舘ひろし&黒木瞳が描く”定年後”の人間模様――映画『終わった人』に見る夫婦のリアルと新たな人生の可能性
はじめに
近年、日本社会の高齢化とともに関心が高まっている「定年退職後の生き方」。2025年11月1日に東映チャンネルで放送される映画『終わった人』は、舘ひろしと黒木瞳が主演し、そんな定年後の現実と希望をユーモラスかつ深い人間味で描いています。特に黒木瞳が演じる妻・千草は、夫婦の“新しい距離感”を象徴し、多くの視聴者から共感と支持を集めています。
『終わった人』のあらすじと注目ポイント
原作は脚本家・内館牧子による同名小説で、「リング」シリーズで知られる中田秀夫が監督という豪華なスタッフ陣。物語の主人公は、仕事一筋で生きてきた元エリート銀行マンの田代壮介(舘ひろし)。華やかなキャリアの終焉を迎え、「定年退職」という人生の節目に途方に暮れる状況から物語は始まります。
壮介の妻・千草(黒木瞳)は美容師。夫を“パパ”と呼びながらも、定年後、目的を失い生きがいを見つけられず日々を費やす壮介につい辛く当たってしまいます。しかしそれは、長年の夫婦の関係と、パートナーとしての想いが交錯する、リアルで温かい人間模様です。
登場人物の魅力とリアリティ
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舘ひろし演じる田代壮介
舘ひろしといえば「西部警察」「あぶない刑事」シリーズなどの熱い“刑事”役で知られていますが、本作では「定年を迎えた男性」の戸惑いや心の揺れ、不器用ながらも前向きになろうとする姿が新鮮です。時にコミカル、時にしんみりと、声を大にして共感を呼ぶシーンが続きます。 -
黒木瞳演じる妻・千草
美容師として現役で働く千草は、現実的でサバサバした性格の持ち主。夫を理解し支えつつも、自立した女性としての芯の強さと聡明さを感じさせます。夫に対して厳しい言葉も投げかけますが、それは長年寄り添ってきた夫婦だからこその愛情の裏返しでもあります。黒木瞳のきれ味鋭い演技が、千草というキャラクターに深みを与えています。
夫婦の会話に映る“昭和世代あるある”
この映画は「昭和の夫婦」のリアルな姿をユーモラスに描いています。
会社を辞めて自由なはずなのに、家では存在意義を見いだせず戸惑う夫・壮介と、「いつまで昔話ばかりしているの」と突き放す千草。
互いに本音をぶつけながらも、結局は長年培ってきた信頼と絆に支えられています。
映画を観た多くの人が「うちの親もこんな感じ」とうなずく、身近で温かみのあるやり取りが挟まれています。
“終わった人”の新たな挑戦
「終わった人」、というタイトルは、自分にはもう居場所がないのでは…と悩む壮介の心理を象徴しています。しかし、娘に「恋でもしたら」と茶化され、ハローワークで仕事を探し、カルチャースクールに行く――と一歩一歩、彼は外の世界へ踏み出していきます。
その中で、広末涼子演じるカルチャースクールの受付・浜田久里との偶然の出会いが、壮介に新たなときめきをもたらします。年齢を重ねたからこそ見える人生の景色や、出会いの可能性、人とつながる温かさを再認識させてくれる展開です。
人生の“セカンドステージ”に贈るエール
本作は決して「退職後は寂しいもの」とだけ描くのではありません。
むしろ、人生のセカンドステージが始まるという前向きなメッセージが込められています。
仕事で得た肩書きや社会的役割がなくなったとき、私たちはどのように人と関わり、自分を再発見していくのでしょうか。
舘ひろしと黒木瞳が息の合った演技で描く夫婦は、そんな問いかけに誠実に向き合い、視聴者にさまざまなヒントと気づきを与えてくれます。
監督・キャスト・スタッフ情報
- 監督:中田秀夫(『リング』シリーズなど)
- 原作:内館牧子
- 主演:舘ひろし(田代壮介役)、黒木瞳(千草役)
- 共演:広末涼子、臼田あさ美、今井翼、田口トモロヲ、笹野高史、ベンガル 他
- 配給:東映(2018年劇場公開、2025年11月1日東映チャンネルで放送予定)
世代を超えて支持される理由
この映画は単なる“定年後の悲哀”を描くだけでなく、家族や夫婦のつながり、人生の再出発の大切さを見せてくれます。舘ひろしが見せるコミカルな表情や、黒木瞳のリアリストな演技――今だからこそ心に響く台詞や出来事の数々は、幅広い年代の視聴者に届く魅力を持っています。
また、物語には「人生のどん底でも新しい出会いや発見はある」という希望や、「共に歩んできた夫婦だからこそ分かり合えることがある」という温かい視点も散りばめられています。
放送情報
- 放送日:2025年11月1日(土曜日) 21:00~
- 放送チャンネル:東映チャンネル
- 出演:舘ひろし、黒木瞳、広末涼子、臼田あさ美、今井翼、田口トモロヲ、笹野高史、ベンガル 他
※放送スケジュールは変更になる場合があります。
まとめ――「終わった人」が語る未来へのヒント
『終わった人』は、黒木瞳が見せる“妻”としての強さと優しさ、そして舘ひろしが体現する新たな人生への一歩が描かれた、ユーモアと人情味に溢れる映画です。
定年後の迷い、新しい自分へのチャレンジ、家族やパートナーとの絆――こうしたテーマは、現代の日本社会に生きる私たちにとってとても身近でリアルなものです。
「人生に終わりはない、何度でもやり直せる」そんな温かく力強いメッセージを、本作はやさしく、時に痛快に届けてくれます。
放送の機会に、この共感と感動の物語をじっくり堪能してみてはいかがでしょうか。



