「テイルズ」30周年でリマスター機運が急上昇? 『アビス』『リバース』の再評価と“最重要”新作開発のいま

「テイルズ オブ」シリーズ30周年を迎えた今、ファンのあいだで「リマスター」への期待が一段と高まっています。とくにPS2期を代表する『テイルズ オブ ジ アビス』や『テイルズ オブ リバース』は、特集記事や人気投票企画を通じて再び大きな注目を集めており、「この流れでリマスターを……」という声が各所で聞こえてきます。

一方で、シリーズ公式は30周年メッセージの中で、次回作について「最も重要なプロジェクト」と位置づけ、開発継続を強調。リマスターを明言したわけではありませんが、「過去作の魅力再発見」と「未来の新作づくり」が同時に進んでいることが、ここ数カ月の動きから見えてきます。

『テイルズ オブ ジ アビス』はなぜ“ひとつの奇跡”と呼ばれるのか

まず話題の中心になっているのが、ファンからの人気も高いPS2用RPG『テイルズ オブ ジ アビス』です。本作の開発陣に迫る特集では、膨大な企画書やデザイン資料をもとに、「なぜ『生まれた意味を知るRPG』というテーマにたどり着いたのか」が丁寧に語られています。

『アビス』は、物語冒頭から主人公ルークの未熟さが強調される、当時としては挑戦的な構成でした。プレイヤーの多くが最初はルークに反感を覚えながらも、仲間との衝突や別れ、過酷な選択を経て成長していく姿に、最後には深い共感を覚えたという声が今も多く聞かれます。

企画段階の資料からは、「キャラクターの成長を、台詞だけでなくバトル演出やカメラワーク、フィールドでの何気ない会話にまで落とし込む」という方針が徹底されていたことが分かります。 こうした細部へのこだわりが、今も愛される深いドラマ性につながり、「ひとつの奇跡」とまで評される理由になっています。

また、シリーズ全体の人気ランキングでも、『アビス』のキャラクターは依然として上位に多数ランクインしています。公式サイトの総合人気ランキングでは、ジェイド・カーティスやガイ・セシルなど、『アビス』勢の名前がしっかりと存在感を示しており、作品そのもののブランド力の高さがうかがえます。

こうした再評価の動きから、ファンのあいだでは「ぜひHDリマスターで今の環境でも遊べるようにしてほしい」という声が改めて強まっています。特集記事も、単なる昔話ではなく、「いま振り返っても色あせない完成度」を確認する場になっており、リマスターへの期待を後押ししていると言えるでしょう。

『テイルズ オブ リバース』人気投票で1位に輝いたのは“ムードメーカー”のあのキャラ

同じく話題になっているのが、『テイルズ オブ リバース』のキャラクター人気投票結果です。電撃オンラインの特集では、読者アンケートによって選ばれた「好きなキャラクターランキング」が発表され、その第1位にマオが輝きました。

ランキング上位は以下の通りです。

  • 1位:マオ(CV:渡辺明乃)
  • 2位:ヴェイグ・リュングベル(CV:檜山修之)
  • 3位:ティトレイ・クロウ(CV:山口勝平)

主人公のヴェイグを抑えて1位になったマオは、記憶喪失で“炎”のフォルスを操る少年キャラクター。 物語全体が重くなりがちな『リバース』において、天真らんまんで無邪気な振る舞い、そしてオリジナルソングを歌うシーンなど、パーティのムードメーカーとして大きな役割を担っています。

投票コメントでは、

  • 「明るく前向きなところが元気をもらえます。あとかわいいです」
  • 「術が強くキャラがかわいいし、ふとしたときに見せる男らしさとのギャップがかっこいい」

といった、「癒やし」と「強さ」の両面を評価する声が多く寄せられました。 ある回答者は、マオが憎しみを抱えていたユージーンと旅をともにし、葛藤しながらも歩み寄っていく姿を「作中で一番成長したキャラ」と評しており、単なるマスコット的な存在にとどまらない、物語面での重要性も改めて浮かび上がっています。

また、同企画では好きな術技・名台詞・シーンなども募集されており、ファンの記憶に残る“ピーチパイ演説”など、シリーズ全体でもインパクトの強い名場面が多数挙げられています。 『リバース』が発売から長い年月を経ても、細かな場面まで強く記憶されていることは、作品としての完成度、そして「今遊んでも通用する」という信頼の表れと言えるでしょう。

実際、非公式を含むさまざまな人気投票企画でも、『リバース』のキャラクターは根強い人気を維持しており、2025年に入ってからも新たな投票が行われるなど、ファンコミュニティの盛り上がりは続いています。 こうした動きもまた、「現行機で遊びやすい形でのリマスター」を望む声につながっています。

公式が“最も重要”と語るテイルズ新作と、30周年メッセージが示すもの

こうした過去作の盛り上がりと並行して、シリーズ公式は30周年記念メッセージの中で、テイルズ新作について「シリーズにとって最も重要なプロジェクト」であることを明言しています。

公式X(旧Twitter)などで発信されたメッセージでは、これまで作品を支えてきたファンへの感謝とともに、現在進行中の新作開発についても言及。「30周年は通過点であり、これから先の10年、20年を見据えて、テイルズらしさを大切にしながら新たな挑戦を続けていく」といった趣旨のコメントが寄せられています。

具体的なタイトル名やリリース時期はまだ公表されていませんが、「最も重要」という表現からは、単なる次回作以上に、シリーズの方向性を大きく左右する作品になることがうかがえます。前作『テイルズ オブ アライズ』で描いた“新しいテイルズ像”を、どのようにさらに発展させるのか、多くのファンが注目している段階です。

同時に、30周年という節目に合わせて、公式YouTubeチャンネルや特設サイトでは、シリーズ歴代作品の人気投票や特集動画も多数公開されています。たとえば「好きな悪役ランキング」では、『ファンタジア』のダオスが1位に選ばれるなど、長年のシリーズファンなら思わずうなずいてしまう結果が発表されています。

こうした公式企画は、これまでシリーズに触れてこなかった新規ユーザーへの入り口になると同時に、既存ファンにとっても過去作を振り返る良いきっかけになっています。「あのキャラの物語をもう一度ちゃんと遊びたい」「HD画質で名シーンを見返したい」といった声が増えることで、結果的にリマスター需要をより可視化する効果も生まれています。

リマスターへの期待が高まる理由──“遊びづらさ”と“今こそ遊んでほしい名作”

『アビス』や『リバース』といったPS2期タイトルが、今あらためて注目されている背景には、「名作であるにもかかわらず、現行機で遊ぶハードルが高い」という状況があります。

これらの作品は、当時としてはグラフィック・システムともに高い完成度を誇っていましたが、現在は発売から20年前後が経過し、プレイするには旧世代機を用意する必要があります。一部タイトルは移植版や3Dリメイク版も存在しますが、『アビス』や『リバース』については、現行プラットフォームで気軽に購入・プレイできる環境が十分とは言えません。

一方で、公式人気投票や電撃オンラインの特集からも分かるように、『アビス』『リバース』のキャラクターたちは、2025年現在でもシリーズ全体のランキングに食い込むほどの支持を集めています。 これは、「シナリオやキャラクター性が今なお通用するどころか、むしろ今の価値観に照らしても新鮮に感じられる」という証拠でもあります。

とくに『リバース』は、人種差別や憎しみの連鎖といった重いテーマを正面から扱った作品として知られています。マオとユージーンの関係性に象徴されるように、「憎しみ合っていた者同士がどう向き合い、許しや理解にたどり着くのか」という問いは、現代社会においても非常に示唆に富んだテーマです。 そうした物語を、今のプレイヤーにも手に取りやすい形で届けてほしい、という願いがリマスターへの期待につながっています。

『アビス』もまた、「生まれた意味を知る」という重いテーマを掲げながら、自己否定や過去の罪との向き合い方といった普遍的な問題を、エンターテインメントとして昇華した作品です。 テイルズシリーズが得意とする、掛け合いやスキットでの軽妙な会話と、重厚なストーリーを両立させている点は、現在のRPGファンにも十分アピールできるポイントでしょう。

30周年以降のテイルズにとって、リマスターはどんな意味を持つのか

公式が「新作が最も重要」と語っている現状では、当然ながらシリーズの未来を切り開くのは次回作であり、その完成度が何よりも重視されます。 しかし同時に、30年の歴史を持つシリーズにとって、過去作の価値を丁寧に掘り起こし、次の世代にバトンをつなぐことも、長寿シリーズならではの大きな課題です。

  • 新作:シリーズの新しい方向性や可能性を示す役割
  • リマスター:過去の資産をいまのプレイヤーに届け、シリーズ全体の土台を再確認する役割

この2つは対立するものではなく、互いを補い合う関係にあります。たとえば、『アビス』や『リバース』のリマスターが実現すれば、新作からシリーズに入ったプレイヤーが「昔のテイルズも遊んでみたい」と思ったときの受け皿になり、新旧ファンの交流もより活発になるでしょう。

特集記事や人気投票企画がここまで盛り上がりを見せているのは、単に懐かしさを楽しむだけでなく、「テイルズとはどんなシリーズなのか」「どんなキャラクターや物語が愛され続けてきたのか」を、ファン自身が改めて確認する場にもなっているからです。

30周年という大きな節目を迎えた今、「最も重要」とされる新作と並んで、過去作リマスターへの機運が高まっていることは確かです。ただし、現時点で公式から具体的なリマスター計画が発表されているわけではありません。だからこそ、特集や投票を通じてファンの声が形になっていくことが、今後の展開を左右するひとつの要素になっていくと考えられます。

『テイルズ オブ ジ アビス』という“奇跡”の作品がなぜ生まれたのかを振り返る試み、『テイルズ オブ リバース』でマオが1位に選ばれるほど今なお愛されている事実、そして公式が「最重要」と語る次回作の存在。これらすべてが重なり合い、「テイルズ」30周年は、過去と未来が交差する特別なタイミングとなっています。

リマスターの正式な発表はまだありませんが、『アビス』や『リバース』をめぐる熱量の高さは、確かに今も燃え続けています。その熱が、いつか「テイルズ リマスター」という形で実を結ぶのか──ファンはこれからも、公式からの続報を見守りながら、自分たちなりの“テイルズとの旅路”を歩んでいくことになりそうです。

参考元