筒井真理子と「もういちどみつめる」──生きづらさに寄り添う新作映画

2025年11月22日、佐藤慶紀監督の最新作『もういちどみつめる』が新宿 K’s cinemaほか、全国順次公開されます。本作の主人公・典子役を演じるのは、日本映画界を代表する名優、筒井真理子さん。「淵に立つ」「よこがお」から「波紋」まで、多くのヒューマンドラマで圧倒的な存在感を放ってきた筒井さんが、生きづらさを抱える女性の心情に真正面から挑みました

物語の舞台──森とキャンプ場、心のリトリート

映画の舞台は静かな森に佇むキャンプ場。ここで慎ましく暮らす典子のもとへ、少年院出所から1年、生きづらさを抱える甥・ユウキ(髙田万作)がやって来ます。典子は見た目こそ普通ですが、他者とのコミュニケーションに困難を抱えて生きてきた女性。ユウキもまた、複雑な家庭環境と過去のしがらみに苦しみながら、自らの居場所を探し続けています

  • 典子:他者とのやりとりが苦手で、人間関係に悩みを抱えている女性。
  • ユウキ:少年院を出て1年。新たなスタートを切ろうとするも、過去の重さとも向き合い続けている18歳。

森という閉ざされたようで開かれた空間は、2人が静かに、本音でふれあうための「心のリトリート」として描かれます

「人を信じる力」に共鳴する筒井真理子の演技

筒井真理子さんは本作のインタビューで、生きづらさを抱える主人公=典子に深く感情移入し、「人を信じる力」に感動したと語っています。心理学への関心から専門書を読み込み、役作りや現場で「どうすれば人を信じることができるのか」、その葛藤と希望を細やかに表現しています

  • 典子は、すぐに人を許すわけではなく「向き合う姿勢」で、甥ユウキに寄り添います。
  • 「人を信じたいけれど、信じられない」――そんな心の揺れを、筒井さんは静かで力強い表情で体現しています。
  • 心理学への造詣で、セリフごとに「言葉の意味」を深め、観客の心へまっすぐ問いかけます。

この役柄について筒井さんは「この映画はどうしても演じたかった」と情熱を語り、実際に現場でも脚本の行間や設定を細かく確認。人と人が本音で向き合う難しさ、それでもわかり合おうとする力を全身で表現し、見る人に希望を与えます

佐藤慶紀監督──法律と社会への問いかけから生まれた物語

佐藤慶紀監督は2022年の少年法改正を契機に「18・19歳に対する厳罰化」に懸念を持ち、この映画を企画したと明かしています。「生きづらさを抱えた若者の現実」に寄り添い、対話の重要性――「見つめる」ことの意味――を強く打ち出しています

  • 主人公が直面する困難を「すぐに許す」ことで流したりせず、「シャットダウンせずに向き合う」姿勢に重きを置いた脚本。
  • 監督自身がキャスト選びや演出にこだわり、「演技に間違いがない」筒井真理子さんを熱烈オファー。
  • 「写真を見た瞬間からイメージに合う」と髙田万作さんを重要パートに抜擢。

さらに高田万作さん演じるユウキは「少年院の退所者」という現実に向き合う若者。典子とユウキの心の交流を通し、「社会の枠」や「家族のしがらみ」を超えて本音の対話を描いています

キャスト・スタッフ──個性の際立つ俳優陣

本作は筒井真理子さん・髙田万作さんのダブル主演。共演には、にしやま由きひろ、徳永智加来、中澤実子、吉開湧気、リコ(HUNNY BEE)、内田周作、川添野愛など、幅広い世代と個性豊かな俳優陣が参加。物語の奥行きと「心のふれあい」を立体的に描きます

  • 監督・脚本・編集・プロデューサー:佐藤慶紀
  • プロデューサー:小林良二
  • 撮影:喜多村朋充、大渡仁
  • 録音・スチール:近藤俊哉
  • 助監督:齋藤成郎
  • メイク:桐山雄輔
  • 衣裳:チバヤスヒロ
  • 音楽:中野晃汰

配給は渋谷プロダクション、制作はAerial Films。上映後には舞台挨拶やサイン会も予定されています

評論家・観客の評価

早くも各映画祭で注目を集める『もういちどみつめる』。釜山国際映画祭出品の監督という評価の高さに加え、典子とユウキの「心が通じる瞬間」に観客が涙を誘われたという声も多数。心理描写の繊細さ、森の静謐な映像美など、話題のヒューマンドラマとして高い支持を得ています

  • 「人を信じたいけど、信じられない」主人公の悩みに共感し、その再生の物語に勇気づけられるとの声。
  • 「生きることの苦しさ」に寄り添う描写が、今を生きる世代の気持ちを映していると好評。
  • 家族、コミュニケーション、社会との距離感を通して「自分の居場所を考えるヒント」を与えてくれる。

インタビューでも筒井真理子さんは「この映画が誰かの人生の光になれば」と語っており、作品が観客の心に希望を灯すことを願っています

雑感とメッセージ──優しさと再生の人間ドラマ

『もういちどみつめる』は、いまの日本社会にも通じる「人間関係の難しさ」「生きづらさ」というテーマに、登場人物たちが真正面から向き合い、ふれあい・再生・信じる力の大切さを静かに語りかけます。森とキャンプ場という舞台は、自然の静けさを通して、心と心が重なり合う瞬間を鮮やかに描きます。

主演・筒井真理子さんと監督・佐藤慶紀さんの強い思いが集結し、「生きづらさ」を抱える人々にそっと寄り添う一作となりました。この映画を観ることで、他者を信じてみる勇気、心を開くきっかけを受け取れるでしょう。

映画『もういちどみつめる』作品情報

  • 公開日:2025年11月22日(土)
  • 上映館:新宿 K’s cinemaほか全国順次公開
  • 上映時間:113分
  • 配給:渋谷プロダクション
  • 監督・脚本・編集:佐藤慶紀
  • 出演:筒井真理子、髙田万作、にしやま由きひろ、徳永智加来、中澤実子、吉開湧気、リコ(HUNNY BEE)、内田周作、川添野愛
  • 舞台挨拶・サイン会:各上映後・詳細は公式サイトでご確認ください

この冬、あなたも筒井真理子さんとユウキの「もういちどみつめる」物語に、心をそっと重ねてみませんか。

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