任天堂タイトルが日本最大級RTAイベントから除外―その背景と波紋
はじめに
日本のゲームコミュニティにおいて大きな転機となったのが、2025年8月に起きた「RTA(リアルタイムアタック)」イベントでの任天堂タイトルの除外です。RTAは、ゲームを最速でクリアする「スピードラン」競技として、長年日本や世界のゲーマーに親しまれてきました。特に日本国内では、チャリティ目的などの良識ある運営によって多くの支持を受けてきました。しかし今年、任天堂が主催者に対し「各タイトルごとに使用許可申請が必要」と通告したことで、会場の空気が一変しました。
RTAイベントとは?
RTA(リアルタイムアタック)イベントは、ゲームを最短最速でクリアすることを競う大会です。ジャンルは幅広く、アクションからパズル、RPGなど様々なタイトルが対象となります。その中でも、任天堂の『ポケモン』や『スーパーマリオ』、『ゼルダの伝説』など、著名タイトルが毎年人気のメイン競技となっていました。
- 毎年多くのゲームファンがオンラインやオフラインで視聴・参加
- 収益はチャリティやコミュニティ活動の支援に充てられるケースも多い
- 競技者は攻略技術や知識を競い合い、時に世界記録も生まれる
今回の経緯と任天堂の対応
2025年の日本最大級RTAイベントでは、運営側が例年通り任天堂の有名ゲームを中心にラインナップを準備していました。その矢先、任天堂から「各タイトルごとに個別の利用申請が必要」との連絡が入り、急遽全ての任天堂タイトルの除外を決定せざるを得ない状況となりました。
- 任天堂が「9年間のRTAイベントで任天堂タイトルが無許可で使用されてきた」と指摘
- 主催者は今後のイベントでもタイトルごとの使用許可申請が必要と説明を受ける
- 対応困難と判断し、今年度は任天堂製タイトルの全排除を決定
コミュニティの反響――失望と疑問
任天堂タイトルはRTAイベントの象徴的な存在であり、多くの参加者・視聴者にとって大きな楽しみでした。今回の除外は、ゲームファンのみならず、チャリティ活動に携わる人々からも大きな驚きと戸惑いの声が上がっています。
- 長年愛されてきた『マリオ』『ポケモン』『ゼルダ』が消滅
- 今までの“無許可”を問題視され、今後も使用には厳しい申請ルールが課される可能性
- 寄付金集めや社会貢献目的のイベントにも影響が及ぶ
イベント参加者やゲームコミュニティからは、「なぜ今年突然厳格な方針変更が?」という疑問や、親しみのあった任天堂に対する失望の声がSNSを中心に広がっています。
任天堂の方針――法的な背景は?
著作権法の観点から、ゲーム会社がタイトル利用規約を定めるのは当然の権利です。ただし、RTAイベントの場合は商業目的ではなく、コミュニティ活動やチャリティが主な目的であることから、長年「黙認」に近い形で運営されてきました。それが今年、公式に「許可申請の義務」が示されたことで、今後はより厳格な体制になる可能性が指摘されています。
- 任天堂は「ゲーム映像の利用には著作権上のルールがある」との立場
- 「これまでの9年間は無断利用だった」と通知
- 今後の利用には全タイトルごとの申請が必須
RTAイベント運営側の対応と今後
イベント運営側は、任天堂ゲームの除外という苦渋の決断に至りました。しかし根本的な問題解決には至っておらず、来年以降「許可申請が通れば復帰」はできても、申請の煩雑さや不透明性が課題として残ります。
- 任天堂以外のゲーム会社は今まで通り、申請不要または簡易な手続きでイベント参加が可能
- 来年以降再び任天堂タイトルのRTAが実現するかは現時点で未定
- 今後のRTAイベントは運営・参加者ともに慎重な判断が求められる
参加者・視聴者の気持ち――「ゲームの楽しみ」「共有の場」はどうなる?
今回の除外によって、長年築かれたゲームコミュニティの一体感が揺らぐことは避けられません。子どもから大人まで多くのファンが見守ってきたイベントだけに、「せめてチャリティ目的では柔軟な対応を」といった声も見受けられます。
- コミュニティからは失望とともに「次善策」を模索する動き
- ほかのゲームタイトルで競技の盛り上がりを維持
- 新たな著作権ルール制定を求める署名活動も開始
業界全体への影響
任天堂の今回の方針転換は、今後のゲームコミュニティ全体に波及する可能性も指摘されています。RTAイベントだけでなく、一般の実況や配信、攻略動画などにおいても「権利許諾」の明確化が求められ始めています。
- 実況・配信業界:今後、より厳格なガイドラインが業界標準になる可能性
- ゲームイベント:タイトル利用許可のための体制整備が迫られる
- ユーザー参加型イベントの減少リスクと「ゲーム文化の多様性」の課題
まとめ――新たな「ゲーム文化」の幕開けへ
今回の任天堂タイトルRTAイベント除外は、著作権意識の高まりに伴うものであり、企業・コミュニティ両者にとって大きな試金石といえるでしょう。これからのRTAイベント運営には、適切な権利許諾と、参加者・視聴者とのより良い関係づくりが求められます。今後も「ゲームの楽しみ」を守り抜くための新たな工夫や議論が続いていくことでしょう。
参考元
- Nintendo-owned titles excluded from Japan’s biggest speedrunning event after organizers were told they had to apply for permission for each game
- Japanese charity event forced to pull titles published by Nintendo
- Nintendo scores a masterful own-goal by forcing its games out of a 9-year old charity speedrunning event, tells organisers those 9 years ‘constituted unauthorized use’ for good measure