江口のりこ、劇団東京乾電池で培った25年――柄本明と共演する「また本日も休診 山医者のうた」にかける想い

はじめに

江口のりこという名前は、近年、ドラマや映画で見かけない日はないほどの活躍ぶりを見せています。2025年10月11日、彼女が出演する舞台『また本日も休診 山医者のうた』が開幕しました。本作は、劇団東京乾電池の座長・柄本明さんが主演を務め、江口さん自身も所属する、彼女の原点とも言える“劇団東京乾電池”での濃密な日々が支えとなった作品でもあります。今回は女優・江口のりこの人物像に焦点をあてつつ、彼女が語った思いや舞台への取り組み、そしてその礎となった劇団での日々について、やさしい言葉で紐解いていきます。

江口のりこ、話題の舞台で村人・民代を演じることに

2025年10月11日、明治座で幕を開けた舞台『また本日も休診 山医者のうた』。原作は見川鯛山先生の自伝的エッセイ『田舎医者』シリーズです。物語の舞台となるのは、那須高原の山奥に位置する小さな診療所。医師・見川鯛山(柄本明)と、そこに暮らす村人たちが織りなす日常を描くハートフルな物語です。

江口のりこさんが今回演じるのは、村人・民代。山中でひとり暮らしをしているという、少し人付き合いが苦手な女性です。江口さんはこの役柄について次のように語っています。

  • 「とても温かく柔らかいお話。自分もその一員としてやっていけたら――と思っています」
  • 「村人との交流もあるので、面白くやれたらいいなと思います。笑えるところもたくさんあるので、観客のみなさんにも楽しんでほしい」

実際、江口さんの穏やかで自然体な演技は、舞台でも存分に活かされています。彼女自身、「芝居って面白いな、楽しいな」と感じる度に、その初心に帰る気持ちになるそうです。

劇団東京乾電池との出会いと、25年の歩み

江口のりこさんが劇団東京乾電池に入団したのは2000年。当時19歳でした。柄本明さんやベンガルさんが出演する日本映画をよく観ていた彼女は、「乾電池に入ったら良いことがあるかもしれない」と思ったと言います。また、劇作家・岩松了さんの作品に触れ、「面白い劇団なんだろうな」と直感して劇団の門を叩きました。

それから25年。数々の舞台で“場数”を踏み、時に悩みながらも着実に成長を重ねてきた江口さん。彼女にとって、劇団は人生の「礎」となっています。インタビューの中で、江口さんは劇団での日々を振り返り、次のように語っています。

「劇団は芝居の基本を学ぶ場所。そこで出会った先輩や仲間から多くのことを学び、今の自分の基礎になっていると思います」

主演・柄本明との特別な現場

今回の舞台で主演を務めるのは、劇団東京乾電池の座長・柄本明さん。江口さんが「芝居の先生」と呼ぶ人物でもあります。

  • 「先生がそばにいるというのは…やりづらいですよね(笑)」
  • 「でも勉強になることばかり。稽古場でも本番でも、たくさんのことを吸収していきたいです」

この率直な言葉が語るように、尊敬と少しの緊張、そして大きな学びが共存する空間。それでも、“教わる”から“一緒に創る”へ、少しずつ役割も変わっていくことに江口さん自身やりがいを感じているようです。

多忙な毎日で感じた「自分の弱さ」と「役者としての初心」

ここ数年、江口のりこさんはテレビドラマや映画、舞台で引っ張りだこです。NHK連続テレビ小説『あんぱん』では主人公の母親役を好演し、さらには数々の映画賞も受賞しています。2021年の映画『事故物件 恐い間取り』で第44回日本アカデミー賞優秀助演女優賞、2025年には映画『愛に乱暴』で高崎映画祭最優秀主演俳優賞を受賞するなど、その実力は幅広く認められています。

「多忙な日々の中で自分の弱さを感じることも多い」と江口さんは語ります。しかし、どんな現場も「初心」を大切に取り組む姿勢は変わりません。

  • 「役者の仕事は、毎回初心を思い出すことが大事。経験を積んでいても、毎回新しい出会いや発見がある」
  • 「だからこそ強くなりたい、と自然に思う」

真摯に仕事と向き合い、「強くなりたい」と素直に語る江口さん。その人柄が、多くの作品や共演者、観客を惹きつけています。

変わらぬ感謝と挑戦心、未来へのまなざし

江口のりこさんは、これまで積み重ねてきた日々と、数え切れない経験に感謝しつつ、女優という「役割」に挑戦し続けています。

「歴史ある劇場で芝居ができることや、尊敬する先輩方と同じ舞台に立てることが、本当に嬉しい」と語る江口さん。若い頃に抱いた純粋な気持ちを胸に、新たな役柄や表現に日々向き合っています。

  • 「自分の表現が、誰かの心に届くならそれが一番の喜び」
  • 「これからも、舞台でも映像でも、与えられた役に誠実に向き合いたい」

これからも、地道に、誠実に、前進を続けていく――。その姿勢自体が、江口のりこさんの魅力なのでしょう。

舞台『また本日も休診 山医者のうた』公演情報

  • 公演日:2025年10月11日~2025年10月26日
  • 会場:明治座(東京都)ほか
  • 脚本・演出:田村孝裕
  • キャスト:柄本明、佐藤B作、渡辺えり、笹野高史、江口のりこ 他

チケットは各種プレイガイドで販売中です。東京乾電池のメンバーによる、息の合った舞台をぜひ劇場で体感してください。

おわりに

江口のりこさんにとって、劇団東京乾電池は役者としてだけでなく、人としても大きな成長を遂げた“原点”です。彼女がここまで歩んできた道、そしてこれからも真摯に挑戦し続ける姿に、劇場で、画面越しで、多くの人が勇気と温かさをもらうことでしょう。新たなステージに立つ江口さんの活躍を、これからも心から応援していきたい――。そんな気持ちにさせてくれる、今もっとも注目すべき俳優のひとりです。

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