相武紗季が魅せる“いびり”ヒロイン 朝ドラ「マッサン」住吉酒造編が本格始動

NHK連続テレビ小説「マッサン」が、舞台を広島から大阪の住吉酒造へと移し、いよいよ物語の重要な転換点に入ってきました。
その中心にいるのが、玉山鉄二さん演じる亀山政春(マッサン)を一途に想い続けてきた社長令嬢・田中優子。演じるのは女優の相武紗季さんです。

1月9日放送の第10回では、婚約を反故にされたと感じた優子が、政春に「過酷すぎる条件」を突きつける衝撃の展開に。続く1月12日の第11回では、優子によるエリーへの“イジメ”がさらに加速していきます。
さらに物語には、堤真一さん演じる鴨居商店の大将・鴨居欣次郎が初登場。「やってみなはれ」の精神を体現する、このドラマ最大級のキーパーソンの登場に、朝ドラファンの間では早くも大きな話題となっています。

政春の“元・許嫁”として揺れ動く相武紗季演じる優子

「マッサン」は、日本のウイスキーづくりに生涯を捧げた男と、その夢を信じて支え続けたスコットランド人の妻との夫婦物語を描いた作品です。
政春はスコットランド留学から帰国する際、すでにエリーという妻を連れて日本に戻ってきます。しかし大阪・住吉酒造の社長・田中大作は、かねてより自分の娘・優子を政春の嫁にするつもりでいました。

優子は、政春の帰りを2年間花嫁修業をして待ち続けてきた女性。ところが突然、金髪碧眼の花嫁エリーを連れて戻ってきた政春の姿を見て、強いショックを受けます。
政春と結婚するつもりで心の準備も生活も整えてきた優子にとって、それは「人生設計がすべて崩れる瞬間」でもありました。

こうして優子は、報われない恋心行き場のない怒りを抱えたまま、政春とエリー夫妻と向き合わざるを得なくなります。
一見すると「意地悪なお嬢様」にも映る優子ですが、その行動の裏には「大人たちが決めた縁談に自分も心を預けてしまった」という、時代背景ゆえの切なさも見え隠れします。

第10回あらすじ:婚約反故? 優子が政春に突きつける「過酷すぎる条件」

1月9日放送の第10回では、政春とエリーが大阪の住吉酒造で新生活をスタートさせた矢先、優子の怒りがついに爆発します。

政春がスコットランドから日本に戻るまでの間、住吉酒造側では「政春を婿養子に迎え、将来は酒造を継がせる」という構想が描かれていました。その中心にあったのが、社長令嬢・優子との結婚話です。
しかし、現実には政春はすでに国際結婚をしており、優子は「一方的に婚約を反故にされた」と感じてしまいます。

第10回では、そんな優子が政春に対して“過酷すぎる条件”を突きつける展開へと進んでいきます。
それは単なるイヤガラセではなく、「裏切られた」という感情の強さの表れであり、同時に「それでも政春にそばにいてほしい」という、揺れ動く心の裏返しともいえるものです。

また、国際結婚という当時としては非常に珍しく、周囲からの理解を得にくい選択をした政春とエリーに対し、優子の存在は日本社会の“保守的な価値観”を象徴する役割も担っています。
視聴者にとっても、優子の怒りは決して「一方的な悪」ではなく、「もし自分だったらどう感じるだろう」と考えさせられるポイントとなっています。

第11回あらすじ:止まらないイジメ…優子の矛先がエリーへ

1月12日放送の第11回では、優子の行動がさらにエスカレートし、エリーへのイジメが本格化していきます。

「マッサン」の制作発表の段階から、相武紗季さんは、エリー役のシャーロット・ケイト・フォックスさんについて「宿敵ということなので、好敵手になれるように精いっぱい頑張りたい」と語っていました。
実際のドラマでも、優子は政春への想いをぶつけるだけでなく、その矛先をエリーにまで向けていきます。

言葉も文化も違う日本社会の中で、不安を抱えながら必死に「日本の嫁」になろうとするエリー。
そんな彼女に対して、優子は事あるごとにきつく当たり、チクリと刺さる一言を浴びせます。
「外国人妻をいびる」役どころとして、相武さんの演じる優子の“いびり芸”は、各種メディアでも「作品のスパイス」として評価されています。

一方で、第11回では、エリー自身が「自分にできること」を考え、孤立しないため、そして政春を支えるために前向きな一歩を踏み出そうとする姿も描かれます。
異国の地で、言葉も通じない中、エリーは「黙って耐える」のではなく、「自分から働きかけて変えていく」道を選んでいきます。

この、エリーの小さくも大きな一歩が、後に優子との関係性の変化、さらには政春夫婦が周囲から受け入れられていく流れへとつながっていくことになります。

“いびり”の裏にある人間味 優子というキャラクターの魅力

ドラマの中での優子は、当初「マッサンの元・許嫁」兼「エリーのライバル」として、かなり刺激的な役回りを担っています。
しかし、物語が進むにつれて、優子は単なる“意地悪キャラ”にとどまらない、人間味あふれる人物として描かれていきます。

実在のモデルとして挙げられているのは、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝の修業先「摂津酒造」の長女・阿部まきさんです。
史実では、まきさんは竹鶴との縁談が取り沙汰されながらも、国際結婚の事実を知るとそれを受け入れ、最終的には別の男性と結婚したとされています。
ドラマのように「怒りをぶつける」「外国人妻をいじめる」といった記録はなく、優子というキャラクターは、ドラマを盛り上げるために創作された“スパイス的存在”だと考えられています。

それでも、優子には

  • 時代に翻弄された女性としての葛藤
  • 親の期待と自分の気持ちとの板挟み
  • 「家」や「跡取り」という価値観に縛られた人生

といったテーマが込められており、視聴者の共感や複雑な感情を呼び起こす存在になっています。

相武紗季さんは、その内面の揺れを表情や声のトーンで丁寧に表現し、「嫌な女なのに、どこか憎みきれない」「見ていて心が痛くなる」といった反応も多く生まれています。
強烈な“いびりシーン”の裏にある、彼女の孤独や不安を感じ取ることで、「マッサン」という物語がより立体的に見えてくるはずです。

堤真一演じる“鴨居の大将”初登場 「やってみなはれ」の精神が物語を一変

さらに、このタイミングで物語に加わるのが、堤真一さん演じる鴨居商店の大将・鴨居欣次郎です。
モデルとなったのは、国産ウイスキーのパイオニアとして知られる実業家・鳥井信治郎とされています。

鴨居欣次郎は、大阪の酒造業界において圧倒的なカリスマ性と先見の明を持つ人物として描かれます。
「やってみなはれ」という言葉に象徴されるように、失敗を恐れず挑戦を後押しするその姿勢は、政春にとっても、そして視聴者にとっても強いインパクトを残します。

ネット上では、その豪快さとどこかミステリアスな雰囲気から、「ばけばけ傳さま(堤真一)? いや、鴨居の大将だ!」といった声も上がり、朝ドラファンが大いに盛り上がっています。
「マッサン」の中で、鴨居は物語を大きく動かすキーパーソンとして機能し、今後の展開に欠かせない存在となっていきます。

政春は、住吉酒造でのウイスキー製造計画が株主たちに承認されず、さらに優子の婚約者の父の要求によって退職に追い込まれることになります。
その後、職にも就けず困窮する時期を経て、最終的にウイスキーづくりに本格的に取り組み始めた鴨居商店に再就職することになるのです。
つまり、今回の鴨居欣次郎の登場は、「マッサン」が夢に向かって再び動き出す重要な起点でもあります。

相武紗季が担う“物語の苦み”と、エリーの成長物語

「マッサン」という作品は、夫婦愛や家族愛といった温かなテーマを描きつつも、その中に社会の偏見・嫉妬・すれ違いといった“苦み”も織り込まれています。
その“苦み”の多くを担っているのが、相武紗季さん演じる優子の存在です。

優子の厳しい態度は、エリーにとって大きな試練となりますが、それは同時にエリーが日本社会の中で成長していくための通過点でもあります。
エリーは優子のイジメにただ傷つくだけではなく、「自分にできること」を探し、行動することで、少しずつ周囲との距離を縮めていきます。

やがて物語が進むにつれ、優子とエリーの関係にも変化が生まれ、単なる対立構造から、互いを認め合う関係性へと変わっていきます。
その過程を支えているのが、相武紗季さんの繊細な演技と、シャーロット・ケイト・フォックスさんのまっすぐな表現力です。

今回の第10回・第11回周辺のエピソードは、「マッサン」という作品の中でも、人間関係の痛みと成長が最も色濃く描かれるパートのひとつと言えるでしょう。
優子の“いびり”にハラハラしつつも、その奥にある切なさや、エリーのたくましさに目を向けてみると、より一層深く物語を味わうことができそうです。

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