花澤香菜が“アメリの声”を紡ぐ――『アメリと雨の物語』日本語吹替版制作決定

フランス発の長編アニメーション映画『アメリと雨の物語』の日本語吹替版制作が正式に発表されました。主人公アメリのモノローグを担当するのは、人気声優の花澤香菜さん。さらに、永尾柚乃さん、早見沙織さん、森川智之さんら、実力派声優陣が集結し、2026年3月20日(金・祝)から全国の劇場で公開されます。

本作は、2025年のアヌシー国際アニメーション映画祭で観客賞を受賞し、第83回ゴールデングローブ賞アニメ映画賞ノミネートという評価も受けた、“今年最も美しいアニメーション映画”との呼び声も高い話題作です。

『アメリと雨の物語』とはどんな作品?

『アメリと雨の物語』(原題:LITTLE AMELIE OR THE CHARACTER OF RAIN)は、作家アメリー・ノートンの自伝的小説『チューブな形而上学』を原作とするアニメーション映画です。

舞台は1960年代の日本・神戸。外交官の家庭に生まれたベルギー人の小さな女の子・アメリの視点から、生命や色彩、家族との日々を、ユーモアと詩情豊かな語り口で描いていきます。

  • 製作国:フランス
  • 製作年:2025年
  • 上映時間:77分
  • 日本公開日:2026年3月20日(金・祝)
  • 配給:ファインフィルムズ
  • レイティング:G(全年齢対象)

日本では、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国の劇場で公開される予定で、日本語吹替版とオリジナル版の両方が用意されます。

物語のあらすじ――“神”だと信じた少女アメリの世界

主人公は、神戸で生まれたベルギー人の女の子・アメリ。外交官の家に生まれた彼女は、2歳半までほとんど無反応な状態で過ごしていました。

ところが、子ども時代に突入する頃、アメリは自分を「神」だと信じるようになり、世界を魔法のような、不思議で色彩に満ちた場所として捉え始めます。 家政婦のニシオさんや、家族との毎日は、アメリにとってはひとつひとつが大冒険。世界はいつも驚きと発見に満ちています。

しかし、3歳の誕生日に彼女の人生を大きく変える出来事が起こり、その世界の見え方は大きく揺らいでいきます。 誰もが子ども時代に一度は感じたことのある「世界の不思議さ」や「自分とは何か」という問いが、アメリの目を通して繊細に描かれていきます。

日本語吹替キャストの顔ぶれ

今回発表された日本語吹替キャストには、実力派と人気を兼ね備えた豪華メンバーが名を連ねています。

  • アメリ(幼いアメリの“今”の声):永尾柚乃
  • アメリのモノローグ(心の声・語り):花澤香菜
  • ニシオさん(家政婦であり、アメリの大切な友人):早見沙織
  • カシマさん(アメリ一家の家主):深見梨加
  • パトリック(アメリの父):森川智之
  • ダニエル(アメリの母):日笠陽子
  • ジュリエット(アメリの姉):青木遥
  • クロード(アメリの祖母):北林早苗

原語版の声の出演には、ロイーズ・シャルパンティエ、ヴィクトリア・グロボア、ユミ・フジモリらが参加しており、国際色豊かなキャスティングとなっています。

花澤香菜が担う「アメリのモノローグ」の意味

今回の発表で特に注目されているのが、花澤香菜さんが担当する「アメリのモノローグ」です。

『アメリと雨の物語』は、「2歳の主人公アメリの目から見た生命と色彩、そしてウィットに富んだ彼女の言葉」が大きな魅力として紹介されています。 そのため、本作における“語り”の役割は非常に重要です。

物語のなかで、アメリはまだ幼い子どもでありながら、世界を独自の哲学とユーモアで受け止めています。その世界観を日本の観客に伝えるうえで、花澤さんの柔らかくも表情豊かな声は、作品のトーンときわめて相性が良いキャスティングと言えるでしょう。

また、アメリの「今この瞬間」の幼い声を永尾柚乃さん、「心の声」や語りとしての言葉を花澤香菜さんと二人で役を分ける構成によって、アメリの内面の豊かさや成長の気配が、より立体的に表現されることが期待されています。

永尾柚乃×花澤香菜×早見沙織――“声”で描く子ども時代のまなざし

主人公アメリを演じる永尾柚乃さんは、ディズニー作品『リロ&スティッチ』実写版でリロ役の日本版声優を務めるなど、その瑞々しい演技で注目を集める若手です。 子どものリアルな息づかいと奔放さを持つ永尾さんの声は、2歳から3歳にかけてのアメリの姿を生き生きと描き出してくれそうです。

そこに、さまざまな作品で知られる花澤香菜さんの語りが重なることで、「幼いアメリが感じていること」と「物語として言葉にされる世界」が綺麗に響き合う構成になっています。 観客は、アメリの目の高さから世界を見ながら、同時に、どこか少し俯瞰した視点も共有することになるでしょう。

さらに、家政婦でありアメリの大切な友人となるニシオさんを演じるのは、『SPY×FAMILY』ヨル・フォージャー役などで知られる早見沙織さん。 早見さんの澄んだ声と温かみのある演技は、アメリに寄り添う大人の存在として、物語の安心感と奥行きを生み出します。

“今年最も美しいアニメーション映画”と評される理由

本作は、2025年のアヌシー国際アニメーション映画祭で観客賞を受賞したことからもわかるように、そのビジュアルと物語性が高く評価されています。

アメリの小さな視点から描かれる神戸の街や、日本の風景、家の中の細やかな生活描写は、観客にとってもどこか懐かしく、同時に新鮮な世界として映ります。 また、「雨」というモチーフがタイトルにも入っているように、天候や光、色彩の変化が、アメリの心の揺れと重ねられながら丁寧に表現されているのも特徴です。

監督はマイリス・ヴァラードリアン=チョー・ハン。 音楽は福原まりが担当し、静かなピアノや柔らかなサウンドが、アメリの世界をやさしく包み込むように支えています。

子ども時代を思い出させる“普遍の物語”

『アメリと雨の物語』が多くの人に「美しい」と感じられる理由のひとつは、そのテーマの普遍性にあります。誰もが一度は経験する、幼い頃の“世界の不思議さ”や、“自分だけが世界の中心だと思っていた感覚”を、アメリという一人の女の子の物語として描き直しているからです。

2歳から3歳という、ごく限られた時期を丁寧に切り取ることで、言葉になる前の感情、世界を初めて認識していく驚きや戸惑いが、繊細にすくい上げられています。 その世界を、花澤香菜さんをはじめとする日本の声優陣がどう表現していくのかは、多くのアニメファンにとって大きな見どころとなるでしょう。

公開情報と今後の展開

現在発表されている主な情報は次の通りです。

  • 作品名:『アメリと雨の物語』
  • 原題:LITTLE AMELIE OR THE CHARACTER OF RAIN
  • 原作:アメリー・ノートン『チューブな形而上学』
  • 監督:マイリス・ヴァラード、リアン=チョー・ハン
  • 音楽:福原まり
  • 製作国:フランス
  • 製作年:2025年
  • 上映時間:77分
  • 配給:ファインフィルムズ
  • 公開日:2026年3月20日(金・祝)、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
  • レイティング:G

今後は、日本語吹替版の予告編や、キャストコメント、公開に向けたイベントなどの情報が段階的に解禁されていくとみられます。特に、アメリのモノローグを担当する花澤香菜さんの収録エピソードや、演じるうえでの工夫などが語られる機会があれば、作品への理解と期待はさらに高まっていくでしょう。

“今年最も美しいアニメーション映画”と称される本作が、日本語吹替版でどのような新たな魅力を獲得するのか。永尾柚乃さん、花澤香菜さん、早見沙織さん、森川智之さんらによる“声の共演”に、公開前から大きな注目が集まっています。

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