バカリズム脚本ドラマ『ノンレムの窓 2025・冬』今夜放送 “バカリズム節”さく裂の最新作に注目

お笑い芸人であり脚本家としても高く評価されているバカリズムさんが手がける新感覚ドラマシリーズ『ノンレムの窓 2025・冬』が、日本テレビ系で今夜放送されます。深い眠りを意味する「ノンレム睡眠」をモチーフに、夢と現実のあわいを描く人気企画の第8弾で、毎年冬の風物詩として楽しみにしているファンも多い作品です。

今回は、山本耕史さん・西野七瀬さん・浅利陽介さんら豪華キャストが出演し、バカリズムさんならではの「クスッと笑えてゾワッと考えさせられる」世界観がたっぷり味わえる内容になっています。さらに、シリーズおなじみの「窓先案内人」として、バカリズムさん自身も登場し、物語の幕間を不思議な雰囲気でつないでいきます。

『ノンレムの窓』とは? 奇妙でパーソナルな“悪夢と現実”の間のドラマ

ノンレムの窓』は、日本テレビ系で不定期に放送されてきた、バカリズムさん企画・脚本によるショートショートドラマシリーズです。深い眠りを表す「ノンレム睡眠」の名の通り、作品全体が「夢なのか現実なのか判然としない」不思議な空気に包まれています。

物語はいつも、ごくありふれた日常や、誰もがニュースで目にするようなシチュエーションから始まります。しかし、少しずつズレが生じたり、登場人物のこだわりが極端に拡大されたりすることで、やがて「奇妙な世界」に踏み込んでいく構成が特徴です。

このスタイルは、フジテレビ系のオムニバスドラマ『世にも奇妙な物語』を思い出させる部分もありますが、『ノンレムの窓』はより「パーソナルな違和感」や「人間のささやかな執着」にフォーカスしている点が特徴的だとされています。誰の身近にもありそうな、小さな不公平感やこだわりが、少しずつ肥大していく過程が、バカリズムさんならではの“さじ加減”で描かれます。

また、物語と物語の合間には、「窓」の世界をつなぐ存在として、バカリズムさんが窓先案内人として登場。どこか異世界にも見える空間で、毎回違う「窓」を示しながら、視聴者を次の物語へといざないます。今回は、顔を一切見せない謎の女性(斉藤由貴さん)との掛け合いも見どころで、その会話自体もどこか夢の中のような、不思議な手触りを残す演出になっています。

今夜放送『ノンレムの窓 2025・冬』放送情報

今夜放送される『ノンレムの窓 2025・冬』は、以下の枠でオンエアされます。

  • 放送局:日本テレビ系全国ネット
  • 放送日時:12月21日(日)22時30分〜23時25分(予定)
  • 形式:2本立てショートドラマ+幕間パート
  • 総合企画・脚本:バカリズム
  • 窓先案内人:バカリズム

今作では、「第1話『グラデーション』」「第2話『トイレットペーパーレース』」という2つの物語が放送されます。ジャンルとしてはSFショートショートに分類されますが、派手なCGやアクションよりも、「ちょっと変な状況に置かれた人間同士の会話劇」が中心で、静かにじわじわとした面白さが味わえる構成です。

第1話「グラデーション」――雑居ビル籠城事件からにじみ出る“人間の本音”

第1話「グラデーション」は、脚本をバカリズムさんが担当し、主演を山本耕史さんが務めます。

舞台は、東京の雑居ビルで発生した立てこもり事件。猟銃を持った男・寺本がオフィスに立てこもり、社員数名を人質に取るという、緊迫したシチュエーションから物語は始まります。ビルは警察によって封鎖され、現場は一触即発の空気に包まれますが、描かれるのは派手なアクションではなく、閉じ込められた人質たちの「小声の会話」です。

人質は、40代の会社員・上野(山本耕史)、30代の藤木、女性社員の棚崎の3人。猟銃を持った犯人から目を付けられないように、極度の緊張の中でひそひそと会話を重ねるうち、棚崎が口にしたのは、思いもよらない「脱出計画」でした。

事件現場という極限状態にもかかわらず、会話は時に妙に日常的で、時に「そんなこと今考える?」と言いたくなるような方向へと転がっていきます。そこにこそ、“バカリズム節”と評される独特のセリフ回しや、状況と会話のギャップから生まれるシュールな笑いが光ります。

「グラデーション」というタイトルには、物事が一気に変わるのではなく、「いつの間にか」少しずつ色が変わっていくように、日常と非日常、正気と狂気、善意と打算が混ざりあっていく感覚が込められているようにも感じられます。人質たちの間に生まれる微妙な温度差も、まさにグラデーションのようにじわじわと変化していきます。

出演者としては、主演の山本耕史さんに加え、芸人・俳優として活躍する吉住さんや、前原滉さん、河内大和さんらが登場し、会話劇を支えます。役者同士の間合いの取り方や、ごく小さな表情の変化にも注目したい作品です。

第2話「トイレットペーパーレース」――ささやかな家事の不公平から始まる夫婦戦争

第2話「トイレットペーパーレース」は、共働き夫婦の日常を舞台にした物語です。主演は浅利陽介さんと西野七瀬さん。トイレットペーパーという非常に身近な題材を通して、「家事の分担」「見えない負担」といったテーマに迫ります。

漫画家の明吉(浅利陽介)は、自宅で仕事をする時間が長く、喫茶店勤務の妻・久美(西野七瀬)と、家にいる時間は「ほぼ同じくらい」の共働き夫婦です。しかし、なぜかシャンプーの詰め替えやカレンダーの張り替え、トイレットペーパーの交換など、「ちょっとした家事」に遭遇するのは、いつも明吉のほう。

やがて明吉は、「これは偶然ではなく、家賃負担などを含めた“家事の帳尻合わせ”があるのではないか」と考えるようになります。小さな不公平感が積み重なり、明吉は密かに「トイレットペーパー交換をめぐる戦い」を妻に仕掛けることに。

一見すると、かなりささいな話に思えますが、「いつも自分ばかりが最後の一仕事をやらされている気がする」「見えない家事をしているのはどっちなのか」といった感覚は、多くの視聴者が日頃から抱えがちなものです。その“あるある”を、バカリズム作品らしい角度とテンポ感で描き出すことで、「笑えるのにちょっと胸がチクッとする」物語になっています。

物語が進むにつれ、妻・久美にも「夫に負けられない理由」があることが浮かび上がってきます。どちらか一方を悪者にするのではなく、双方の言い分や言葉にできない感情を丁寧に描くことで、コメディでありつつ、夫婦やパートナーとの関係を見つめ直したくなる、さりげない深みも備えたエピソードです。

浅利陽介さんと西野七瀬さんの掛け合いも見どころで、SNSなどでも「絶対共感できる」「自分の家でも起きている」と話題になりやすいタイプのエピソードと言えるでしょう。

“バカリズム節”とは? 独特の笑いとリアルさが同居する世界観

ニュースで「“バカリズム節”光る『ノンレムの窓』」と表現されているように、今作でも随所にバカリズムさんならではの作風が感じられます。ここでは、その特徴を少し整理してみます。

  • 日常から半歩ズレた設定
    立てこもり事件や夫婦の家事の不公平など、一見シリアスまたはありふれた題材を扱いながら、「会話」や「発想」の方向性が少しずつ現実からズレていき、気づけば不思議な状況になっている、という構成が多く見られます。
  • 長回しの会話と“こだわり”の描写
    登場人物があるテーマについて延々と語り合う場面が多く、その中でそれぞれの「価値観」や「こだわり」が、笑いを交えて浮き彫りになります。今回でいえば、「家事の帳尻合わせ」や「人質としてどう振る舞うか」といった点に、異様な執着が生まれていきます。
  • 笑いと不安が同居するトーン
    面白くて笑ってしまうのに、どこか「この先どうなってしまうのか」という漠然とした不安が漂うのも特徴です。夢と現実の境目のような世界観だからこそ、「ありそうでなさそう」「なさそうでありそう」な不思議な感覚が残ります。
  • オチより“余韻”を重視した構成
    いわゆるドンデン返しだけで終わるのではなく、「見終わったあとにじわじわ思い出すタイプ」のオチや余韻が多いことも、『ノンレムの窓』シリーズならではの魅力です。

バカリズムさん自身も、「『ノンレムの窓』はいろんな仕事の合間に、他の芸人さんが飲みに行っている時間に書いている」と語っており、日常の中のなんでもない瞬間から、こうした“妙な世界”が生まれていることがわかります。

豪華キャストが彩るバカリズムワールド

今作『ノンレムの窓 2025・冬』を支えるキャストも非常に豪華です。

  • 山本耕史:第1話「グラデーション」で人質の1人・上野役として主演
  • 吉住:第1話に出演。お笑い芸人としてだけでなく、俳優としての存在感も発揮
  • 前原滉・河内大和:事件現場の緊迫感と、会話劇の妙を支える役回りで出演
  • 西野七瀬:第2話「トイレットペーパーレース」で、喫茶店に勤める妻・久美役
  • 浅利陽介:漫画家の夫・明吉役として、第2話の主演
  • 斉藤由貴:顔を一切見せない謎の女性として、幕間パートに登場
  • バカリズム:窓先案内人として、2つの物語をつなぐ存在に

それぞれがシリアスとコメディの間を行き来するような難しいトーンの中で、自然な芝居を見せており、バカリズムさんの脚本との相性の良さも感じられます。

『世にも奇妙な物語』好きも必見 バカリズムファンならなお楽しめる一本

今回の『ノンレムの窓 2025・冬』は、もともとバカリズムさんのファンである方はもちろん、「『世にも奇妙な物語』のようなオムニバスの不思議系ドラマが好き」という視聴者にもおすすめできる内容になっています。

『世にも奇妙な物語』が社会全体やテクノロジー、超常現象などを題材にすることが多いのに対し、『ノンレムの窓』はより「個人の感情」や「日常のささやかな違和感」にスポットを当てている点が特徴的です。今回の2本も、ひとつは極限状態の人質事件、もうひとつは夫婦のささやかな家事バトルと、スケールはまったく違いますが、どちらも「人間の内面」が物語の中心にあります。

そのため、「大仕掛けなホラーやSFは少し苦手だけれど、人間ドラマとしての“奇妙さ”には興味がある」という方には、特に入りやすい作品だと言えるでしょう。短編形式なので、気軽に視聴できる点も魅力です。

見逃し配信やシリーズ視聴の楽しみ方

『ノンレムの窓』シリーズは、見逃し配信サービスでも視聴できる回があります。リアルタイムで視聴したあとに、気になったエピソードをもう一度見直したり、過去のシリーズと見比べたりすることで、バカリズムさんの作風の変化や、作品ごとのテーマの違いを楽しむこともできます。

特に、『ノンレムの窓』は「1回目はオチや展開を追うのに精いっぱいだが、2回目に見ると、言葉の端々や小道具の意味に気づける」タイプの作品が多いため、繰り返し視聴にも向いています。

また、今作では、バカリズムさんが連続テレビ小説の脚本も手がけることが決定しているタイミングでの放送ということもあり、「ショートドラマでのバカリズム」と「長編ドラマでのバカリズム」の違いを味わう意味でも、押さえておきたい1本です。

今夜、あなたも“ノンレム”の窓をのぞいてみては

身近な日常や、ニュースで見聞きする出来事の中に潜む「ちょっとした違和感」や「言葉にしづらいざらつき」を、バカリズムさん独特のユーモアと視点で描き出した『ノンレムの窓 2025・冬』。

笑いながらも、自分自身や身近な人との関係について、ふと立ち止まって考えたくなるエピソードがそろっています。バカリズムさんのファンはもちろん、普段あまりドラマを見ない方でも、1時間弱で気軽に楽しめる作品です。

日曜の夜、眠りにつく前のひとときに、“夢と現実のあいだ”へとつながる窓を、そっとのぞいてみてはいかがでしょうか。

参考元