エバース初登場『笑点』、女性寿司職人ネタが大炎上――現代的価値観とのギャップと求められるテレビの責任

■話題の若手漫才師・エバース、『笑点』で初のステージ

2025年10月19日、日本テレビ系列の長寿演芸番組『笑点』にて、注目の若手お笑いコンビエバースが初出演を果たしました。彼らは「M-1グランプリ2024」で決勝に進出し、「NHK新人お笑い大賞」「ABCお笑いグランプリ」と次々にタイトル獲得した新進気鋭のコンビです。今回の『笑点』で披露されたネタは、観客から大きな笑いを生み出し、同時に新たな話題も巻き起こしました。
司会は春風亭昇太、大喜利メンバーには三遊亭好楽(79歳)、林家たい平、桂宮治ら人気落語家が揃い、ベテラン・好楽には新ギャグも誕生し番組全体の盛り上がりが印象的でした。

■ネタの内容とネット炎上――女性寿司職人への言及

エバースの漫才の中心となったのは「一番好きな食べ物は何?」という会話。ボケの佐々木隆史が女性から好きな食べ物を尋ねられ答えられず、ツッコミの町田和樹が「俺だったら回らない寿司」と答え、その流れで「板前さんはほとんど男性しかいない。なんで女性いないか?」と問いかけました。その理由として「女性は体温が高いから寿司を握ると温かくなってしまう。だから男性の板前しかいない」と語られ、観客からも「へぇ」と反応がありました。最後は「広瀬すずちゃんが握った場合は温かい方がいい」とオチをつけて締めくくられました。

■漫画家・せきやてつじ氏の反論――「昔の偏見」とSNSで拡散

寿司職人を題材にした漫画『バンビ~ノ!』で知られるせきやてつじ氏はX(旧Twitter)でこのネタについて言及。「女性が寿司職人になれない理由が『体温が高いから』というのは昔の偏見。現在では多くの女性寿司職人が活躍している」と投稿しました。さらに「地上波放送でこのような偏見が流れたことにとても残念」と続け、自身が過去に女性寿司職人への取材を重ねた経験に触れながら「昔の偏見が今も定説のように語られることが悲しい」と述べました。

  • せきや氏の投稿はすぐに数多くのリポスト・いいねを集め、一般視聴者やネットユーザーからも「いまどきこんなこと言って問題ないのか」「局側は編集でカットすべきではないか」という批判が続出しました。

■“女性が握った寿司”を巡って広がる議論―なぜカットされなかったのか?

炎上の原因は、「女性の寿司職人が少ない理由」に関する固定観念の表現が地上波で放送されたことです。現在では女性板前も増えつつあり、こうしたジェンダーに基づく古い考え方は社会的に問題とされています。今回のネタに対し視聴者からは「なぜこんな偏見を編集でカットしないのか」「全国ネットでの発言は不適切だ」「エバースの漫才は面白いが時代にそぐわない」という声が強く寄せられ、日本テレビ側の編集方針や番組の社会的影響力への疑問も浮上しました。

  • 番組が生み出した“大炎上”は、笑いだけを優先した結果、現代の価値観とのギャップが表面化した事例であり、編集やチェック体制のあり方まで問われることとなりました。
  • 炎上したネタについては「昔の偏見がネタになってしまっている」との批判が多い反面、「大衆芸能としての笑いの自由」といった擁護意見も一定数見られるなど、賛否両論が巻き起こっています。

■番組関係者・芸能ジャーナリストの見解

芸能ジャーナリストによれば、「今回のネタはエバースの定番で、最後のオチに使われた女優の名前(今回は広瀬すず、かつては永野芽郁)以外は変更されていない」とのことです。これまでの演芸場で披露して問題視されなかったネタが、一気に批判の的になった背景には『笑点』という高視聴率番組での放送、“地上波”という公共性の高さがあったと指摘されています。

  • 「従来は許容されていた笑いや言葉が、今では社会的配慮や倫理観が求められ、特にテレビ番組は時代性への敏感さが必要」との声も上がりました。

■エバース登場の意義と若手漫才界への影響

エバースは「M-1グランプリ2024」決勝進出や各種賞受賞の実績を持ち、若手漫才師のリーダー的存在として期待されています。『笑点』という舞台で彼らが会場を爆笑させたという事実は、彼らの実力と芸人としての成長を示すものでもあります。ベテラン・三遊亭好楽(79歳)の新ギャグ誕生など、世代を超えた笑いが交錯するのも『笑点』ならではの魅力です。

  • ただし、今回のネタ炎上によって、若手漫才師が扱うテーマや言葉選びへの意識、そしてテレビ局の編集責任も問われることになりました。

■ネットの反応、「残念」と「面白い」に分かれる視聴者

SNSやネット掲示板などでは、漫画家せきやてつじ氏をはじめ多くの視聴者が「昔の偏見をネタにするのはおかしい」「編集でカットすべきだった」と批判する一方、「大げさに騒ぎすぎ」「芸人の自由な表現の場が狭められる」という擁護も。現代のテレビにおける“笑いと多様性”をめぐる議論は、今後も続きそうです。

  • テレビや芸人は時代に沿った感性を求められる一方、表現や笑いが萎縮してしまう懸念も指摘されており、今後メディアの役割や編集体制の在り方にも注目が集まります。

■まとめ:「笑い」と「配慮」の狭間――時代が変われば、漫才も変わる

今回の『笑点』出演は、エバースにとって大きな飛躍であり、若手漫才師にとって貴重な機会でした。しかし“女性寿司職人”をめぐる発言が現代の価値観と強くぶつかり、大きな波紋を呼ぶ結果となりました。社会的な配慮やジェンダー意識の変化は、テレビや芸人にも新しい責任を求めています。笑いの場が多様性を尊重しつつ、誰もが安心して楽しめるものとなるために、今後どのような工夫が必要か、多くの関係者や視聴者が考えを巡らせています。

  • エバースや『笑点』の今後の活動、芸能界全体の変化にも注目が集まります。

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