HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』リメイク、難易度は本当に「難しすぎる」のか――クリア勢の声から見えてきた実像

HD-2Dでよみがえった『ドラゴンクエストI&II』リメイクをめぐり、「難しすぎるからダメ」「バランスが厳しい」といった声がネット上で話題になっています。一方で、実際に最後まで遊んだプレイヤーからは、「歯ごたえはあるが理不尽ではない」「物語と演出がそれ以上に素晴らしい」という評価も多く上がっています。

この記事では、すでにクリアしたレビューやプレイヤーの感想をもとに、「難しすぎる」という評判の背景と、ゲームとしての魅力を、初めて遊ぶ人にもわかりやすく整理してお伝えします。また、同時に公開されたボイスキャスト情報にも触れながら、今作がどのようなリメイクになっているのかをやさしい口調で解説していきます。

「難しすぎる」という声が出た背景

まず押さえておきたいのは、今作の『ドラクエI&II』リメイクが、過去の移植や軽いリマスターと違い、ゲームデザインそのものを大きく作り直した「再構築版」だという点です。

クリアレビューによると、ドラクエIIIリメイク版よりも明確に難易度が高いと感じるプレイヤーが多く、特に以下のようなポイントが「難しい」と評される原因になっています。

  • 敵の攻撃力が高く、油断すると一気に全滅しかねない
  • ダンジョンが広く長くなり、消耗戦になりやすい
  • MP回復アイテムが有限で、スキルの連発に制限がある
  • 『II』側には、極端と感じる人もいる難易度の山が存在する

一方で、リメイクIIIと同じく「レベルアップ時の全回復」「フルマッピング」「いつでもルーラ可能」といった、現代的で親切な仕様もそのまま採用されています。 そのため、「高難度だけれど、きちんと対策すれば乗り越えられるタイプの難しさ」と捉えているプレイヤーも少なくありません。

クリア勢が語る「難しさ」の中身

実際に最後まで遊んだプレイヤーのレビューでは、難易度に関して「ドラクエらしい手応え」と評価する声が目立ちます。

あるレビューでは、「敵の火力が高く、ダンジョンが広いことにより、緊張感のある探索が楽しめた」とし、レベルアップ時の全回復が「むしろないとキツい」と感じるほどだったと述べています。 また、レベル上げや装備集めといった地道な行動にきちんと意味がある点を「古き良きドラクエの感覚が戻ってきた」と好意的に受け止める意見もあります。

一方、『II』については、「難易度の波が激しい」という指摘もあります。 特定のボス戦やダンジョンで急に難しく感じる場面があり、「バランスが極端」と感じる人もいるようです。 ただし、そのぶん攻略したときの達成感が大きく、「新生ドラクエIIと呼ぶべき出来」という評も出ています。

初プレイの人に伝えたい「難しくても遊べる」ポイント

「難しい」と聞くと不安になる方も多いと思いますが、クリア勢の感想を読み解くと、初めての人が投げ出してしまうほどの理不尽さではないことも見えてきます。

  • オートセーブが導入されており、全滅しても直前からやり直しやすい
  • 倍速戦闘でレベル上げの時間的負担を減らせる
  • UI刷新で操作性が大幅に改善されている
  • マップ表示やルーラの自由度が高く、迷いにくい作りになっている

こうした現代的な遊びやすさのおかげで、「難易度は高めだが、昔のように不親切で投げ出したくなる、というタイプの難しさではない」とするプレイヤーが多くなっています。

特に『I』については、「昔のFC版やSFC版よりもボリュームが増え、しっかり遊び応えのある作品になった」という声があり、「サクッと終わるおまけ」ではなく、単体のRPGとして満足できる内容になっているようです。

「神リメイク」との呼び声も――評価されているポイント

難易度の話題とは別に、多くのレビューで共通して高く評価されているのが、ストーリー面と演出面の再構築です。

  • 原作から大きく加筆されたストーリーにより、新イベントや新キャラクター、新たな展開が多数追加されている
  • 特に『II』は「圧倒的なボリュームの新規ストーリー」と評され、「新生ドラクエ2」と呼ぶべき内容
  • 『I』は『III』から受け継いだものと『II』へ引き継ぐものをつなぐ“橋渡し的作品”として丁寧に作られている
  • ラダトーム城で勇者を迎えるシーンやローラ姫誘拐の描写など、演出が大きく強化され、感情移入しやすくなった

とくに『I』については、「ドラクエⅠは本当はこうだった、と見せてくれた」「ロト三部作全体の理解が深まる」といった声があり、過去作ファンにとっても新鮮な体験になっているようです。

レビューの中には、「今回の1&2リメイクは、ドラクエ史の中でも大きな転換点となり得る作品」とまで評するものもあります。 従来の「原作準拠」を重視した安全なリメイクではなく、大胆に作り直したことで良い意味で期待を裏切った、というのがクリア勢の総じてポジティブな評価です。

話題のボイスキャスト情報――キャラクターに「声」と「人格」が宿る

今作の大きなトピックのひとつが、HD-2D版『ドラクエI&II』でボイスキャスト情報が公開されたことです。主要キャラクターには声がつき、物語の印象を大きく変える要素として注目されています。

レビューでは、特に『II』のサマルトリア王子ムーンブルク王女について、「しっかりした人格と声が与えられたことで、旅が原作とは比べものにならないほど賑やかになった」と高く評価されています。

  • 原作でキャラクター性が薄かったサマルトリア王子は、会話や掛け合いが増え、マイペースさや人間味が丁寧に描かれるようになった
  • ムーンブルク王女も、故郷を失った悲劇性だけでなく、仲間としての強さや優しさが声と共に表現されている
  • さらにはサマルトリア王女がパーティメンバーとして加わるなど、新たなキャラ構成によって旅の雰囲気が一変している

一方で、ローレシア王子(主人公)はあえて喋らないという、シリーズの伝統を踏襲した作りになっています。 主人公はプレイヤーの分身である、という「ドラクエの美学」を守りつつ、周囲のキャラクターにしっかり声と個性を与えることで、バランスのとれたキャラクター表現が試みられています。

評価が割れている点:難易度以外の課題

もちろん、今作がすべての面で絶賛されているわけではありません。明確に賛否が分かれているポイントも存在します。

  • 『II』におけるふくびきシステムや一部のUIは、人によって「煩雑」「テンポを悪くしている」と感じることがある
  • 戦闘時のインターフェースや情報量の見せ方に、改善の余地を指摘する声もある
  • 「原作と同じ流れをHD-2Dでやりたかった」という層にとっては、変更点の多さに戸惑いを覚える可能性がある

ただ、こうした課題を挙げるレビューでも、「それらを補って余りあるほど、ストーリーや追加要素が魅力的だった」と、最終的な評価は高くまとまっているケースが多く見られます。

「難しすぎるからダメ」なのか、それとも……

ここまでのクリア勢の感想を総合すると、「難しすぎるからダメ」という一言では切り捨てられないことがわかります。

  • 過去作と比べて確かに難易度は高めで、特に『II』には厳しい場面もある
  • しかし、オートセーブや倍速戦闘などの現代的な遊びやすさもきちんと備わっている
  • ストーリー・演出・キャラクター表現は大きくパワーアップしており、「神リメイク」「新生ドラクエ2」と絶賛する声も多い
  • ボイスキャストによってキャラの人格が際立ち、旅のドラマ性が増している

つまり、今作の『ドラクエI&II』リメイクは、「ぬるく短時間で終わる懐古向けリメイク」ではなく、しっかり歯ごたえがあり、物語も再構築された本格RPGとして生まれ変わった作品だと言えます。

「昔のドラクエが好き」「ストーリーやキャラクターをじっくり味わいたい」という人にとっては、多少の難易度の高さを含めて、むしろ魅力に感じられる可能性が高いでしょう。一方で、「サクッと気軽に遊びたい」「原作どおりがいい」という人には、合う・合わないが分かれやすい作品とも言えそうです。

賛否を呼ぶ「難しさ」も含めて、HD-2D版『ドラクエI&II』は、シリーズの今後を占う大きな挑戦作となっています。プレイ前に不安がある方も、こうした実際のクリアレビューの声を参考に、自分に合いそうかどうかをじっくり検討してみてはいかがでしょうか。

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