北野天満宮ゆかりの「午」干支アートが各地で話題 ジャンボ絵馬と巨大馬オブジェが新年を彩る

日本各地で、新しい一年の干支「午(うま)」にちなんだ大きな絵馬やオブジェが次々とお目見えしています。学問の神様・菅原道真公を祀る北野天満宮とも縁の深い「馬」をテーマにした取り組みとして、地域の人びとの願いと工夫が込められた話題のニュースを、やさしくご紹介します。

学問の神様と「馬」のご縁 北野天満宮と干支文化

京都の北野天満宮は、学問成就や合格祈願で知られる全国天満宮の総本社として、多くの受験生や家族が訪れる神社です。境内には、毎年干支にちなんだ絵馬や縁起物が並び、新年を迎える雰囲気を盛り上げます。

天満宮といえば「牛」の像が有名ですが、日本の神社・お寺の門前には、干支を描いた絵馬がかかることも多く、午年には力強く駆ける馬が新年のシンボルとして親しまれています。ここでは、北野天満宮とも通じる「学び」「願い」「躍進」といったテーマを感じさせる、各地の午年アートの取り組みを見ていきます。

佐用町・瑠璃寺の参道を彩るジャンボ絵馬「馬駆け巡る年に」

兵庫県佐用町にある瑠璃寺では、毎年恒例となっているジャンボ絵馬が今年もお披露目されました。新年を前に開かれた除幕式では、地域の園児たちが参加し、にぎやかな雰囲気の中で幕が外されました。

山門前に掲げられた絵馬は、縦約3.5メートル、横約5メートルにもなる巨大なもの。1992年から続くこの取り組みは、地域の風物詩としてすっかり定着しています。描かれているのは、たてがみをなびかせて悠々と駆ける午の姿で、そのデザインは地元の住民が担当しました。力強くもどこか優しさを感じる表情に、新年への期待が込められています。

絵馬には、「馬のように勢いが盛んな様子」を表した『万場奔騰』、そして「努力すれば夢は叶う」という願いを表現した住職の造語『一念開花』の文字が記されています。どちらも、受験や仕事、挑戦の年にしたいと願う人の背中を押してくれる言葉です。学問成就を願って多くの人が訪れる北野天満宮のご利益にも通じる、前向きなメッセージといえるでしょう。

このジャンボ絵馬は、午年の一年間、瑠璃寺の山門前に飾られる予定で、参拝に訪れた人びとを見守ります。大きな午の姿を見上げながら、一年の抱負や目標を静かに心に描くひとときは、子どもから大人まで、誰にとっても特別な時間になりそうです。

島田市・大代地区 年賀状やSNSでも人気の「ジャンボ干支」

静岡県島田市の大代(おおしろ)地区でも、干支をテーマにしたジャンボ干支オブジェが話題になっています。ここでは毎年、地域の人びとが協力して干支をかたどった大きな作品を作り上げており、「迫力の『午』がお出迎え」とニュースでも取り上げられました。

大代地区のジャンボ干支は、7日から一般公開され、多くの見物客が訪れます。新年のあいさつにぴったりの写真映えするスポットとして、年賀状やSNS用の写真撮影に活用する人も多いそうです。背景に力強い午のオブジェが写り込む一枚は、「飛躍」「前進」といった明るいイメージを与えてくれます。

こうした地域の取り組みは、単なる観光イベントにとどまらず、住民同士のつながりを深めたり、子どもたちに日本の干支文化を伝えたりする役割も担っています。北野天満宮のように、絵馬を通じて「願いを書く」「思いを形にする」文化が根付いている場所と同じように、大代地区のジャンボ干支も、地域の人びとの一年の決意や希望を託す大切な象徴となっています。

姫路・安志加茂神社の巨大な馬オブジェ 酒米の稲穂に込めた願い

兵庫県姫路市の安志加茂神社にも、午年を迎えるにあたって巨大な馬のオブジェが登場し、参拝客の注目を集めています。このオブジェは、地域の人びとが協力して制作したもので、その特徴はなんといっても酒米の稲穂を使って形づくられている点です。

稲穂は、日本の食文化や祭礼にとって欠かせない存在であり、豊作祈願の象徴でもあります。酒米の稲穂を使った馬のオブジェには、「午年の一年が実り豊かな年になりますように」という願いとともに、地域の酒づくりや農業がさらに栄えてほしいという思いも込められています。

安志加茂神社の巨大馬オブジェは、迫力ある大きさに加え、稲穂ならではのあたたかみのある質感が印象的です。風に揺れる稲穂が、まるで馬のたてがみのように見え、見る角度によってさまざまな表情を見せてくれます。写真に収める参拝客も多く、こちらも年賀状やSNSの話題スポットとして人気が高まりそうです。

北野天満宮と各地の午年アート 共通する「願い」と「学び」

ここまでご紹介してきた、瑠璃寺のジャンボ絵馬、大代地区のジャンボ干支、安志加茂神社の巨大馬オブジェには、いくつかの共通点があります。それは、どれも「新しい一年が良い年になりますように」という素朴でまっすぐな願いが込められていること、そして地域の人びとが力を合わせて作品を作り上げていることです。

北野天満宮にも、多くの受験生や家族が訪れ、絵馬に合格や成長の願いを書き込みます。その光景は、瑠璃寺の「一念開花」という言葉や、午が駆ける姿に託された「飛躍」のイメージと重なります。学問の神様に手を合わせるとき、人は「努力が実を結びますように」と願いますが、それは稲穂に豊作を願う気持ちとも通じるものがあります。

また、干支の午は、スピード感や行動力を象徴するとされることも多く、「停滞せず、一歩踏み出す年にしたい」という前向きなメッセージが込められがちです。ジャンボ絵馬や巨大オブジェの力強い午の姿は、「迷っていても、まずは走り出してみよう」と励ましてくれているようにも感じられます。

地域と人をつなぐ干支アート 家族で楽しむ初詣のきっかけにも

ジャンボ絵馬や巨大オブジェの魅力は、その大きさや迫力だけではありません。そこには、地域の歴史や暮らし、そして人びとの祈りが丁寧に織り込まれています。子どもたちにとっては、日本の伝統行事や干支文化にふれるきっかけとなり、大人にとっては、自分の一年を見つめ直す大切な節目の時間となります。

北野天満宮をはじめとした各地の神社仏閣では、初詣の時期にさまざまな干支関連の授与品や飾りつけがなされます。もし午年に参拝する機会があれば、境内の干支の絵馬や飾りを探してみるのもおすすめです。また、旅行や帰省で佐用町の瑠璃寺や島田市大代地区、姫路市の安志加茂神社を訪れることがあれば、ぜひジャンボ絵馬や馬のオブジェの前で足を止め、その場の空気を味わってみてください。

馬が大地を駆け巡るように、新しい一年が、学びと挑戦に満ちた実りある年となるよう、各地の午年アートは静かに、しかし力強く私たちを見守ってくれています。北野天満宮に掲げられる一枚一枚の絵馬と同じように、そこには、数えきれないほどの願いと物語が刻まれているのです。

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