桑田佳祐がつなぐ「ラジオ」と「湘南」の物語――今あらためて注目される国民的アーティストの原点と現在
サザンオールスターズのフロントマンとして、そしてソロアーティストとして、日本の音楽シーンをけん引し続けてきた桑田佳祐さん。
最近は、ラジオや特別番組の盛り上がりによって、その魅力があらためてクローズアップされています。
同時に、彼の故郷・湘南に刻まれた「日本一有名な10文字」とも深く結びつく物語が、再評価されているのをご存じでしょうか。
本記事では、「本当に面白いラジオ番組【アーティスト編】」で紹介された桑田さんのラジオの魅力と、湘南に誕生した“あの10文字”の背景をやさしくひもときながら、桑田佳祐というアーティストの「今」と「原点」に迫ります。
アーティストが語り手になる時――「本当に面白いラジオ番組」に選ばれた桑田佳祐
radikoの特集「福山雅治、キタニタツヤ、星野源、桑田佳祐…本当に面白いラジオ番組【アーティスト編】」では、音楽ファンから支持を集めるラジオ番組が紹介されています。その中の一つとして挙げられているのが、TOKYO FMで放送中の『桑田佳祐のやさしい夜遊び』です。
この番組は、2025年4月に放送30周年という節目を迎えた、まさに深夜ラジオの「ロングラン番組」。サザンオールスターズ、そして桑田佳祐さん自身の歩みとともに、リスナーの人生にも寄り添ってきた存在と言えるでしょう。
30年続く「やさしい夜遊び」――番組の魅力とは
『桑田佳祐のやさしい夜遊び』の特徴は、何よりも“深夜らしい大人の空気感”と、桑田さんならではのユーモアと音楽愛です。
- 音楽論をまじえた軽快なトーク
- 大人向けの企画や、少し遊び心のあるコーナー
- サザンや桑田さんの新曲解禁の場としての役割
- ライブ音源など貴重な音源がオンエアされることもある点
音楽番組であると同時に、「深夜にそっと寄り添う雑談番組」のような心地よさもあり、長年リスナーから愛されてきました。
30年という年月は、ラジオ番組としても異例の長さです。それだけこの番組が、世代を超えて支持されてきた証だと言えるでしょう。
TOKYO FM開局55周年と「やさしい夜遊び」30周年が重なった“奇跡の年”
2025年は、実はTOKYO FM開局55周年と、『やさしい夜遊び』の放送30周年が重なる特別な年でもあります。
このダブルアニバーサリーを記念して、10月には日本武道館で番組イベントが開催され、大きな話題を呼びました。
イベントの正式名称は、
「九段下フォーク・フェスティバル’25」
会場は日本武道館。
「ラジオ番組の特別イベント」でありながら、内容はまさに一夜限りの伝説級ライブ。
この公演の模様は後に、特別番組『FM FESTIVAL 2025 桑田佳祐スペシャル企画!! 九段下フォーク・フェスティバル’25』として、JFN全国38局ネットでオンエアされています。
武道館に集結した豪華アーティストたち
この九段下フォーク・フェスティバルには、桑田さんの呼びかけで豪華なシークレットゲストが集まりました。
- あいみょん
- 桜井和寿(Mr.Children)
- 竹内まりや
- 原由子
- 吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)
それぞれが自分の代表曲やカバー曲を披露しつつ、桑田さんとのデュエットやセッションを繰り広げ、“世代とジャンルを超えたフォークの祭典”となりました。
セットリストに込められた“フォーク愛”と“リスペクト”
公開されているセットリストを見ると、イベントのコンセプトである「フォーク」が、時代やジャンルの壁を越えて、豊かに表現されていたことが分かります。
- 吉田拓郎「今日までそして明日から」を桑田さんが歌唱
- 自身の楽曲「明日へのマーチ」など、桑田佳祐名義の曲
- あいみょん「君はロックを聴かない」との共演
- サザンの「SEA SIDE WOMAN BLUES」「慕情」など
- Mr.Children「HANABI」を、桜井さんと桑田さんが共演
- 加山雄三「夜空の星」を桑田さんがカバー
- 原由子「いちょう並木のセレナーデ」「花咲く旅路」
- フォークの名曲「悲しくてやりきれない」「あの素晴しい愛をもう一度」「なごり雪」などを、複数アーティストで歌い継ぐ構成
- 竹内まりや「元気を出して」「静かな伝説(レジェンド)」の披露
フォークの名曲と、自身や仲間たちの代表曲が自然に並び立つこのセットリストからは、「フォーク=歌と物語を大切にする音楽」という桑田さんの解釈が伝わってきます。
19年ぶりの「奇跡の地球(ほし)」――“奇跡”と呼ばれた瞬間
なかでも大きなトピックとなったのが、「奇跡の地球(ほし)」のサプライズ披露です。
この曲は、1995年に「桑田佳祐&Mr.Children」名義でリリースされたコラボレーション曲で、J-POP史に残る名曲として知られています。
九段下フォーク・フェスティバルで、桑田さんと桜井和寿さんが19年ぶりに共演し、この「奇跡の地球(ほし)」を歌い上げた瞬間は、文字どおり“奇跡の一夜”と呼ぶにふさわしいものでした。
桜井さんは、サザンオールスターズの中でもとくに「慕情」が好きだと語っており、その「慕情」を桑田さんとのデュエットで披露したことも、ファンにとって忘れられないハイライトとなりました。
原由子、竹内まりや…“家族”のような共演者たち
このイベントには、桑田さんの音楽人生を語るうえで欠かせない存在も参加しています。
ひとりは、サザンオールスターズのメンバーであり、ソロアーティストとしても活動する原由子さん。
もうひとりは、シンガーソングライターとして長く愛されている竹内まりやさんです。
原由子さんは、自身のソロ曲である「いちょう並木のセレナーデ」や、今もCMで使われている「花咲く旅路」を披露。
「花咲く旅路」は、2025年現在も多くの人に親しまれ続けている楽曲で、会場にも大きな温かい空気を生んだと伝えられています。
竹内まりやさんは「元気を出して」を歌い、さらにビートルズの「Two Of Us」を桑田さんとデュエット。
そしてサザンの「涙のキッス」では、竹内さんがボーカルをとるという、ファンにとってたまらないコラボレーションも実現しました。
ラスト近くでは、原さんも加わり、3人で「静かな伝説(レジェンド)」を歌唱。
この楽曲は2014年発表の曲で、もともとレコーディング時にも桑田さんと原さんがコーラスとして参加していましたが、3人でそろって歌うのは初めてだったとされています。
「語り尽くせないほどの極上のひと時」と評されるのも頷ける、濃密な時間となりました。
特別番組として全国オンエア――ラジオが記憶を共有する
この“武道館の奇跡の一夜”は、その後、特別番組『FM FESTIVAL 2025 桑田佳祐スペシャル企画!! 九段下フォーク・フェスティバル’25』として、2025年11月3日にTOKYO FM/JFN38局ネットでオンエアされました。
ラジオというメディアは、「その場に行けなかった人にも、同じ時間の空気を届ける」役割を持っています。
今回の特別番組は、まさにその象徴と言えるものでした。
会場の熱気や、アーティスト同士の会話、楽曲への思いが電波に乗って全国へ広がり、リスナー一人ひとりの記憶として刻まれていきます。
湘南に誕生した「日本一有名な10文字」と桑田佳祐
一方で、ニュースとしてあらためて注目されているのが、「長嶋茂雄引退の丸1年後、『日本一有名な10文字』が湘南で誕生した」という話題です。
この「日本一有名な10文字」とは、サザンオールスターズ、そして桑田佳祐さんと深く結びついたフレーズとして知られています。
詳細な文言や経緯は各種報道で語られていますが、ここで大切なのは、この“10文字”が湘南という土地と密接に結びついているという点です。
湘南は、サザンオールスターズの歌の舞台としてもたびたび登場し、ファンにとっては「聖地」のような場所でもあります。
長嶋茂雄さんの引退から1年後にこの“10文字”が生まれた、という時系列の対比も興味深いところです。
国民的スターの歩みと、国民的バンドの原点が、こうした形で歴史の中で交わっていることに、どこか不思議な縁を感じる方も多いのではないでしょうか。
湘南とラジオと桑田佳祐――すべては「物語」でつながっている
桑田佳祐さんにとって、湘南という土地は、音楽の原風景であり、数多くの名曲やイメージの源となってきました。
同時に、ラジオというメディアは、彼が音楽や言葉を通じてリスナーとつながり続けるための大切な場所です。
九段下フォーク・フェスティバルのような特別な一日も、
湘南に刻まれた“日本一有名な10文字”の物語も、
『やさしい夜遊び』での何気ない一言も――。
そのすべてが、「桑田佳祐」という一人の表現者の物語の中で、ひとつの線で結ばれているように感じられます。
今後も、ラジオやライブ、そしてさまざまなメディアを通じて、新たな物語が生まれていくことでしょう。
過去の名シーンを知る人も、最近になって桑田さんやサザンに興味を持った人も、ラジオのスイッチを入れてみることから、その物語にやさしく触れてみてはいかがでしょうか。




