白鳥玉季主演回が大きな転機に――『ぼくたちん家』第9話、「3000万円」をめぐる闘いと長野への旅

日本テレビ系日曜ドラマ『ぼくたちん家』で、白鳥玉季さん演じる中学3年生・楠ほたるの物語が、いよいよ大きなクライマックスに向けて動き出しました。
第9話では、これまで物語の鍵となってきた「3000万円」を巡り、ほたると、その“親のフリ”をしてきた大人たちが大きな決断を迫られます。また、ほたる・玄一・索が長野県へ向かう展開や、ともえがご当地キーホルダーをすべて失ってしまう出来事など、感情が大きく揺さぶられるエピソードも描かれます。

「親のフリ」から始まった不思議な関係と、3000万円の秘密

物語の出発点となったのは、波多野玄一(及川光博)とほたるの、少し風変わりな“親子契約”でした。玄一は、心優しきゲイのおじさんで、同じアパートに1人で暮らしている中学3年生・楠ほたるから「親のフリをしてほしい」と頼まれます。

ほたるは、父・仁(光石研)が離婚して家を出ていき、新しい家族を持っている一方で、母・ともえ(麻生久美子)も出ていったまま帰ってこないという、非常に厳しい家庭環境に置かれていました。 そんなほたるが、玄一に差し出したのが、「3000万円」が入ったスーツケースです。

この大金は、ともえが勤めていた会社の横領疑惑と結びついており、警察から追われる身となったともえが、大家さんに預けていたスーツケースの中身でした。 ともえは、ほたるに電話で「しばらく帰れない」「スーツケースの中身は私たちのものだから、ほたるに任せる」と伝えます。

一方で、ほたるは「母が横領なんてするはずがない。きっと何か理由がある」と信じ、施設には行かず、母の帰りを待つために今のアパートに留まり続ける道を選びます。 その気持ちを知った玄一は、卒業までの半年間だけでも力になりたいと考え、「父親のフリ」をすることを決意しました。

ほたるはこの契約に「親子契約書」まで用意し、ともえが会社のお金を横領して逃げていると打ち明けます。 契約金として3000万円を差し出すほたるに対し、「お金はいらないよ」と断る玄一でしたが、「持っておくだけでいいから」と懇願され、やむなく預かることになりました。

3000万円が奪われる――ろくでなしの父・仁の登場

ところが、この3000万円が、物語の中で大きな波紋を広げていきます。
ほたるの“ろくでなし”の父・仁が、玄一たちの前に姿を現し、預かっていたスーツケースを盗み出してしまうのです。

仁は、かつてともえと離婚し、新たな家族を持ちながらも、父親としての責任を果たしてこなかった人物として描かれてきました。 そんな仁が突然現れ、ほたるとともえの運命を大きく左右する大金を手にしてしまったことは、視聴者にとっても衝撃的な展開となっています。

公式サイトによると、アパートでは仁が出ていった後、3000万円の奪い合いが勃発します。 ほたるから預かっていたお金を取り戻そうと必死になる玄一と、玄一の恋人である中学教師・作田索(手越祐也)。一方で、仁は決してお金を手放そうとせず、さらに索の元恋人・吉田(井之脇海)も巻き込まれていきます。

この状況の中で、誰のためのお金なのか、誰がそれを持つべきなのかという問いが、登場人物たち一人ひとりに突きつけられていきます。特に、母を信じ続けるほたるの思いと、大人たちの事情や欲望がぶつかり合う場面は、第9話の大きな見どころです。

白鳥玉季が体現する、ほたるの強さと揺れる心

ほたるは、中学生でありながら、母の失踪と父の無責任さ、そして「横領」という重い現実を一人で抱え続けてきました。 学校にもまともに通えず、トーヨコに通って時間を潰す日々。それでもなお、母を信じる心と、自分の居場所を守ろうとする強さを持つキャラクターです。

その複雑で繊細な心情を演じているのが、白鳥玉季さんです。
白鳥さんは本作で、ゴールデン・プライム帯ドラマのヒロインを務めることでも注目を集めており、視聴者からは「想像以上」「あの大金の裏にこんな過去があったなんて」と、ほたるの背景に驚きと共感の声が寄せられています。

第2話では、3000万円の秘密や、ともえの横領疑惑が明かされ、大きな反響を呼びました。 そして第9話では、そのお金の行方が再び大きなドラマを生み出します。ほたるが託した3000万円を、玄一が仁から取り返そうと奮闘する展開は、白鳥さん演じるほたるの「信頼」と「裏切られたくない思い」が、より一層前面に出てくる場面と言えるでしょう。

玄一・索・ほたる、そして長野県への旅

第9話では、玄一・索・ほたるが長野県へ向かう場面も描かれます。 長野行きの目的や詳細は、公式あらすじでは多くを語られていませんが、物語全体の流れから考えると、ほたるの家族や3000万円の問題に、何らかの形で関わる重要な移動であることがうかがえます。

これまでアパートを中心に展開してきた物語が、長野という新たな土地に舞台を移すことで、登場人物たちの関係性にも変化が生まれそうです。特に、玄一と索、そしてほたるという“疑似家族”のような3人が、一緒に旅をすること自体が、彼らにとって大きな転機になる可能性があります。

玄一は、ほたるの願いを受け止めて父親役を引き受けた人です。そして索は、玄一の恋人でありながら、生徒であるほたるとの距離感に悩みつつも、彼女の人生に深く関わっていく存在として描かれています。 この3人が長野でどのような時間を過ごし、どんな決断をするのかも、第9話の見どころのひとつです。

ともえがご当地キーホルダーをすべて失う意味

ニュース内容の中で、「ともえはご当地キーホルダーをすべて失う」という印象的な出来事も取り上げられています。詳細な描写はあらすじには多く記されていませんが、ご当地キーホルダーというアイテムは、しばしば「思い出」や「旅の記録」、「家族との時間」を象徴する小さなコレクションとして扱われます。

ともえは、会社のお金3000万円を横領した疑いで逃亡中という、非常に苦しい立場に置かれています。 そんなともえが大切にしていたであろうご当地キーホルダーを失うという出来事は、彼女のこれまでの人生や、家族との思い出が音を立てて崩れていくような象徴的なシーンとして機能している可能性があります。

また、「ご当地」という言葉からは、各地を巡って集めた時間の積み重ね、ひいては母として・ひとりの女性として生きてきた足跡が連想されます。そのすべてを失ってしまうという描写は、ともえがこれまで守ろうとしてきたものを一度手放さざるを得ないほど、追い詰められていることを暗示しているのかもしれません。

偽装親子の“バレ”と、その後に待つもの

ドラマ全体の大きな転機として、「偽装親子」が警察にバレてしまう出来事も描かれています。 玄一とほたるの“親のフリ”は、ほたるを守りたいという玄一の思いから生まれたものでしたが、法的には決して許されるものではありません。

そのうえで、ほたるから預かっていた3000万円が仁に盗まれるという二重のトラブルは、登場人物たちに「本当に守りたいものは何か」「大人として、親としてどうあるべきか」という問いを突きつけています。

仁から3000万円を取り返そうとする玄一の奮闘は、単にお金を取り戻すというレベルではなく、「ほたるの信頼を裏切りたくない」「母を信じるほたるの気持ちを守りたい」という強い思いの表れでもあります。 そこに索や吉田、ともえの存在が絡み合い、物語は一気にクライマックスへと向かっていきます。

白鳥玉季が引き出す『ぼくたちん家』のテーマ

『ぼくたちん家』は、一見すると“ゲイのおじさんとトーヨコ中学生”という、少し奇抜な設定から始まるドラマです。しかし物語が進むにつれて、「血のつながりだけが家族なのか」「誰かを信じることの重さ」「大人になるってどういうことか」といった、普遍的で深いテーマが浮かび上がってきます。

その中心にいるのが、楠ほたるという少女です。
母の失踪と父の不在という現実にさらされながらも、「母を信じたい」「自分の居場所を守りたい」と願うほたるの姿は、多くの視聴者の心を強く揺さぶっています。 その繊細で複雑な感情を、白鳥玉季さんが丁寧に演じているからこそ、物語はより一層リアリティと説得力を増しています。

第9話では、3000万円を巡る争いと、長野への旅、そしてご当地キーホルダーを失うともえのエピソードなどを通じて、「家族とは何か」「お金と幸せの関係」「過去とどう向き合うか」といったテーマが、より濃密に描かれています。

白鳥玉季さん演じるほたるが、この先どんな選択をし、どんな“家族のかたち”を見つけていくのか。『ぼくたちん家』は、視聴者にとっても、自分自身の大切な人との関係を見つめ直すきっかけを与えてくれるドラマとして、大きな注目を集め続けています。

参考元