久保史緒里、乃木坂46への“手紙”に込めた9年分の想い──「過去も未来も今も、愛しています」

乃木坂46の中心メンバーとして9年間グループを支えてきた久保史緒里さんが、横浜アリーナでの卒業コンサートを経て、自身のブログで乃木坂46に宛てた「手紙」のような文章を公開しました。「過去も未来も今も、愛しています」という言葉に象徴されるそのメッセージは、メンバーやファンだけでなく、グループそのものへの深い愛情と感謝にあふれた内容として大きな反響を呼んでいます。

横浜アリーナ2日間の卒業コンサート 9年間の集大成

久保さんは11月26日・27日の2日間、神奈川・横浜アリーナで卒業コンサートを開催しました。9年間の活動の節目として行われたこのライブは、本人にとっても、乃木坂46にとっても、大きな区切りとなるステージでした。

会場には多くのファンが集まり、久保さんが歩んできた軌跡を楽曲と演出でたどるような構成で進行。これまでのシングル曲や、自身にゆかりの深いユニット曲・期別曲などが披露され、MCではメンバーとの思い出や、支えてくれたファンへの感謝、そしてこれからの乃木坂46への期待が、丁寧な言葉で語られました。

卒業コンサートから日が経った今も、メンバーの公式ブログでは、久保さんとのエピソードや、別れの寂しさ、感謝の気持ちを綴る文章が相次いでいます。あるメンバーは、久保さんからもらった手紙の筆跡を「指でなぞっては、あの日の温度を感じています」と表現し、「お手紙、ずっとずっと、宝物です」とその存在の大きさを語っています。それほどまでに、久保さんはメンバー一人ひとりと向き合い、言葉を贈り続けてきた存在でした。

ブログにつづられた「乃木坂46への手紙」

卒業コンサートを終えた久保さんは、後日更新した自身の公式ブログで、乃木坂46に宛てた“手紙”のような文章を公開しました。そこには、グループに加入した日から、卒業を迎えるまでの時間を振り返りながら、支えてくれた人々への感謝、そしてグループそのものへの深い愛情が綴られています。

特に注目を集めたのが、「過去も未来も今も、愛しています」というフレーズです。この言葉は、久保さんにとって乃木坂46が「一時期所属していたグループ」ではなく、時間軸を超えて心の中にあり続ける大切な居場所であることを示しています。過去に共に過ごした時間、卒業後の未来の乃木坂46、そして今この瞬間を生きるメンバーやファン。そのすべてに対して「愛している」と言い切る言葉は、多くの人の胸に深く響きました。

ブログで綴られた内容は、9年間の活動の中で感じた喜びや葛藤、支え合ってきた仲間への想いがにじむ、まさに“ラストレター”のような温かさと重みを持ったメッセージとなっています。それは同時に、ひとりのアイドルとしてだけでなく、ひとりの人間として成長してきた彼女の軌跡を照らし出すものでもありました。

「大丈夫になれる力」をくれた存在としての乃木坂46

久保さんがブログやインタビューなどで繰り返し口にしてきたのは、「乃木坂46があったから、前に進むことができた」という思いです。華やかな表舞台の裏で、不安やプレッシャー、葛藤と向き合いながらも、彼女が歩みを止めなかった背景には、グループやファンの存在がありました。

その中でも象徴的なのが、「大丈夫になれる力」という言葉です。落ち込んだとき、悩んだとき、ふと楽曲に救われたり、メンバーとの会話に背中を押されたり、ファンの言葉に支えられたりする…。そうした積み重ねが、彼女の心に「大丈夫だと思える力」を育んでいきました。

乃木坂46の楽曲やライブ、そしてラジオやブログなどの言葉は、多くのファンにとっても「大丈夫になれる」きっかけとして機能してきました。久保さん自身も、アイドルとして発するメッセージが、どこかで誰かの支えになっていることを強く意識して活動してきた一人です。だからこそ、彼女が乃木坂46に向けて「愛しています」と語るとき、その言葉の中には、自分を支え続けてくれた「大丈夫になれる力」への感謝が、静かに込められているように感じられます。

ラジオ「SCHOOL OF LOCK!」で語られた卒業コンサートの余韻

久保さんの卒業コンサートは、テレビやネットニュースだけでなく、ラジオの世界でも大きく取り上げられました。そのひとつが、TOKYO FMを中心に放送されている人気番組「SCHOOL OF LOCK!」です。

番組内では、パーソナリティの“にゃん先生”が、久保さんの卒業コンサートを振り返りながら、そのステージで感じた想いや印象深い場面を丁寧に言葉にしていきました。楽曲ごとの表情の変化、メンバーとの抱擁、会場を包んだ温かい拍手や歓声――そうしたひとつひとつが、リスナーに向けて優しく語られ、ラジオを通して卒業ライブの空気が共有されました。

「SCHOOL OF LOCK!」は「未来の鍵を握るラジオの中の学校」として、若い世代に寄り添いながらメッセージを届けてきた番組です。その中で、アイドルとしてだけでなく“ひとりの先輩”として、悩みながらも前に進んできた久保さんの姿は、多くのリスナーにとっても、背中を押してくれる存在になっていたはずです。卒業コンサートの振り返りは、単なるライブレポートにとどまらず、「これからの自分をどう生きていくか」を考えるきっかけにもなりました。

「LOST LETTER」に込められた、言葉にならなかった想い

久保さんは、乃木坂46卒業にあわせて、初の書き下ろしエッセイ『LOST LETTER』を2025年12月16日に発売します。タイトルにある「レター(手紙)」という言葉は、ブログでの“乃木坂46への手紙”とも強く響き合っています。

このエッセイは、乃木坂46からの卒業を、自身の人生における大きな節目として捉え、「24年間で得たものを、一度ここに全て置いていきたい」という思いから執筆されたものです。トップアイドルとして生きてきた9年間の中で書き溜めながらも、誰にも渡すことのなかった約150通の手紙が、彼女の部屋には残されていました。

卒業発表の直前、短い夏休みを利用して訪れた鹿児島・屋久島で、久保さんはその「渡せなかった手紙」を燃やすことを決意します。それは、これまでの自分との決別であり、新しい人生へのスタートを切るための、静かで大きな儀式でもありました。

エッセイでは、「人の目を気にしすぎる心で、どうしてアイドルという社会を9年間生き抜くことができたのか」「何故、私はわたしなのか」と、自分自身に問いかけながら、その答えを探るように言葉が綴られています。彼女は、この本が「生きづらい世の中で今日を生きるための休憩所」に少しでもなればうれしい、と語っています。

乃木坂46への“手紙”としてブログに書かれたメッセージと、燃やされてしまった150通の手紙、そして新しい形で本となる『LOST LETTER』。それぞれの「手紙」が示しているのは、言葉にすることの難しさと、だからこそ言葉にしようとする強さです。久保さんが乃木坂46で過ごした時間は、その両方を抱きしめるようにして積み重なってきたのだと感じさせます。

ファンと交わす「リアルレター」、続いていくつながり

卒業後も、久保さんとファンとの「手紙」のやりとりは続いていきます。乃木坂46公式アプリ「乃木坂46メッセージ」では、「久保史緒里 卒業コンサート」にあわせた特別なキャンペーンが実施されました。

  • 久保さんを含む複数メンバーを有料購読しているファンに向けて、「卒業コンサート記念レターテンプレート」に本人のプリントメッセージを加えたリアルレター(ポストカード)が送られる企画
  • 抽選で5名には、久保さんが直筆で宛名とサインを書いた特別なレターが贈られる企画
  • さらに、一定期間以上購読してきたファンには、久保さんからの限定メッセージ動画が配信される特典

これらの取り組みは、「乃木坂46への手紙」を綴った久保さんが、ファン一人ひとりにもまた「手紙」を返していこうとする姿勢を象徴するものでもあります。ステージ上のアイドルと客席のファンという関係を超えて、「言葉を届け合う仲間」として、これからもつながり続けたいという想いがにじんでいます。

また、通販サイトでは「久保史緒里プロデュース レターセット」と題したグッズも販売されました。卒業コンサート関連のプロデュースグッズの一つとして用意されたこのレターセットは、久保さんらしい“手紙”というモチーフにこだわったアイテムです。ファンが誰かに手紙を書くとき、自分の気持ちを丁寧に言葉にするとき、そのそばに久保さんの存在を感じられるような、温かい仕掛けだと言えるでしょう。

乃木坂46に残したもの、これからの乃木坂46に託すもの

乃木坂46のメンバーは、卒業という節目を迎えるたびに、それぞれの「らしさ」をグループに残していきます。久保史緒里さんの場合、そのひとつは「言葉を大切にする姿勢」でした。

ブログでの丁寧な文章、ラジオでのまっすぐなトーク、メンバーへの手紙、ファンへのメッセージ。そして『LOST LETTER』で解き明かそうとした、自分自身との対話。そうした一つひとつが、乃木坂46というグループの中で、「言葉で寄り添う」文化をさらに豊かなものにしていきました。

卒業を見送ったメンバーのブログには、「ご卒業された瞬間、どうしてこんなにも胸に余白がうまれてしまうのか」という言葉が綴られています。その“余白”は、寂しさや喪失感と同時に、「ここから自分たちが埋めていかなくてはいけない」という決意のスペースでもあります。久保さんの背中を道しるべにしていた後輩たちは、その姿を胸に刻みながら、これからの乃木坂46を形作っていくことになるでしょう。

そして何より、「過去も未来も今も、愛しています」という久保さんの言葉は、今いる乃木坂46のメンバーだけでなく、かつてこのグループにいたすべての人、そしてこれから出会うであろう新しいメンバーたちにまで届くメッセージでもあります。その愛情に応えるように、乃木坂46はこれからも歩みを進めていきます。

「大丈夫になれる力」をこれからも

アイドルの卒業は、どうしても「別れ」のイメージが強くなりがちです。しかし、久保史緒里さんが乃木坂46に宛てた“手紙”のようなブログや、『LOST LETTER』という形で残していく言葉をたどっていくと、それは決して終わりだけを意味するものではないことに気づかされます。

彼女がグループで培ってきたのは、「大丈夫になれる力」を誰かと分け合うこと。そして、自分自身もまた、周りの人からその力を分けてもらいながら、生きていくことでした。その姿勢は、卒業後の人生においても、きっと変わることはないでしょう。

乃木坂46という場所から旅立ったあとも、久保さんが紡ぐ言葉や表現は、多くの人にとっての「休憩所」や「道しるべ」のような存在であり続けるはずです。横浜アリーナでの眩しいステージ、ラジオでの穏やかな声、ブログに綴られた静かな決意。そのすべてが、「過去も未来も今も」つながっていることを、彼女自身の生き方が示しています。

乃木坂46というグループは、今日も新しい一歩を踏み出しています。その歩みのどこかに、久保史緒里という存在が残していった「言葉」と「手紙」と「大丈夫になれる力」が、これからも静かに息づいていくことでしょう。

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