大沢たかお×中谷美紀、「JIN−仁−」コンビの絶妙ロマコメがこの冬ふたたび注目 映画『7月24日通りのクリスマス』とは
俳優の大沢たかおさんと中谷美紀さんがダブル主演を務めた映画『7月24日通りのクリスマス』が、クリスマスシーズンにあらためて注目を集めています。ドラマ「JIN−仁−」での共演でも知られる2人が、「JIN−仁−」以前の2006年にタッグを組んだ本作は、ロマンティックでありながら、思わず笑ってしまう“掛け合い”が魅力のラブコメディです。
スカパー!のWOWOWシネマでは、この『7月24日通りのクリスマス』が2025年12月23日(火)21:00〜に放送予定となっており、クリスマス前の特別な一本として話題になっています。
「JIN−仁−」でもおなじみの名コンビが見せる、ロマコメならではの掛け合い
大沢たかおさんと中谷美紀さんは、のちに大ヒットドラマ「JIN−仁−」シリーズで再び共演し、医師・南方仁と、花魁・野風/現代の恋人・友永未来という難しい関係性を見事に演じきりました。
その2人が、「JIN−仁−」以前に初めてダブル主演として共演した作品が『7月24日通りのクリスマス』です。
本作では、シリアスな時代劇とは対照的に、
- 不器用で内気なヒロイン
- どこか完璧すぎる“永遠の王子様”のような男性
というロマンティック・コメディの王道ともいえる組み合わせの中で、2人ならではのテンポの良い会話劇や、クスッと笑えるやりとりがたっぷり描かれています。
同級生だからこそ出てくるくだけた会話や、少しすれ違ってしまう心の距離感などが、見ていてとても微笑ましく、温かい気持ちにさせてくれます。
原作は吉田修一「7月24日通り」 長崎が舞台のロマンティック・ラブコメディ
映画『7月24日通りのクリスマス』は、芥川賞作家・吉田修一さんが自身の故郷・長崎を舞台に描いた恋愛小説「7月24日通り」を原作にした作品です。
監督は村上正典さん、脚本は金子ありささんで、このコンビはドラマ・映画『電車男』でも知られています。
物語の舞台は、坂道が多く、路面電車が走り、眼鏡橋やグラバー園など、異国情緒あふれる景観が魅力の長崎。
主人公のサユリは、長崎の街をポルトガルの首都リスボンに重ね合わせ、実在する「7月24日通り」を思い浮かべながら、ロマンティックな恋に憧れています。
映画では、そんなサユリの“妄想世界”と現実の長崎の風景が、やわらかく、どこか幻想的に重なり合い、恋に落ちる瞬間や、胸がきゅっと締め付けられるような切なさを、優しいタッチで描いています。
あらすじ:妄想だけで終わらせたくない、内気なヒロインのクリスマス
主人公の本田サユリ(中谷美紀)は、長崎市役所(あるいは図書館勤務として紹介される場合もあります)で働く、ごく平凡で内気な女性です。
おしゃれが得意なわけでもなく、自分に自信もないサユリは、日々の生活の中で、長崎の街並みを自分の妄想の中でポルトガル・リスボンに置き換え、「いつか素敵な恋がしたい」と空想するのがささやかな楽しみでした。
そんなサユリには、学生時代から密かに想い続けていた人がいます。それが、東京で成功した先輩・奥田聡史(大沢たかお)です。
彼は、サユリの心の中で「妄想ランキング1位」を突き進む、まさに“永遠の王子様”のような存在。
ところがサユリは、これまで一度も気持ちを伝えたことがありませんでした。
物語は、クリスマスを1か月後に控えたある日から大きく動き出します。サユリは大学のOB会に参加し、そこで久しぶりに聡史と再会します。
さらに、思いがけず彼からデートに誘われることになり、サユリの心は一気に高鳴ります。
「こんなこと、現実に起きていいの?」と戸惑いながらも、妄想の世界で何度も思い描いてきた「王子様との恋」が、現実のものになるかもしれないという期待で胸がいっぱいになるサユリ。
しかし同時に、
- 「自分なんかが隣に立っていていいのだろうか」
- 「釣り合わないのではないか」
という不安が、波のように押し寄せてきます。
妄想と現実のあいだで揺れ動くサユリの心。
そこから、クリスマスまでの時間の中で、彼女が少しずつ殻を破り、自分の「好き」という気持ちに向き合っていく姿が、丁寧に、あたたかく描かれていきます。
中谷美紀が魅せる“地味ヒロイン”の成長物語
映画公開当時、中谷美紀さんは『電車男』の“エルメス”役で見せた洗練された美しさで注目を集めていました。
そんな中谷さんが、本作『7月24日通りのクリスマス』で演じているのは、エルメスとは正反対とも言える「地味で自信のない女性」です。
サユリは、話し方も少し朴訥で、人前に出るとテンパってしまうタイプ。
中谷さんは、そうした不器用さや、ちょっとした挙動不審さを、コミカルな演技で表現しつつ、それでもどこか愛らしい人物像として立ち上げています。
物語が進むにつれて、
- 少し勇気を出しておしゃれをしてみる
- 人との距離を一歩だけ縮めてみる
- 自分の気持ちを、ほんの少しだけ口に出してみる
といった小さな変化が積み重なり、サユリ自身の表情や雰囲気が、次第に明るく、柔らかくなっていきます。
それは「見た目が垢抜けていく」という変化だけでなく、「自分を受け入れることで心も軽くなる」という、成長物語としての側面も強く感じられます。
大沢たかおが演じる“永遠の王子様”像
一方で、サユリの憧れの人・奥田聡史を演じるのが大沢たかおさんです。
サユリの頭の中では、聡史はずっと「妄想ランキング1位」の座を守り続ける、完璧な“王子様”。
聡史は、いま注目を集めるライティングデザイナーとして東京で成功しているという設定で、大沢さんは持ち前の爽やかな佇まいを活かしつつ、「仕事ができて、スマートで、優しい先輩」という憧れの存在を自然体で演じています。
しかし、物語が進むにつれ、彼もまた、
- 完璧に見えて実は不器用な部分がある
- 心のどこかで迷いや不安を抱えている
といった人間味が少しずつ覗きます。
サユリとの会話の中で見せる砕けた表情や、同級生ならではの軽妙なツッコミ合いなどが、ラブコメならではの絶妙な空気感を生み出しています。
長崎の街がつくり出す、クリスマスならではの“異国情緒”
本作の大きな見どころのひとつが、物語の舞台となる長崎の風景です。
作品の中には、次のような名所が美しく映し出されています。
- 眼鏡橋:ハートストーンでも知られる人気スポット
- グラバー園:異国情緒あふれる建物と景観
- 路面電車が走る坂道の街並み
こうした風景が、サユリの妄想の中の「リスボン」と重ね合わせて描かれることで、日本にいながら、どこかヨーロッパの小さな街に迷い込んだような、不思議なロマンティックさが生まれています。
クリスマスシーズンの夜景やイルミネーションと相まって、長崎という街そのものが、2人の恋物語を静かに後押ししているようにも感じられます。
「観光映画」としても楽しめるほど、風景の美しさが際立つ作品です。
豪華キャストが彩るあたたかな恋物語
『7月24日通りのクリスマス』には、大沢たかおさん、中谷美紀さんのほかにも、人気俳優たちが多数出演しています。
- 佐藤隆太さん
- 上野樹里さん
など、脇を固めるキャストも豪華で、それぞれがサユリの恋を応援したり、時には振り回したりと、物語に温かさと賑やかさを添えています。
登場人物ひとりひとりが、「どこかにいそう」でありつつ、「こんな友達がいたら楽しそう」と思わせてくれる存在感を放っており、観終わった後に、登場人物たちと一緒にクリスマスを過ごしたような、不思議な余韻が残ります。
なぜ今、『7月24日通りのクリスマス』が注目されているのか
2025年のクリスマスシーズンに、この映画があらためて話題になっている背景には、いくつかのポイントがあります。
- 「JIN−仁−」コンビの原点とも言える、2人のロマコメ共演作であること
- クリスマス前に、WOWOWシネマ(スカパー!)で12月23日(火)21:00〜放送予定となっていること
- 原作ファンからも「再現度が高い」と評価された作品であること
- 長崎を舞台にした、美しい冬のラブストーリーであること
特に、「JIN−仁−」をきっかけに2人のファンになった方にとっては、「シリアスな時代劇」とは正反対の、柔らかく可愛らしい掛け合いが楽しめる作品として、見逃せない一本となっています。
また、派手な事件や大きなドラマが起こるわけではなく、あくまで一人の女性の、小さくてささやかな「恋の冒険」を描いている点も、今の時代の空気にどこか寄り添ってくれるように感じられます。
クリスマスにこそ観たい、ささやかな勇気をくれるラブコメ
『7月24日通りのクリスマス』は、
- 「自分に自信が持てない」
- 「恋愛に一歩踏み出す勇気が出ない」
- 「それでも、誰かを好きになる気持ちを大切にしたい」
そんな人の背中を、そっと押してくれる作品です。
大沢たかおさん演じる“永遠の王子様”のような存在と、中谷美紀さん演じる地味で内気なヒロイン。その2人の距離が少しずつ縮まっていく様子を見ていると、「完璧じゃなくてもいい」「不器用なままでもいい」と、自然と自分のことも許せるような、優しい気持ちになれます。
きらびやかなイルミネーションの下で繰り広げられる、派手な恋愛劇ではなく、心の中の小さな灯りを大切にするような物語。
だからこそ、静かに過ごしたいクリスマスの夜や、大切な人と一緒に温かい時間を共有したいときに、ぴったりの一本と言えるでしょう。
ロマンティックな気分を味わいたい方はもちろん、「最近ちょっと疲れているな」と感じている方にも、長崎の美しい風景と、2人の自然体の掛け合いが、そっと心をほぐしてくれるはずです。




