深夜ドラマ『40までにしたい10のこと』、BLドラマとして異例の大ヒット ― 何が視聴者の心を掴んだのか?

2025年夏、テレビ東京系深夜枠で放送されたドラマ『40までにしたい10のこと』が、現在異例の大ヒットを記録しています。BL(ボーイズラブ)ジャンルの作品ながら、従来のファン層だけでなく幅広い年代・性別から共感を集め、その現象は「深夜のBL枠」史上まれに見るものとなりました。新たなBLドラマブームの到来を象徴する本作。その人気の背景や制作の裏側、主演俳優たちの活躍、そして特別番組の放送決定まで――約3000字にわたって徹底解説します。

あらすじと原作の魅力

本作は、マミタ原作の同名漫画(『月刊マガジンビーボーイ』連載/BL部門の電子コミック大賞2024受賞作)を実写化したものです。主人公は、会社員の十条雀(演・風間俊介)。10年以上恋人もおらず、家と会社を往復するだけの日々を過ごすアラフォー男性です。40歳の誕生日まで残り3か月となり、人生に焦りを覚えた雀は「40までにしたい10のこと」リストを作成。しかし、それを10歳年下・イケメン部下の田中慶司(演・庄司浩平)に偶然見られてしまいます。驚く雀に対し「このリスト、俺と一緒に叶えませんか?」と提案する慶司。性別や年齢の垣根を越え、リストを“二人で”叶えていくラブストーリーが始まります。

30代後半~40代という、恋愛ものではあまり描かれない年齢層の悩みやリアルな日常が舞台。「やれるだけのことをやって人生後悔したくない」「自分の“好き”に正直に生きたい」という作品テーマが、視聴者の共感を呼ぶ大きなポイントになっています。

ヒットの舞台裏:マニア以外の心も掴んだ要因

  • 身近な悩みを丁寧に描写
    主人公・雀が抱える孤独感や、年齢・性別・職場での立場の違いに悩みつつ一歩を踏み出していく姿は、BL枠に限らず幅広い世代から「自分事のように感じる」との声が多数寄せられています。
  • 丁寧な人間関係の描写&役者の化学反応
    年の差・上司と部下という構造だからこそのぎこちない空気感、少しずつ近づく心の描写が丹念で、特に風間俊介&庄司浩平の共演は絶賛されました。「キス待ち顔がかわいすぎる」「お互いが自然体に見える」といったSNSでの反響も多く、イケメン若手×人情派ベテランのバランスが新鮮と話題です。
  • “推し活”文化&SNS拡散力
    OP/ED楽曲や劇中小物、名セリフのSNSシェア画像など、「推し活」を意識した企画が豊富。特に「〇×までにしたい10のこと」のリストを自分の人生にも投影できるという応援型視聴が増え、ドラマファン以外も巻き込んだブームに発展しました。
  • 深夜枠ならではの自由な演出
    内容面でも会話劇中心だったり、しっとりとした大人の距離感や静謐な映像表現など、ゴールデンタイムの作品とは異なる繊細さがあります。「夜にこっそり見たい大人のBLドラマ」として高い評価を得ました。

名セリフ&名シーン…心に残る丁寧な脚本・演出

脚本は齊藤よう、監督・演出を池田千尋が担当。派手な出来事に頼るのではなく、「本音で語る」瞬間や「沈黙」の演出など、丁寧な心理描写が特徴です。視聴者から「何気ない一言が刺さる」「静けさの中の温度感がリアル」との声も。深夜ならではの静謐さとリアリティ、そして苦悩や葛藤に寄り添う優しいまなざしが全話を貫いています。

話題のイケメン若手×ベテラン俳優の熱演

  • 風間俊介(十条雀役)
    ドラマ・映画・舞台問わず幅広い役柄をこなすベテランですが、今回芸歴29年目で初の「年の差BL」主演に挑戦。「アラフォー男性の不器用さ、迷い、時おり見せる儚さ」が見事で、過去のイメージを良い意味で壊す大躍進と言われています。SNSでは「風間俊介がこんな表情をするなんて新鮮!」と評判です。
  • 庄司浩平(田中慶司役)
    高身長で爽やかなルックスと、若さゆえのまっすぐな情熱を体現。「キス待ち顔がかわいすぎる」といったビジュアルを活かした萌えシーンはもちろん、大人の恋に真剣に向き合う誠実さ、繊細な心の揺れも丁寧に演じ切りました。

このメイン2人以外にも、青木瞭・平井亜門・高山璃子・ワタナベケイスケらがそれぞれ物語に深みを加えています。

放送日にあわせ特別番組も決定!名場面の舞台裏に密着

2025年9月20日には、制作の裏側や名シーンの誕生秘話に密着した特別番組が放送決定。風間俊介×庄司浩平ら主要キャストによるメイキング&インタビュー、さらに未公開カットや舞台裏のエピソード、本作を支えた脚本・演出チームのこだわりなど、ファン必見の内容です。「現場が温かかったからこそ、あの雰囲気が生まれた」と語る俳優陣の素顔も注目ポイント。ドラマだけでは語りきれない「裏話」が明かされ、SNSでも期待の声が高まっています。

深夜ドラマ×アラフォーBLの未来

『40までにしたい10のこと』は、年齢・性別・ジェンダーの固定観念や常識を優しく問い直す試みが高く評価されています。今後も「BLだから」「深夜だから」といったジャンルの壁を越え、人生の岐路に立つ全ての人へ向けて、その先の未来を示唆するような作品づくりが続くことが期待されています。

「40までにしたい10のこと」“人生の羅針盤”として

  • 登場人物が1つずつ叶えていく「10のこと」は、視聴者にとっても「自分なら××までにやりたいリストは何か?」を考えさせるきっかけになりました。
  • 例えば、「好きとちゃんと伝える」「1人で旅に出る」「ずっと気になっていた人間関係を修復する」など、ドラマ内だけでなく私たちの日常にも応用できる小さな目標も盛り込まれています。「明日からの一歩が踏み出せる」――そんなエールを多くの視聴者が感じ取っているのです。
  • さらに、推し活やSNS時代の情報拡散が、作品世界にとどまらず「自分の人生を豊かにするヒント」に繋がっているのも、2025年版BLドラマの新たな特徴と言えるでしょう。

まとめ:「40までにしたい10のこと」の大ヒットが問いかけるもの

かつては“ niche(ニッチ、限られた支持層)”とされた深夜のBL枠。しかし今、寂しさや不安、幸せや願い――人生のさまざまな感情を視聴体験として共有することで、じわじわと広い共感の輪が生まれています。『40までにしたい10のこと』は、単なるラブストーリーにとどまらず、「自分にとっての幸せとは」「残りの人生で本当にやりたいことは何か」という問いを静かに私たちに投げかけています。

今後も、人生の分岐点に立つすべての人へ届ける“人生応援ドラマ”として、多くの語り継がれる作品となることでしょう。

参考元