田牧そら、19歳。「ありのままでいいから」――有吉弘行のひと言が支えた『カネオくん』と成長の7年
NHKのバラエティ番組『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』でおなじみの
田牧そらさん。12歳で番組に出演し始め、現在は19歳の俳優として活躍の場を大きく広げています。
その成長の裏側には、MCの有吉弘行さんからかけられた
「ありのままでいいから」「そのままでいいから大丈夫だよ」
という、あたたかなひと言がありました。
生後半年でモデルデビューし、子役として数々のドラマやCMに出演してきた田牧さん。
そのキャリアの中で、本人が「転機」と語るのが、バラエティ番組『カネオくん』での日直アシスタントとしての経験です。
この番組での7年間は、彼女の人前での振る舞い方や、仕事への向き合い方を大きく変えていきました。
12歳で『カネオくん』に出演 “何もできなかった”スタート
『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』への出演は、12歳のとき。
番組スタッフと話をする機会があり、それがきっかけでいつの間にか出演が決まっていたのだといいます。
スタジオでMC・有吉弘行さんの隣に座る「日直アシスタント」という役割は、
進行を支え、リアクションをし、感想を伝える重要なポジションです。
しかし、当時まだ小学生だった田牧さんは、
「最初のときに、私、本当に何もできなくて。
全然しゃべれなかったんです」
と振り返っています。
生放送に近いテンポで進むバラエティ収録、台本にないやりとり、
ベテラン芸人たちとの共演――。
ドラマ現場とは違うスピード感のなかで、「何もできない」と落ち込む日々もあったそうです。
「ありのままでいいから」 有吉弘行のひと言が救いに
そんなとき、彼女を支えたのが、有吉さんからかけられたひと言でした。
「すごく落ち込んでたときに、有吉さんが
『もうありのままでいいから』『そのままでいいから大丈夫だよ』って言ってくださって。
それにすごく救われて」
この言葉は、「もっとしゃべらなきゃ」「ちゃんとやらなきゃ」と
自分を追い込みがちだった田牧さんの心を、ふっと軽くしたと言います。
以降、彼女は「うまく見せよう」とするよりも、自分がその場で感じたことを
素直に言葉にすることを大切にするようになりました。
日直アシスタントとして、今も心がけていることについて、彼女はこう語っています。
「その場で感じたことを言うとか、自分が楽しむ、というのは絶対やろうって思ってやってます」
この「自分が楽しむ」というスタンスこそ、有吉さんの言葉に背中を押されてたどり着いた、
田牧さんなりの“ありのまま”の形だと言えるでしょう。
生後半年でモデルデビュー、“芸歴=人生”の歩み
田牧そらさんは、2006年東京都生まれ。
生後半年でモデルデビューし、幼いころから広告やCMに出演してきました。
4歳のときには山崎製パンのCMに出演し、本格的に子役として注目を集めます。
2011年にはドラマに初出演し、以降、映画やドラマ、CMと幅広いジャンルで経験を重ねてきました。
現在の所属事務所はトライストーン・エンタテイメント。
同事務所の先輩である小栗旬さんと共演したカメラのCMでは、うそ泣きの演技が話題になり、
「子役時代の代表的な仕事」のひとつとして記憶されています。
こうした長いキャリアのなかで、本人が「転機」と語るのが、意外にもドラマではなく、
バラエティ番組『カネオくん』なのです。
『カネオくん』がくれた“素の自分”でいる勇気
NHK総合のバラエティ『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』は、2018年にスタートしたお金の情報バラエティ。
田牧さんは、12歳から日直アシスタントとして出演し続けています。
この番組の特徴のひとつが、台本にないやりとりが多いこと。
収録は笑いが絶えず、「日常のイヤな出来事も、どうでもいいと思えるくらい」だと
彼女は語っています。
一方で、「台本がないので、自分で考えたことをその場で言うのは大変」とも話しており、
その難しさが、自分の言葉で話す力を育てていきました。
番組内では、自身の家族についても自然体で語ります。
たとえば父親の倹約家ぶりを「本当にセコいんですよ。日に日にセコくなっている気がします」と
笑いを交えて明かすなど、家庭のエピソードをありのままに話す姿も印象的です。
こうした“等身大”のトークについて、ラジオ番組で共演した大沢あかねさんも
「等身大のそらちゃんがすごい出てるもんね」と語っており、
『カネオくん』が、演技だけでなく「自分として話す」スキルと自信を育てた場であることがうかがえます。
お笑い好きな一面と、憧れの芸人
もともとお笑いやバラエティ番組が好きだという田牧さん。
好きな芸人を尋ねられると「かまいたちさんが好きです」と即答し、
まだ共演経験はありませんが、ラジオ番組の中で
「かまいたちさん大好きです」とストレートな“ラブコール”も送っています。
ただの「仕事としてのバラエティ」ではなく、
自分自身がお笑いファンとして楽しんでいるからこそ、
『カネオくん』での自然体なリアクションやコメントにつながっているのでしょう。
ドラマ主演や声優にも挑戦 広がる表現のフィールド
『カネオくん』での活動と並行して、俳優としての仕事も着実にステップアップしています。
2023年には、BS松竹東急のオリジナルドラマ『カメラ、はじめてもいいですか?』で主演を務めました。
この作品では、カメラ女子の主人公を演じ、撮影を通じて他者と心を通わせていく役柄を好演。
もともとカメラに興味はあったものの、実際に手にするのは初めてだったそうで、
撮影を機にフィルムカメラを購入し、「本格的にカメラを持つと、撮りたいと思うようになって、面白いなって思いました」と語っています。
また、「今月末公開となる話題映画」では初の声優にも挑戦しており、
実写演技だけでなく声の表現にもフィールドを広げています。
バラエティで鍛えられた“素のリアクション”と、子役時代からの演技経験。
その両方を活かしながら、新たなジャンルに臆せず飛び込んでいる姿からは、
18歳、19歳という若さならではのしなやかな挑戦心が感じられます。
仕事と学業、そして“ひとりデビュー”という小さな挑戦
高校・大学と学業も続けながら、仕事との両立に励んできた田牧さん。
インタビューでは、「学校生活との両立も楽しい」と話し、
友人との時間や学校行事も大切にしている様子がうかがえます。
一方で、プライベートでは“ひとりデビュー”にも積極的です。
「ちょっと前に1人映画館デビューをしました。最近は、1人で立ち食いそばデビュー」と明かし、
今後は「1人旅もしてみたい」とも語っています。
「ドラマを観てくださる方も、何かを始めるきっかけになれば」と話すなど、
自分の小さな挑戦が、誰かの背中をそっと押す存在になればという思いも持っています。
「挑戦こそがウェルビーイング」 19歳の現在地
インタビューでは、「挑戦こそがウェルビーイング」という言葉も口にしている田牧さん。
働きながら学び、日直アシスタントとしてスタジオに立ち、主演ドラマや声優にも挑戦する――。
こうした日々の中で、「自分なりの幸せ」を模索している最中でもあります。
幼い頃からカメラの前に立ち続けてきた彼女にとって、「ちゃんとしなきゃ」「失敗しちゃいけない」
というプレッシャーは、きっと大きかったはずです。
そんな中で、有吉弘行さんの「ありのままでいいから」という言葉は、
“上手くやる”ことよりも“自分でいること”の大切さを教えてくれたひと言でした。
その後の田牧さんが、『カネオくん』で
「その場で感じたことを言う」「自分が楽しむ」ことを意識するようになったのも、
このメッセージを、自分なりに咀嚼して行動に落とし込んできた結果だと言えるでしょう。
これからも“等身大”で――視聴者と一緒に成長していく存在
12歳で『カネオくん』に出演し始め、19歳となった今も同じ番組にレギュラーとして立ち続ける――。
これは、視聴者にとっても「成長を見守る喜び」がある、少し特別なケースです。
子どもの頃から見てきた人にとっては、「小学生だったそらちゃんが、もう立派な俳優さんに」と、
まるで親戚の子を見ているような感覚になるかもしれません。
そして本人にとっても、『カネオくん』のスタジオは、
悩みながら、笑いながら、“等身大の自分”として成長してきた原点であり、現在地でもあります。
有吉さんのひと言に救われながら、自分のペースで言葉を紡ぎ、
ドラマや映画、声の仕事へと挑戦の幅を広げていく田牧そらさん。
これからもきっと、「ありのまま」の姿で、新しい一歩を踏み出していくはずです。




