「Anime Village Online」PSストア登場 あまりにも“動物の森”そっくりな新作はなぜ話題?
2025年10月9日、PlayStation Store(PSストア)に突如として新たなシミュレーションゲーム「Anime Village Online(アニメ・ビレッジ・オンライン)」が登場し、ゲーム業界で大きな波紋を広げています。本作は、その内容やビジュアルがあまりにも任天堂の人気タイトル「どうぶつの森(Animal Crossing)」シリーズに酷似しているとして、各種メディアやゲームコミュニティで激しい議論を巻き起こしています。
まるで“どうぶつの森”の世界──その特徴と遊び方
「Anime Village Online」は、公式PSストアの紹介によれば「夢の村を作り、家を飾り、平和な世界を楽しむことができる、心地よいライフシミュレーションゲーム」。プレイヤーは自宅の間取りや家具の配置、作物の栽培や釣り、さらには村のカスタマイズなど、多彩な自由度で生活を楽しめます。
- 最大10人のオンラインマルチプレイに対応
- 友だちの村の訪問や協力プレイが可能
- ゲーム内チャット機能を搭載
- PS Plus必須のオンラインプレイ
- クロスプラットフォーム対応をうたう
これらの要素は「どうぶつの森」シリーズの特徴と完全に重複しており、紹介画像には可愛らしいキャラクターと鮮やかな自然風景、背景の丘や花など、まるで「どうぶつの森そのもの」と指摘する声が後を絶ちません。
「Anime Village Online」の開発背景とクリエイター
本タイトルの開発者としてクレジットされるのは「Wisnu Sudirman」。これまでにもPSストアには「Rooted: Survival」など別のタイトル名義でゲームを公開している人物です。しかし、かつて2025年初頭に同氏が公開した「Anime Life Sim」と呼ばれる別の「どうぶつの森」的ゲームは、発見後すぐにストアから削除された経緯があり、今回もまた危うい橋を渡る試みと見られています。
また、ビジュアル面においては「Rooted: Survival」でも他作品と酷似したアートワーク(例:『The Last of Us』のような被災した都市と緑の光景)を用い、「著作権侵害の意図はない」と明言しつつも、非常に高い類似性が問題視されています。
問題の“そっくり度”:どこまで似ているのか?
ゲーム内で用意されている宣伝画像やキャラクターデザインは、「どうぶつの森 ニューホライズンズ」のプロモーション画像とほぼ見分けがつかないと称されるほどのレベルです。特にNPCの造形や少女キャラクター、背景の木や草花、家の配置、UIにいたるまで、視覚的にもゲーム構造的にも酷似点が多すぎるという評価です。
多くのメディアが「これはまさにパクリであり、単なるインスパイアでは済まないレベル」だと断じており、「Nintendoの法務部が黙っているはずがない」「すぐ削除される運命」といった内容の記事が相次いで公開されています。
PSストアでの承認経緯と、デジタルストア時代の“コピーゲーム問題”
今回のような明確に他社有力IPの模倣作品が大手プラットフォームに掲載される背景には、多数のコピーキャット作品・リップオフ(模倣)作品がデジタルストアで野放しになっている現状が存在します。PSストアだけでなく、Steamや任天堂eShopなどでも近年同様の問題は度々指摘されています。
審査体制の甘さや、自動化された承認プロセスの限界、マーケットプレイスの急成長による見落としなどが重なり、「売れるIPのそっくりゲーム」が紛れ込む状況が後を絶ちません。今作についても「PS Storeでは審査体制を強化すべきでは」「本当にこれが2027年に発売されるのか疑問」「話題性だけを狙った存在の可能性も」といった声も多く見られます。
著作権の観点から:Nintendoは動くのか?
任天堂は従来から自社IPに対する法的措置の強さ・厳しさで知られています。わずかな商標・意匠の類似でも著作権侵害や不正競争防止法違反など、多角的な主張で厳しく対処する企業文化が根付いています。
- 過去には非公式ファンゲームやコピー作品に多額の損害賠償を請求
- 商標やキャラクターの外形・世界観の独自性を強く主張
- 海外展開においては各国の法制度も活用し、配信差止や削除を迅速に行う体制を保有
この流れをふまえ、多くの海外メディアが「今後の展開として高確率で任天堂が法的措置を講じ、ストアから削除される」と予測しています。また、PSストア自体も通報や申し立てがあれば迅速に対応する例が過去にも見られるため、近い将来「Anime Village Online」がストアから消える事態となる可能性は極めて高いとみられています。
「インスパイア」と「パクリ」の違い──ゲーム業界の課題
こうした事例から、「人気IPにインスパイアされたゲーム」と「法的に問題となるコピー作品」の線引きは年々重要さを増しています。実際、「どうぶつの森」的な要素やスローライフゲームへの需要が拡大する中、表現方法やアートワーク、オリジナル要素をどこまで差別化できるかは、今後のゲーム開発にとって重大な課題です。
業界関係者や専門家は、「単なる見た目やシステムの類似だけでなく、ゲーム体験全体としてオリジナリティの有無を厳しく問われる時代」であること、「知財意識を強く持たなければ、すぐに訴訟リスクに発展する」こと、「それでもなお、審査を通過してしまうプラットフォーム各社側の社会的責任」など、多方面での改革を求めています。
現時点では「Anime Village Online」の開発者から直接コメントや声明は発表されていません。しかし、これをきっかけに模倣ゲームとオリジナリティの境界線問題、そしてゲーム業界全体のコンプライアンス強化がより強く意識される契機になるかもしれません。
まとめ──このニュースが問いかける「創作と法」の境界
PSストアに突如現れた「Anime Village Online」は、そのあまりにも“どうぶつの森”らしい外見により、一気に注目作品となりました。しかし、多くの専門家やメディアが見極めるとおり、高い確率で法的措置や削除といった運命が待ち受けているとみられています。今後の経緯にも注目が集まっており、ゲーム愛好家のみならず、コンテンツ産業全体が「知的財産権」に改めて向き合うべきタイミングと言えるでしょう。
ユーザーの皆さんも、今後デジタルストアで見かける「どこかで見たあのゲーム」に対して、「オリジナリティ」と「パクリ」の違いを考えながら、その背景にある開発者やプラットフォームの責任にも意識を向けてみてはいかがでしょうか。
参考元
- This ridiculously blatant Animal Crossing somehow made its way onto the PlayStation Store, but I have a hunch it won’t be there long
- ‘Animal Crossing’ Copycat Launching Soon on the PS5—Will Nintendo File a Copyright Lawsuit?
- Blatant Animal Crossing Clone Lands on PlayStation Store: ‘Nintendo is Gonna Sue Somebody’