デュア・リパが示した「ロゴマニア再来」の理由──グッチの知的コーデが語るもの
ポップアイコンとして世界中から注目を集めるシンガー、デュア・リパ(Dua Lipa)が、あらためてグッチ(GUCCI)と「ロゴマニア」トレンドに光を当てています。この記事では、彼女が最近披露したグッチの“ロゴたっぷり”ルックを中心に、「ロゴマニア復活」の流れを、やさしい言葉でていねいに解説します。
デュア・リパが見せた「本好き」なロゴマニアルックとは?
イギリスを拠点に活動するデュア・リパは、自身が主宰する読書コミュニティ「Service95 Book Club」のイベントに、グッチの2026年春夏コレクションのルックをまとって登場しました。この日の彼女のスタイルは、海外メディアから
「ライブラリアン(図書館司書)のようなルック」、「ロゴマニアのヘッドライブラリアン(主任司書)」
と形容され、大きな話題となりました。
このコーディネートは、単に「派手なロゴ」を見せつけるためのものではなく、
知的さとポップさを同時に感じさせる点が特徴的です。読書クラブという「本」「知性」「語り合い」といったテーマの場において、あえてロゴマニアを選んだこと自体が、彼女らしい遊び心あふれる表現だと言えるでしょう。
グッチ 2026年春夏コレクションの「ライブラリアン」ルックの中身
デュア・リパが着用したのは、デムナが手がけたグッチの2026年春夏コレクションのセットアップです。その内容を、わかりやすく整理してみましょう。
- シルクのボウタイブラウス
首元に大きなリボン(ラヴァリエール)をあしらった、クラシカルなシルクブラウス。どこか1980年代のレトロな空気を宿し、「賢そう」「きちんとしている」印象を与えます。 - ティー丈のAラインスカート
ふくらはぎあたりまであるティー丈のAラインスカートが、女性らしさと落ち着きを両立。ひざ下の長さと程よい広がりで、「ライブラリアンらしさ」を強く感じさせるシルエットになっています。 - ひざ丈ブーツ
脚をすっぽり包み込むニーハイブーツで、クラシックな印象に少しモード感をプラス。ロゴアイテムでも、足元を重たいトーンでまとめることで、全体の雰囲気が上品に引き締まります。 - グッチの「GG」モノグラムが全身に
ブラウス、スカート、ブーツだけでなく、バッグ「ジャッキー」やベルトに至るまで、グッチの「GG」モノグラムが惜しみなく使われています。まさに「ロゴマニア」を体現するスタイリングです。
このルックは、グッチのルックブック上ではもともと「La vip(ザ・ヴィップ)」という名前がつけられていたと報じられています。その名の通り、「セレブリティのための、記憶に残る一着」として想定されていたものを、デュア・リパが「本好きの図書館司書」風に着こなした、という構図になります。
なぜこのルックが「ロゴマニア再来」の象徴なのか
デュア・リパのグッチルックが「ロゴマニアの復活」を象徴していると言われるのには、きちんとした理由があります。
- 全身に広がるGGモノグラム
トップスからボトムス、小物にいたるまでブランドロゴが全面に配置されているスタイリングは、まさに典型的な「ロゴマニア」です。しかし、色合いはベージュ系・ニュートラルカラーで統一されており、ギラギラした派手さではなく、「静かな強さ」を感じさせます。 - 「知的さ」と「ポップさ」のミックス
図書館を連想させるボウタイブラウスやミディ丈スカートという「知的」「真面目」な要素に、ロゴマニアの「ポップ」「アイコニック」な側面が重ねられています。このミックス感が、いまの時代のファッションをよく表しているとして高く評価されています。 - 「アイデンティティ」を見せるロゴ
デムナがグッチで打ち出しているのは、「ロゴ=ただのブランド自慢」ではなく、ブランドの歴史やアイデンティティを現代的に再解釈するための記号としてのロゴです。ロゴを大きく見せることが、むしろ「ブランドの物語をまとう」行為になっていると言えるでしょう。
こうした背景から、デュア・リパのスタイルは、「ロゴマニアが一周回って、より成熟したかたちで戻ってきた」ことを象徴するコーディネートとして、ファッションメディアから注目されたのです。
デュア・リパとグッチの関係性
デュア・リパはこれまでもたびたび、グッチのコレクションやバッグを愛用していることで知られています。たとえば、ロンドンでグッチのホースビット・チェーンバッグをシックなグレーコーデと合わせて持っていた姿も報じられています。2025年クルーズコレクションのショーにも来場し、最前列のゲストとして着席していた様子が伝えられました。
このように、彼女は「キャンペーンモデル」としてだけでなく、日常のスタイルにも自然にグッチを取り入れる存在として、ブランドの世界観を体現しています。今回のロゴマニアルックも、その延長線上にあるものと考えられます。
ロゴマニアはなぜ再び支持されているのか
かつて2000年代に一世を風靡した「ロゴマニア」は、その後「控えめなラグジュアリー」や「ノームコア」といった流れの中で、一時的に影を潜めました。しかしここ数年、再びロゴの存在感を強く押し出したスタイルが支持を集めています。
- SNS時代との相性
写真や動画が一瞬で拡散される今、見ただけでどのブランドかわかるロゴは、視覚的なインパクトが非常に高いです。ストリートスナップやイベント写真で、ひと目で「グッチだ」とわかることは、ブランドにも着る側にも大きなメリットがあります。 - 「自己表現」としてのロゴ
ロゴアイテムを選ぶことは、「私はこのブランドの価値観やストーリーに共感しています」というメッセージでもあります。ただ高級だからではなく、「このブランドが好き」という感情の表明として、ロゴがあらためて意味を持ち始めています。 - ミックススタイリングの面白さ
現代のロゴマニアは、全身ハイブランドで固めるだけではありません。デニムや古着、シンプルなニットなどと組み合わせて、自分らしいバランスを楽しむスタイルが主流です。デュア・リパのように、「知的なアイテム」とロゴマニアを掛け合わせる着こなしも、その流れの一部と言えるでしょう。
デムナが描く「グッチの新しいロゴ像」
今回のルックを語るうえで欠かせないのが、デザイナーデムナの存在です。彼はグッチにおいて、アイロニー(皮肉)や日常性、そしてブランドの強いアイデンティティをユーモアをもって融合させたコレクションを打ち出しています。
- クラシックの再解釈
ボウタイブラウスやロングスカート、図書館司書のようなスタイルは、本来とてもクラシックで保守的な要素です。それを、ロゴという強いブランドサインと組み合わせることで、「古くさい」ではなく新鮮で個性的なルックへと変換しています。 - 日常とハイファッションをつなぐ
デムナのグッチは、日常にある職業や archetype(典型像)──今回で言えば「ライブラリアン」──を、ハイファッションの文脈に引き上げる手法を多用します。だからこそ、「自分の生活にも取り入れられそう」と多くの人が感じやすいのです。 - 視覚的ブランディングとしてのロゴ
今回のルックは、ニュートラルカラーをベースにしながら、全身にGGモノグラムが施された「視覚的ブランディングの実験」として評価されています。強いロゴ表現でありながら、色を抑えることで、うるさくなりすぎない絶妙なバランスを実現しています。
「本とファッション」をつなぐデュア・リパのメッセージ
デュア・リパの読書クラブ「Service95 Book Club」は、本を通じて世界中の人々が考えや感想をシェアする場として運営されています。そこに登場した今回のロゴマニアルックには、
- 「本を読むこと」や「学ぶこと」も、おしゃれでクールな行為だと伝えたい
- 知的な場でも、ファッションで自分らしさを表現していいというメッセージ
- ブランドの歴史や文脈を理解しながらロゴを楽しむ、という大人のロゴマニアの提案
といった意味合いが読み取れます。つまり、彼女は単にトレンドを追いかけているのではなく、本やカルチャーへの愛情と、ファッションを楽しむ気持ちを同時に表現していると言えるでしょう。
「真似してみたい」人のためのヒント
最後に、デュア・リパのような知的ロゴマニアスタイルを、日常のファッションに少しだけ取り入れてみたい方に向けて、やさしいポイントをまとめます。
- ロゴは「色をおさえる」と上品に
彼女のコーディネートのように、ベージュやグレー、ブラウンなどの落ち着いた色味でそろえると、ロゴがたくさん入っていても大人っぽく見えます。 - クラシックな形と合わせる
ボウタイブラウスやひざ下丈スカート、ローファーやブーツなど、少し保守的なアイテムと組み合わせることで、ロゴの印象が柔らぎ、知的なムードに。 - 「本」や「カルチャー」との相性を意識
読書会やギャラリー、映画館など、「カルチャー」に触れるシーンにロゴアイテムを取り入れると、デュア・リパ的なポップ×知的な空気感を演出しやすくなります。 - まずは小物から始める
いきなり全身ロゴにする必要はありません。ベルト、バッグ、スカーフなど、ワンポイントからスタートして、「自分にとって心地よいロゴの分量」を探ってみるのがおすすめです。
デュア・リパとグッチが見せた今回のロゴマニアスタイルは、「ロゴはうるさい」「派手すぎる」といった昔のイメージをやわらげ、知性と遊び心が共存する新しいかたちとして提案されている点がとても印象的です。これからも、彼女のグッチを通じたスタイル発信に注目が集まりそうです。




