「THE W」審査をめぐる波紋と本音 粗品の講評に揺れた女芸人たちと、王者ニッチェが見た景色
女芸人ナンバーワンを決める大会「THE W 2025」。
今年は、霜降り明星・粗品さんが初めて審査員を務めたことで、大会そのものだけでなく「審査」が大きな話題になりました。
その余波は、出場した芸人たちの表情やコメント、そして現場をよく知る人物たちの“裏話”として、今もじわじわと広がっています。
中でも注目を集めたのが、決勝まで勝ち進みながらも優勝を逃した紺野ぶるまさんの、粗品さんの総評中に見せた「苦い表情」。
一瞬の表情は「不満」や「怒り」とも受け取られましたが、その真相を明かしたのが、お笑いトリオ「安田大サーカス」のクロちゃんさんでした。
一方で、決勝に名を連ねたニッチェをはじめとする女性芸人たちは、この大会とどう向き合い、粗品さんの審査をどう受け止めたのでしょうか。
「THE W」が女性芸人にもたらす意味や、より先へ進むための課題と可能性を、今回の騒動を手がかりに考えてみます。
紺野ぶるまの「苦い表情」は本当に“不満”だったのか
まずは、もっとも話題となった紺野ぶるまさんの表情の真相から整理します。
- 「THE W」決勝で優勝を逃した紺野ぶるまさんは、エンディングでの粗品さんの辛口総評の際に、どこか苦々しい表情を浮かべているように見え、視聴者の間で「怒っているのでは」「納得していないのでは」と憶測が広がりました。
- クロちゃんさんによると、このシーンはテレビ朝日「クロナダル」で話題になり、「粗品が『1000万円の価値がない』と言った時、ぶるまが“ん?”という顔をしていた」とナダルさんが振り返ったといいます。
しかし、この「苦い表情」は、実はまったく別の事情によるものだったとクロちゃんさんは説明しています。
- 紺野ぶるまさんは、優勝したエルフが発表されたタイミングで、「おいなりさんを使って“あげー”とやるつもりだった」といいます。
- ところが、実際の空気を見て「ここでやると変な空気になる」と判断し、すでに口に含んでいた“いなり”をどうするか迷っていた、その一瞬の表情だったと説明されたのです。
- つまり、視聴者からは「不満そう」に見えたその顔は、「ギャグをやるかやめるか」と「口に入れたおいなりさん」のせいでもあったという、かなりややこしい状況だったわけです。
番組内でこの経緯を聞いたナダルさんも、「そんなややこしい事情があったんだ」と納得していたと伝えられています。
テレビを通して切り取られた“一瞬の顔”が、本人の本心とは違う形で広まってしまうことは少なくありませんが、今回もまさにその典型といえそうです。
「自分への講評が聞きたかった」紺野ぶるまの本音
クロちゃんさんが明かしたのは、表情の理由だけではありません。
そこには、「賞レース」と向き合う芸人としての紺野ぶるまさんの本音がありました。
- クロちゃんさんによると、紺野ぶるまさんは「自分への総評を聞きたいなと思っていた」と話していたといいます。
- 結果として、粗品さんからは自分に対する具体的な評価があまり語られなかったため、「ん~」という表情になってしまったという見方も紹介されました。
- その後、粗品さんがYouTubeであらためて総評動画を公開したことを受け、紺野ぶるまさんは「いてくれて良かった」と強く話していたとクロちゃんさんは明かしています。
ここから浮かび上がるのは、「ダメ出し」や「辛口コメント」がつらいからではなく、真剣に向き合ってくれる審査員の言葉を求めているという姿です。
自分のネタがどう見られ、どこに可能性があり、どこが弱いのか——それを正面から語ってほしいという思いこそが、紺野ぶるまさんの“表情の奥にあった気持ち”だったと受け止められます。
粗品の「長尺講評」と会場の緊張感
今回の「THE W」では、粗品さんの長尺の講評も賛否含めて大きな反響を呼びました。
- 粗品さんは「女芸人No.1決定戦 THE W 2025」で審査員として生出演し、初の審査にもかかわらず、遠慮のないコメントや「おもんない」といったストレートな言葉を投げかける場面がありました。
- ネタの直後に長く細かい講評を行うスタイルは、会場の空気を一瞬ピリッとさせる一方で、「きちんと見て、理由を言葉にしてくれる」という意味で評価する声も上がっています。
「もう黙ってくれ」とツッコミを入れた芸人に対しても、粗品さんが即座に切り返す場面があったと報じられ、スタジオには独特の緊張感と笑いが同居する空気が生まれていました。
芸人同士だからこそ交わせる、ギリギリのやり取り。それは、単なる「辛口」ではなく、お笑いに対する真剣さの表れでもあります。
決勝に並んだ顔ぶれと、王者ニッチェの存在感
今年の「THE W」決勝には、さまざまなスタイルの女性芸人たちが名を連ねました。
- 紺野ぶるま(松竹芸能、2年連続5度目)
- もめんと(マセキ芸能社、初)
- 電気ジュース(吉本興業、初)
- エルフ(吉本興業、4年連続4度目)
- ニッチェ(決勝進出)
中でもニッチェは、これまでにも女性芸人のトップを決める戦いで上位に名を刻んできたコンビとして、今大会でも大きな注目を集めました。
豊かなキャラクターとコント力、安定感のある掛け合いで知られる彼女たちは、単に「女性芸人」の枠にとどまらず、バラエティ番組や舞台、ドラマなどでも幅広く活躍しています。
「THE W」は、その実績あるコンビにとっても、あらためて自分たちの笑いを試される場であり、次の一歩を考えるきっかけになる場といえます。
審査が厳しくなればなるほど、そこに立つ芸人側も「より高い基準で自分たちを測る」ことを迫られるからです。
ニッチェは粗品の審査をどう見たか——「めちゃくちゃ…」の余韻
大会翌日、粗品さんの審査について王者ニッチェ 詳細なコメントは報道ごとに表現が異なりますが、「めちゃくちゃ…」という言葉を含む反応が伝えられています(ニュース内容2)。
ここで重要なのは、ニッチェが粗品さんの審査を一方的に批判したわけでも、持ち上げただけでもない、という点です。
長尺の講評や辛口コメントを前にしながらも、芸人同士として「何を意図しているのか」「どこを評価し、どこを課題と見ているのか」を冷静に受け止めている姿勢がにじみます。
ベテランとしての経験を持つコンビにとって、「THE W」は飛躍を目指す若手の大会であると同時に、自分たちの現在地を測るバロメーターでもあります。
厳しい審査員の言葉は、痛みを伴いながらも、ネタの精度を上げ、次の仕事につながる「材料」に変えていくことができます。
ニッチェの反応には、そのようなプロとしての受け止め方が反映されていると考えられます。
「女性芸人が先へ進むため」の大会としてのTHE W
今回の一連の報道の背景には、「THE W」という大会が、単なるバラエティ番組ではなく、女性芸人がキャリアを前に進める装置として機能している、という認識があります(ニュース内容3)。
- 「THE W」は、女性芸人にスポットを当てる希少な賞レースとして、芸歴や所属事務所を問わず、多様なスタイルの芸人が参加する場となっています。
- 決勝進出や優勝は、その後のテレビ出演、劇場出番、イベント出演などにつながり、芸人としての仕事の幅を大きく広げます。
- 一方で、「女性芸人」という括り自体への議論や、審査基準の透明性、審査員の顔ぶれなど、毎年のように議論が起きる大会でもあります。
だからこそ、今回の粗品さんのように、若くしてM-1王者となり、お笑いファンからも評価の高い芸人が審査員を務めることには、大きな意味があります。
それは、「女性芸人だけの大会」から、「お笑い大会」としてより広く認識されていくプロセスの一部とも言えるでしょう。
辛口審査は「敵」か「味方」か——芸人たちの受け止め方
粗品さんの「1000万円の価値がない」という言葉は、文面だけを切り取ればかなり強い表現です。
しかし、そこには「優勝賞金1000万円」にふさわしいネタを見せてほしいという期待と、「もっと行けるはずだ」という視点も含まれていると考えられます。
紺野ぶるまさんのケースのように、本人はむしろ「ちゃんと評価してほしい」と願っており、その後YouTubeでの総評を見て「いてくれて良かった」と語っていることからも、厳しい審査=敵ではないことがわかります。
ニッチェのような実績あるコンビ、初の決勝進出となった若手コンビ、何度も挑戦を続ける中堅勢——立場は違っても、「自分たちのネタをどう見られているか」を知ることは、次の一歩を考えるうえで欠かせない材料です。
辛口なコメントであっても、芸人たちはそれを“武器”に変えることができます。そこに、「THE W」が単なるお祭りではなく、「女性芸人が先へ進むため」の大会とされる理由があるのでしょう(ニュース内容3)。
ニッチェが体現する「その先」のキャリア像
「THE W」の舞台に立つニッチェの存在は、若手女性芸人にとって、ひとつのロールモデルでもあります。
- ネタ番組・バラエティだけでなく、ドラマやラジオ、イベントMCなど、活動の場を広げていること。
- コンビとしての掛け合いに加え、「女優的な演技力」「人柄のにじむトーク」といった要素で、長く愛されるポジションを築いていること。
- 女性であることを前面に出すネタもあれば、性別を超えた「人間味」や「日常」をテーマにしたネタもあり、幅の広い笑いを作っていること。
こうしたキャリアは、一度の優勝や一時のブームだけでは築けません。
「THE W」のような大会で名を知られ、その後もコンスタントにネタを作り続け、番組に呼ばれたらきちんと結果を出し続ける——その積み重ねの先にあります。
だからこそ、ニッチェのようなコンビが今も「THE W」に関わり続けることは、大会そのものの価値を支える要素でもあります。
彼女たちの存在が、「この舞台の先には、こういうキャリアがありうる」という“未来像”を、後輩たちに見せているのです。
「一瞬の表情」の裏にある、芸人たちの覚悟
今回、紺野ぶるまさんの「苦い表情」は、結果として誤解を呼びましたが、その裏には「おいなりさんで“あげー”をやろうとしていた」という、芸人らしい仕込みと判断、そして「自分への講評を聞きたかった」という真剣な思いがありました。
粗品さんの辛口コメントも、ニッチェら実力派女性芸人の受け止め方も、その根底にあるのは「もっと面白くなりたい」「もっと上へ行きたい」という気持ちです。
「THE W」は、その覚悟がぶつかり合う場だからこそ、一つひとつの言葉や表情が大きく取り沙汰されます。
けれど、テレビ画面に映るのは、ほんの数分間のネタと、数秒の表情、短いコメントだけです。
その背後には、何年にもわたる芸歴や、ライブでの試行錯誤、ネタ作りの苦悩、そして「いつか報われたい」という静かな願いがあります。
ニッチェ、紺野ぶるま、エルフ、そして多くの女性芸人たちが、「THE W」を通じて次のステージへと歩みを進めようとしています。
その道のりを支えるのは、笑いに本気で向き合う芸人たちと、それをきちんと評価しようとする審査員、そして画面の向こうで見守る視聴者一人ひとりなのかもしれません。



