早稲田大学にソニーグループ寄附講座「クリエイティブエンタテインメント学」設置

日本のエンターテインメント産業と教育の最前線

2025年10月、早稲田大学基幹理工学部表現工学科において、ソニーグループが寄附する形で「クリエイティブエンタテインメント学」という新たな寄附講座が設置されます。この新講座は、国内外で拡大を続けるエンターテインメント産業の中で、革新を担う次世代人材を育成するという壮大な目的のもとに誕生しました。単なる技術の伝授ではなく、科学技術と芸術表現の融合、さらには実社会で役立つ応用力にも重点を置く、先進的な取り組みとして期待されています

講座設置の背景と狙い

日本のエンターテインメント産業は、アニメ、映画、音楽、ゲーム、舞台芸術など、多様な分野で世界的に高い評価を受け、近年は市場規模も着実に拡大しています。技術革新や社会の変化が日進月歩で進む中、AI、映像・音響技術、認知科学など幅広い領域の知見が、持続的な発展と競争力向上のカギとなってきました。このような状況下、産業をけん引する「
新しい専門性と表現力を両立した人材」の育成が求められています

  • 高度なテクノロジーの理解
  • クリエイティブな発想と実現力
  • 社会や倫理に配慮した応用力

今回の講座設置は、まさにこうした時代的要請への直接的な回答といえるでしょう。

ソニーグループと早稲田大学の産学協働による教育改革

今回の講座では、ソニーグループで活躍するエンジニアやコンテンツ制作者が登壇し、AIや最先端の映像・音響制作技術など、グローバルで通用する実戦的なノウハウを惜しみなく共有します。また、業界最前線の技術者である「Corporate Distinguished Engineer」らが、技術戦略や現場の課題解決手法などについて語ることで、学生が「今リアルに求められている力」を体系的に学べる構成となっています。

  • 講義テーマ:映像、オーディオ、コンテンツ制作、AI、倫理、アクセシビリティなど
  • 実例をもとにしたメディア論の解説
  • クリエイターの発想を支える工学的視点

加えて、早稲田大学・表現工学科が培ってきた「テクノロジーと芸術の横断的学際知」の知見も取り入れることで、理論と実践の両輪で教育が展開される点が特徴です

カリキュラムの具体像 ― 実践的・先進的学び

2025年度は、まず「クリエイティブエンタテインメント学Ⅰ ― 概念化」という科目が開講され、エンターテインメント制作の土台となる基礎概念や、最新技術の社会的インパクトに関する講義が並びます。その後も、今後3年にわたって複数のモジュールが展開される計画です

  • 全15回(予定)で構成、各回で異なる専門家が担当
  • 受講生同士のディスカッションやグループワークを重視
  • 映像・音響のプロトタイピングやAI活用のワークショップも実施
  • 修了時には、個人またはチーム単位で「未来のエンターテインメント」の新規提案を行う

学生たちは、実際にプロトタイピングに挑戦し、学内外のメンターやソニーの技術者から直接フィードバックを受けることができます。これにより「机上の空論」に終わらない、本当に社会で役に立つスキルを体得できる機会となるでしょう

開講記念シンポジウムの開催

この講座の設立を記念して、2025年9月2日には開講記念シンポジウムが開かれます。会場となる早稲田大学国際会議場・井深大記念ホールには、ソニーグループの執行役員や、表現工学科の教員、そしてこれから学びの場を共にする学生たちが集い、「表現工学とエンタテインメントの未来」をテーマに基調講演やパネルディスカッションなどが行われる予定です。

  • 講座の狙いや教育哲学の紹介
  • ソニーグループの最新技術展開事例の解説
  • AI活用とクリエイティブ表現、アクセシビリティを巡る討議
  • 若手制作者による新しい作品・アイディアの上映や展示

このイベントは、学生だけでなく教職員、業界関係者、一般市民も対象として広く門戸が開かれ、未来のエンターテインメントづくりに関心を持つ多くの人々に、新しい学びと交流のきっかけを提供します

早稲田大学表現工学科の特色

本講座を開設するのは、早稲田大学基幹理工学部表現工学科。ここでは「人間の感性×テクノロジー」に注目し、映像、音響、VR、AIなど多様な表現メディアの研究・教育が長年にわたり展開されています。多くの卒業生がゲーム、映画、広告、音楽、ソフトウェア開発など幅広い分野で活躍しており、実践力のあるクリエイターやエンジニアを国内外に送り出し続けています

  • 最先端メディア技術、認知科学、ユーザーインターフェースの専門研究
  • 企業との連携による課題解決型プロジェクト教育
  • 多様なバックグラウンドの学生同士が協働し合うカルチャー

この卓越した学際的土壌と、ソニーグループのグローバルな産業ノウハウが掛け合わされることで、今までにない価値観・スキル体系が生まれることが大いに期待されています。

ソニーグループの取り組みと産業界への波及効果

ソニーグループは、音楽・映画・ゲーム・AI・ロボティクスなど多領域で世界トップクラスの技術力と企画力を誇ります。近年は、業種や国境を超えて「ヒトの感動」「コミュニケーション」「共創」を生み出す新たな挑戦に積極的です。今回の講座設置は、そうした戦略の一環として位置づけられ、業界全体の人材クオリティ向上やイノベーション加速に寄与する重要なプロジェクトです

  • 企業独自の技術・事例を、教育現場で活用
  • 産学連携により新しい研究・開発課題の創出
  • 多様な専門性を持つ次世代リーダーの社外育成

特に、従来の枠に縛られない「融合型人材」の育成が進めば、制度設計や企業文化にも新風を吹き込み、より創造的な産業環境の実現に貢献するでしょう。

学生・社会人・業界関係者へのメッセージ

今回の講座設置は、早稲田大学で学ぶ学生たちはもちろん、業界を目指す多くの若者や、現役エンジニア・クリエイター、さらには教育関係者や一般市民にまで、新しい学び・出会い・コラボレーションの実現をもたらします。エンターテインメント産業を牽引する人材への第一歩を踏み出したい方、最先端現場で活躍するプロとリアルな対話を重ねてみたい方などにとって、これ以上ない成長のチャンスとなるはずです。

  • 多様性を担保し合う学びのコミュニティ形成
  • 社会課題解決と持続可能な産業発展への寄与
  • 国内外問わず新規事業やイノベーション活動への波及

今後のカリキュラム内容のさらなる充実、業界内外での共同プロジェクト展開などにも、ぜひご期待ください。

おわりに

早稲田大学とソニーグループによる「クリエイティブエンタテインメント学」寄附講座の設立は、教育と産業、技術とクリエイティビティの融合体験を社会に提供するものです。これからのエンターテインメントを担う、創造力と実践力を兼ね備えたリーダーたちが、ここから数多く生まれ全国・世界へと羽ばたくことでしょう。

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