映画『国宝』がアカデミー賞へ――LAでPRイベント開催、全世界が注目する理由
日本映画界を揺るがす話題作『国宝』
映画『国宝』は、2025年の日本映画界において最も大きな反響を呼ぶ作品の一つとなりました。本作は、人気作家・吉田修一氏による同名小説を原作とし、李相日監督が10年以上にわたり構想を練り上げた渾身の一本です。その圧倒的な完成度と伝統文化へのまなざしが高く評価され、第98回アカデミー賞国際長編映画賞部門の日本代表作品に選ばれました。
今作の物語――歌舞伎黄金期を生き抜いた男の半生
『国宝』は、任侠の家庭に生まれながら上方歌舞伎の名門に引き取られた「立花喜久雄」の50年間を描きます。父親の影と向き合いながら、美と芸のために人生すべてを捧げる喜久雄。主演の吉沢亮は、稀代の女形として評価される主人公を情熱と繊細さをもって体現し、新たな代表作と呼ぶにふさわしい存在感を見せています。脇を固めるのは、喜久雄の宿命のライバル・俊介役の横浜流星、喜久雄を引き取る歌舞伎役者・半二郎役の渡辺謙ら、日本映画界の一線級俳優たちです。
観客・批評家双方から熱烈な支持、記録的なヒットへ
公開は2025年6月6日。当初より話題を集め、公開77日で動員782万人、興行収入110億円を超え、最終的には歴代邦画実写2位・170億円超に迫るまでの空前の大ヒットとなりました。TAMA映画賞では主要3冠（最優秀作品賞・最優秀男優賞・最優秀新進男優賞）に輝き、吉沢亮は“2年連続最優秀男優賞”という史上初の快挙を達成。監督が10年かけて描き出した「伝統芸能の本質と人の美」が、多くの観客の心に深く届いたことの証明です。
世界進出――アカデミー賞の舞台へ、ロサンゼルスでの快進撃
国内での大成功を経て、『国宝』はついに世界の舞台へ。2025年11月14日、アメリカ・ロサンゼルスにて現地PRイベントと上映が開始されました。本イベントは、第98回アカデミー賞国際長編映画賞部門日本代表作品としての選出を受け、世界最大の映画祭であるアカデミー賞に向けた本格的なプロモーション活動の一環です。現地の会場では多くの映画関係者・報道陣・在米日本人が詰めかけ、主人公・吉沢亮らキャスト、李相日監督による舞台挨拶やパネルディスカッションが大きな話題となりました。
- 特に英語字幕版の外国人観客からは「別世界に連れていかれた」「日本文化が想像以上にスリリングだ」といった絶賛の声が相次いでいます。
- ハリウッドの映画人からも「身体性のリアリズム」「400年を超える日本文化への深いまなざし」といった評価が多数寄せられました。
- SNSや映画専門誌でも「美と痛みの交錯を描く傑作」として多くの人に語られています。
吉沢亮、韓国版ポスターと現地公開でグローバルへの扉を開く
同時期には韓国での公開もスタートし、吉沢亮による韓国語メッセージや“韓国版ポスター”の公開も行われました。アジア全域、そして欧米へと、「国宝」の魅力は急速に国境を越えています。映画祭などを通じて、日本が世界に誇る「文化の遺産」としての評価が広がっているのです。
- 韓国では韓国語吹替・字幕バージョンも同時公開され、地元メディアから「本格的な芸の映画」として大きく取り上げられました。
- 吉沢亮は現地で記者会見を行い、「歌舞伎という日本文化の美しさをアジアの皆さんにも感じてほしい」と語りました。
アカデミー賞ノミネートへの期待感と今後の展望
『国宝』は、最終的にアカデミー賞国際長編映画賞の“上位15本”へ進出、さらには5本の正式ノミネート発表へと期待が膨らみます。発表は2026年3月15日に行われる予定。この快進撃の背景には、単なる芸能映画を超えて“人生と文化”“生と死”“伝統と革新”を重層的に描き切った物語の力、そして俳優陣とスタッフの圧倒的な熱意と職人技があります。
監督は、制作段階から「伝統をただ受け継ぐのではなく、今を生きる人びとにどのように響くか」を問い続け、そのビジョンが国境を超えて受け入れられつつあります。また、歴史や文化への真摯なまなざし、多様性と継承の物語としての普遍性、歌舞伎の“人間の芯に宿る美”を映像化するという難題に挑み続けた姿勢が、世代や国を超えた共感を呼んでいます。
史上の名作と並ぶ存在感――映画『国宝』の社会的インパクト
大ヒットを記録した『国宝』は、エンターテインメントとしてだけでなく、日本文化の新たな発信拠点ともなりました。歌舞伎という400年の伝統芸能、その中で生きる人々の葛藤や希望を大きなスクリーンで描ききることで、かつてない程に幅広い層の観客を劇場に呼び込んでいます。「国宝」は記録や受賞だけでなく、世代の継承、文化の未来、海外市場への挑戦という、多層的な意味を持った一本となっています。
- これまでアカデミー賞を席巻した日本映画――『万引き家族』『ドライブ・マイ・カー』と並び、今世紀の日本映画史における新たなマイルストーンとなる可能性を秘めています。
- 大規模な海外上映の盛況、日本映画の新しい“世界発信型モデル”として今後も注目を集めるでしょう。
- 主演の吉沢亮をはじめ、若手・実力派俳優の台頭は、邦画界全体の底上げや新たな才能発掘のきっかけとなっています。
まとめ：『国宝』が切り拓く未来、日本映画への新たな期待
映画『国宝』は、日本で生まれた物語が世界を感動の渦に巻き込む可能性を体現しています。アカデミー賞という舞台で、日本映画の“芸”と“魂”がどこまで通用するのか――今後の動向に国内外の注目が集まっています。伝統と革新が交差する感動作として、今後も世代と文化を超えて語り継がれていくことでしょう。
