高額で販売を試みていたと報じられました。
桂さんは、これらの出品物はすべて盗まれた原画であると明言したうえで、流通している分については「現時点では購入を控えてほしい」とファンやコレクターに強く訴えており、盗難品の拡散を防ぐための協力を求めています。
疑われる関係者と今後の対応
報道では、原画が消えたタイミングや流通経路の調査から、引っ越し作業に関わった業者の一部と、その先で関与したとみられる古物商の存在が浮上しているとされています。
オークションサイトへの情報開示請求などから、出品アカウントが特定の古物商と結びついたと報じられており、桂さん側は窃盗容疑での刑事告訴を視野に入れていると伝えられています。
桂正和さんの心情とファンの受け止め
桂さんは、この原画盗難について「悔しくて悲しくて、心が張り裂けそう」と胸の内を語ったとされ、長年描き続けてきた作品の原稿を一度に失った衝撃と無力感の大きさがうかがえます。
SNS上では、原画盗難に対する怒りと、桂さんを気遣う声が多数寄せられており、ファンの間では「一日も早く原稿が戻ってきてほしい」「盗難品を買わないこともファンの責任」といった意見が広がっています。
天野あいイラストが生む連帯
こうした中、『電影少女』のヒロイン・天野あいを描いたイラストが相次いで公開され、大きな反響を呼んでいます。
中でも、『HUNTER×HUNTER』などで知られる漫画家・冨樫義博さんが、自身のSNSで天野あいのイラストを公開し、「すべての原稿が桂先生のもとに戻りますように」とメッセージを添えた投稿は、十数万件を超える「いいね」を集めるなど、大きな話題となりました。
ジャンプ漫画家たちの「狂気を感じる」天野あい
冨樫さんのほかにも、ジャンプ作品に携わる漫画家が天野あいを描いたイラストを公開し、そのクオリティや表現力が「狂気を感じるほどの執念」「画集を出してほしい」と称賛されていると報じられています。
ファンからは、これらのイラストをまとめた画集の刊行を望む声もあがっており、盗難事件という悲しい出来事をきっかけに、天野あいというキャラクターの象徴性と、作家同士の絆があらためて浮き彫りになっています。
ニュースで話題のポイント一覧
- 『電影少女』全15巻分に相当する原画約2500枚が盗まれた疑いがあること。
- 市場換算で最大約7億5000万円相当と見積もられるほど、被害規模が大きいこと。
- 原画とみられる作品がオークションやフリマサイトに出品されていたこと。
- 桂正和さんが「出回っている分の購入を控えてほしい」と呼びかけていること。
- 引っ越し作業に関わった業者や古物商の関与が疑われ、刑事告訴が検討されていること。
- 冨樫義博さんが天野あいのイラストとともに、原稿が戻るよう願うメッセージを発信したこと。
- ジャンプ漫画家による天野あいイラストが反響を呼び、「狂気を感じる」「画集を出してほしい」と話題になっていること。
原画盗難が意味するもの
漫画原稿は、読者が目にする印刷物とは異なる「創作の現場そのもの」であり、作者にとっては思い出や苦労が刻まれた唯一無二の作品です。
今回の『電影少女』原画盗難では、金銭的価値の大きさだけでなく、作者の精神的な損失の深さや、文化的な財産が失われかねないという点が、ファンや業界関係者から強い問題意識を持って受け止められています。
ファンにできること
桂さんは、盗難品の拡散を防ぐため、「現在出回っている原画と思われるものは購入しないでほしい」と呼びかけており、真偽のはっきりしない原稿に安易に手を出さないことが、ファンにできる具体的な協力の一つといえます。
また、公式な情報発信を注視しつつ、作者や関係者を傷つける憶測や二次被害につながる言動を避けることも、作品を愛する側の大切な姿勢として意識したいところです。
天野あいがつなぐ希望
『電影少女』の原画が奪われたという厳しい現実の一方で、天野あいを描いたイラストを通じて、多くの漫画家やファンが桂さんを励まそうとしている姿は、作品が世代を超えて愛されてきた証でもあります。
原画が一日も早く作者のもとに戻ること、そして今回の出来事をきっかけに、漫画原稿の保護や流通ルールについての議論が進み、創作物がより大切に扱われる環境が整っていくことが望まれます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 作品名 | 『電影少女』 |
| 作者 | 桂正和 |
| 被害内容 | 原画約2500枚が盗難被害に遭った疑い |
| 推定被害額 | 最大約7億5000万円相当と試算 |
| 発覚のきっかけ | 引っ越し後に原画が一式なくなっていることが判明 |
| 流通状況 | オークション・フリマサイトに原画とされる品が出品 |
| 作者の呼びかけ | 出回っている原画の購入を控えるよう要請 |
| 主な反応 | 冨樫義博らが天野あいイラストでエールを送る |



