高杉真宙主演映画『架空の犬と嘘をつく猫』公開 伊藤万理華&深川麻衣の共演が話題に

元乃木坂46・1期生の伊藤万理華さんと深川麻衣さんが共演する映画『架空の犬と嘘をつく猫』が、主演の高杉真宙さんの結婚後初の主演作として大きな注目を集めています。家族の中にある「嘘」と「本音」を優しく、そして切実に描き出す本作は、公開前から映画ファンはもちろん、乃木坂46時代から2人を追いかけてきたファンの間でも大きな話題になっています。

『架空の犬と嘘をつく猫』とはどんな映画?

『架空の犬と嘘をつく猫』は、作家・寺地はるなさんによる同名小説を原作にしたヒューマンドラマです。監督は『愛に乱暴』などで知られる森ガキ侑大さん。
舞台となるのは、どこにでもいそうで、でもどこか壊れかけている羽猫(はねこ)家という家族です。物語は、およそ30年という長い時間をかけて、この家族が「嘘」を抱えながらも、どうにか一緒に生きていこうとする姿を丁寧に描いていきます。

物語の中心にいるのは、羽猫家の長男・羽猫山吹。山吹は、事故で弟を失った母親が現実を受け入れられず苦しんでいる姿を目の当たりにし、弟になりすまして手紙を書き続けるという「嘘」を選びます。
一つ屋根の下にいながら、心はバラバラな家族。
母は空想の世界に生き、父は愛人の元へ逃げ、祖父は現実離れした夢ばかり語り、祖母は骨董屋で「嘘」を扱う仕事をし、姉は「嘘と嘘つきが嫌い」と言いながらすべてに反発している――。
そんな中で山吹だけが、嘘をつきながらも家族と正面から向き合おうとします。

作品キャッチコピーは「家族をやめたい人たちへ」。積み重なった嘘が、実は愛情の裏返しだったと気づいたとき、この家族は初めて「本当の意味での家族」になっていきます。
笑って、泣いて、苦しくて、でもどこか救われる――そんな“家族映画であり、嘘の映画”として、多くの観客の心に届きそうな一作です。

高杉真宙、結婚後初の主演映画で家族の“嘘”と向き合う

主人公・羽猫山吹を演じるのは、実力派俳優として評価の高い高杉真宙さん。
柔らかく繊細な存在感を持つ高杉さんが、壊れかけた家族の中で唯一「向き合うこと」を選ぶ青年をどう演じるのかが、本作の大きな見どころです。

本作は、高杉さんにとって結婚後初めて公の場に立つ主演映画としても注目されています。舞台あいさつでは、穏やかでどこか落ち着いた表情を見せながら、作品への思いや、家族観、嘘との向き合い方について真摯に語りました。
彼自身、「人はときに嘘に救われることもある」というテーマに共感しているとインタビューで話しており、台本を読みながら何度も胸が締め付けられたといいます。

家族にどうしても言えなかった一言、黙っていることで守ろうとした関係――そうした「優しい嘘」を抱えた経験がある人にとって、山吹の姿には深く共鳴する部分が多いでしょう。高杉さんの、押し付けがましくない感情表現が、作品全体のトーンと見事にかみ合い、物語に静かな説得力を与えています。

元乃木坂46・伊藤万理華&深川麻衣、映画共演で深まる絆

本作で特に話題を呼んでいるのが、元乃木坂46・1期生である伊藤万理華さんと深川麻衣さんの共演です。
伊藤さんは山吹の幼なじみであり恋人となる佐藤頼を、深川さんは山吹が初恋を抱く遠山かな子を演じています。
異なる時期、異なる距離感で山吹の心に寄り添う2人の女性像は、作品の中で重要な意味を持っています。

伊藤さん演じる頼は、山吹の日常にそっと寄り添う存在です。
家族との折り合いがつかず、心の置き場所を失いがちな山吹にとって、頼の言葉や仕草は、小さな救いとなっていきます。
一方、深川さん演じるかな子は、山吹にとって“忘れられない原風景”のような人物。
初恋特有の甘酸っぱさだけではなく、自分自身の嘘や弱さとも向き合わざるを得ないきっかけとなるキャラクターです。

乃木坂46時代から互いをよく知る2人ですが、ドラマや映画を経て表現者として歩んできた今、改めて同じ作品で向き合うことで、絆がより深まった様子です。インタビューでは、「きのうも一緒に散歩に行った」というエピソードが語られ、深川さんの飼っている犬ともっと仲良くなりたいと、伊藤さんが照れながら話す場面もあったと伝えられています。
現場でもオフでも自然体の距離感で過ごす2人の姿は、かつてアイドルとして活動していた時期とはまた違う、成熟した関係性を感じさせます。

ファンにとっては、「あの2人が今、映画の現場でこんな表情をしている」ということ自体が大きな喜びであり、また作品を通してそれぞれの新たな魅力に出会える機会にもなりそうです。

実力派キャストが支える“壊れかけた家族”の物語

本作には、高杉さん、伊藤さん、深川さんのほかにも、多彩で実力あるキャストが集結しています。

  • 安藤裕子さん:弟の死を受け入れられず、空想の世界に生きる母・雪乃役
  • 向里祐香さん:嘘と嘘つきが嫌いな姉・紅役
  • 安田顕さん:変わってしまった妻を受け入れられず、愛人の元へ逃げてしまう父・淳吾役
  • 余貴美子さん:骨董屋を営み、「嘘」を扱う祖母役
  • 柄本明さん:現実離れした夢ばかり語る祖父役
  • ヒコロヒーさん、鈴木砂羽さんらも物語を彩る重要な役どころで出演

それぞれのキャラクターが、どこか不器用で、時に身勝手にさえ見える生き方を選んでいますが、その根底には「誰かを傷つけたくない」「自分を守りたい」といった、ごく人間的な感情が流れています。
ベテラン勢の芝居が加わることで、作品全体に厚みとリアリティが生まれ、「こんな家族、どこかで見たことがある」と感じさせてくれるでしょう。

「嘘」は悪いこと?それとも誰かを救う優しさ?

本作のテーマでもあり、高杉真宙さんがインタビューでも語っているのが、「嘘に救われることもある」という視点です。
映画の中では、家族それぞれが、さまざまな「嘘」を抱えながら生きています。

例えば、母の雪乃にとって、「弟がまだ生きている」という嘘は、壊れてしまった心をなんとか保つための最後のよりどころかもしれません。
山吹にとって、弟のふりをして手紙を書くという嘘は、母を守るための行為であり、自分自身が罪悪感と向き合うためのプロセスでもあります。

私たちは日常生活の中で、「本音」と「建前」を使い分けながら暮らしています。
ストレートな正直さだけでは立ち行かない場面もあれば、逆に、嘘をついたせいで取り返しがつかなくなることもあります。
この映画は、「嘘は良くないもの」という単純な答えを押し付けるのではなく、「なぜその嘘をついたのか」「その嘘は誰を守ろうとしていたのか」と、一歩踏み込んだ問いを観客に投げかけてきます。

観終わったあと、自分の中の小さな嘘たち――家族に黙っていること、友人に言えなかった弱さ、自分に対してついてしまった嘘――をそっと見つめ直してみたくなる、そんな余韻が残る作品です。

乃木坂46卒業後の“表現者”としての伊藤万理華&深川麻衣

元乃木坂46という共通点を持ちながらも、それぞれ異なる道を歩んできた伊藤万理華さんと深川麻衣さん。
グループ卒業後は女優業に軸足を移し、舞台や映画、ドラマなどで経験を重ねてきました。

伊藤さんは、持ち前の感性と表現力を活かし、アート的な視点も取り入れながら、作品ごとに全く違う顔を見せてきました。
今回の頼役でも、「かわいい恋人」という枠に収まらず、山吹という一人の人間とどう向き合うかという視点で役づくりをしていることが伝わってきます。

一方、深川さんは、その温かく透明感のある雰囲気を活かしつつ、作品によってはシビアな役どころにも挑戦してきました。
かな子役では、初恋の甘さだけでなく、「大人になることの痛み」や「自分の弱さを受け入れる難しさ」も体現しています。

現場での2人は、乃木坂46時代の仲間というよりも、同じ作品をつくる“共演者”という距離感で、それぞれが自分の役と真剣に向き合っています。
それでも、カメラが回っていないときには、一緒に散歩に出かけたり、犬の話で盛り上がったりと、長い時間を共有してきた2人ならではの穏やかな空気が流れているようです。
こうした信頼関係が、スクリーン上での自然な呼吸や視線のやりとりにも表れてくるはずです。

“家族をやめたい”と思ったことがある人ほど刺さる一本

『架空の犬と嘘をつく猫』は、「家族だからわかり合える」「親子だから乗り越えられる」といったきれいごとではなく、「家族なのに、どうしてこんなにわかり合えないんだろう」という痛みから目をそらさない作品です。

それでもなお、完全にバラバラになりきれないのが家族という存在。
壊れかけていても、嘘にまみれていても、どこかで「つながっていたい」と願ってしまう。
そのどうしようもない複雑さを、映画は優しい眼差しで見つめています。

家族との関係に悩んできた人、過去の出来事を今もどこかで引きずっている人、「自分だけが本音を言えない」と感じてきた人ほど、この映画から受け取るものは多いはずです。
そして、観終わったあと、「あのときのあの人の嘘は、もしかしたら自分を守るための精一杯だったのかもしれない」と、少しだけ誰かを許せるようになるかもしれません。

高杉真宙さんの静かな熱、伊藤万理華さんと深川麻衣さんの成熟した存在感、森ガキ侑大監督の丁寧な視線が重なり合うことで、『架空の犬と嘘をつく猫』は、単なる“感動作”にとどまらない、心に長く残る作品になりそうです。

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