寒い季節こそ注意!人気の「火鍋」が腎臓・血管・肝臓を傷つける理由とは
寒くなると、アツアツの火鍋(台湾・中国式の鍋料理)や「打邊爐(広東語での鍋)」が恋しくなりますよね。家族や友人と囲んで食べる鍋は、とても楽しく幸せな時間です。
ところが最近、台湾や香港のメディアで「火鍋の食べ方しだいで腎臓や血管、肝臓に大きな負担がかかる」というニュースが相次いで報じられています。特に、
- 「天冷吃火鍋『7習慣超傷腎』」=寒い日に火鍋を食べるときの7つの悪習慣が腎臓をボロボロにする
- 「火鍋湯底加水稀釋,鈉不減喝完一樣傷身」=スープを水で薄めても塩分(ナトリウム)はそう簡単には減らない
- 「連續3日打邊爐,膽固醇飆升・脂肪肝リスク・腎臓殺手スープ」=3日連続で鍋をするとコレステロールや脂肪肝、腎臓へのダメージが心配
といった強い表現が目立ちます。今回は、こうした報道内容や、専門家のコメントを踏まえながら、
- どんな食べ方が「腎臓・血管・肝臓」に負担をかけるのか
- なぜ「スープ」が特に危険視されているのか
- どうすれば、からだに優しく火鍋を楽しめるのか
を、やさしい言葉で整理してお伝えします。
「都」市部で大人気の火鍋、その陰に潜む健康リスク
台湾や香港などの大都市(都心部)では、火鍋チェーン店や食べ放題店が街のあちこちにあり、冬場になるとどこも大混雑します。ニュースでも「超多『人都』中!」と表現されるほど、人が密集して鍋を囲む光景が当たり前になっています。
しかし、こうした「気軽に、何度でも、たっぷり食べられる」環境こそが、
- 塩分(ナトリウム)のとり過ぎ
- 脂質・カロリーのとり過ぎ
- 加工食品のとり過ぎ
を招き、知らないうちに腎臓・心血管・肝臓などの臓器を疲れさせている、と専門家たちは警告しています。
「7つの悪習慣」が腎臓にダメージ?主なパターンを整理
ニュースで取り上げられている「腎臓を傷つける火鍋の習慣」は、細かい数え方は違っても、おおむね次のような傾向に集約できます。
- 濃い味・しょっぱいスープを最後まで飲み干す
- 辛さ・しびれ(麻辣)系のスープを好み、何度もおかわりする
- スープを長時間ぐつぐつ煮込み続ける(30分以上など)
- スープが減るたびに水を足して薄めたつもりで、結局また飲んでしまう
- 加工された火鍋用の練り物・揚げ物ばかりを選ぶ
- 数日連続で火鍋・打邊爐を食べる(連日飲み会状態)
- 食後に冷たい飲み物やアイスで「冷やす」習慣
どれも「ついやってしまいがち」なことばかりですが、「全部そろってしまう」と、腎臓だけでなく、胃腸・血管・肝臓もまとめて疲れ切ってしまう可能性があります。
なぜ「30分以上煮込んだスープ」は“飲まない方がいい”と言われるのか
話題になっているニュースのひとつに、「鍋のスープを30分以上煮込んだら、できるだけ飲まない方がよい」という専門家の指摘があります。その理由は次の通りです。
- 塩分(ナトリウム)がどんどん濃縮される
- 具材から出た脂肪分やプリン体、添加物などがスープに溶け出す
- 水分が蒸発するため、同じ量を飲んでも「より濃い」負担の大きいスープになる
特に、魚介や肉、内臓系の具材を長く煮ると、プリン体という成分がスープに多く溶け込みます。これは尿酸の元になり、飲みすぎれば痛風や腎臓病のリスクが高まります。
また、麻辣鍋や濃厚なとんこつスープなどでは、最初から多量の塩分と脂肪が含まれており、さらに
- 肉の脂
- 練り物・揚げ物からしみ出た油
- タレや調味料(沙茶醤・醤油ダレなど)
が加わることで、スープは「塩と脂のかたまり」に近い状態になっていきます。そのため、
- 長時間煮込んだスープをがぶがぶ飲む=腎臓・血管・肝臓にとって強い負担
と考えられているのです。
「水で薄めても塩分は減らない」栄養士が指摘するスープの落とし穴
もう一つ、ニュースで大きく取り上げられているのが、
「スープに水を足して薄めても、塩分(ナトリウムの総量そのものは減らない」という点です。
たしかに、水を加えれば「しょっぱさ」は少し和らぐかもしれません。しかし、鍋の中全体で見たときの塩分の総量は変わっていません。そのまま「飲みやすくなった」と感じてたくさん飲んでしまえば、
- ナトリウムの摂取量はむしろ増える
- 結果として高血圧・むくみ・腎臓への負担が大きくなる
という本末転倒になりかねません。
世界保健機関(WHO)は、健康な大人の1日のナトリウム摂取量を2g以下に抑えるよう推奨していますが、火鍋のスープにはこの基準をあっさり超えるだけの塩分が含まれていることが少なくありません。水を足したからといって、安心して飲み干してよいわけではないのです。
「一つのスープが腎臓の殺し屋」脂肪と塩分のダブルパンチ
香港のニュースでは、連日「打邊爐」を楽しんでいた人の中に、
- コレステロール値が急上昇
- 脂肪肝が悪化
- 腎臓の機能検査に異常が見つかった
といったケースが報告されています。特に、ある種類のスープは「腎臓殺手(腎臓の殺し屋)」とまで表現されました。
具体的には、
- ラードや牛脂などをふんだんに使った濃厚白湯・麻辣スープ
- 鍋の表面に油が分厚く浮いているタイプ
- 香辛料と塩分が非常に強い「重口味」のスープ
などが問題視されています。これらのスープを、
- 何日も連続で食べる
- シメの麺やご飯と一緒に「最後まで飲み干す」
といった習慣を続けると、
- 血中脂質(コレステロール・中性脂肪)の上昇
- 肝臓への脂肪蓄積(脂肪肝)
- 腎臓でのナトリウム・老廃物処理の負担増
が重なり、「血管に油を流し込み、腎臓に塩を流し込み、肝臓に脂肪を溜める」ような状態になってしまう、と専門家は警鐘を鳴らしています。
加工火鍋料にも要注意:腎臓・血管に4つの隠れリスク
台湾の栄養士は、火鍋の具材として人気のある「火鍋料(練り物や揚げ物などの加工食品)」について、次の4つの隠れた危険性を指摘しています。
- 腎臓への負担・むくみ
高ナトリウムの加工品は、腎臓が塩分を処理する負担を増やし、体内の水分バランスを崩してむくみやすくなります。 - 心血管疾患リスクの上昇
弾力やコクを出すために使われる飽和脂肪・トランス脂肪が血中脂質を悪化させ、動脈硬化や心疾患のリスクを高めます。 - 高カロリーで肥満につながりやすい
練り物にはデンプンが多く、栄養密度が低い割にカロリーが高いため、肥満の原因となりやすいとされています。 - 腸や皮膚を刺激し、アレルギーを誘発する可能性
着色料・保存料・増粘剤などの添加物が含まれ、敏感な人ではかゆみや腸の不調、アレルギー反応を引き起こすことがあります。
人気の「つみれ」「団子」「揚げ豆腐」「魚のすり身ボール」などは、つい数を食べ過ぎがちですが、腎臓や血管を守るためには“ほどほど”が大切といえるでしょう。
冷たい飲み物で「以冰解辣」は胃腸に大ダメージ
辛い火鍋を食べたあと、冷たいジュースやアイスで口の中を冷やす「以冰解辣(冷たいもので辛さを抑える)」という習慣も、医師からは腸胃の大きなNG行為とされています。
理由としては、
- 熱々の食べ物の直後に冷たいものを入れると、胃腸に急激な温度差のストレスがかかる
- 消化機能が乱れ、腹痛・膨満感・便秘・下痢などを引き起こしやすい
- とくに腎臓病・糖尿病・脂肪肝を持つ人は、ダメージが大きくなりやすい
といった点が挙げられています。辛さをやわらげたいときは、
- 常温の水やお茶
- 辛くない具材(豆腐・野菜など)
で調整するほうが、からだに優しい選択です。
連日の「打邊爐」で胆固醇&脂肪肝リスクアップ
香港の報道では、「3日連続で打邊爐(鍋)をしたあと、健康診断でコレステロールが急上昇していた」「脂肪肝を指摘された」といった例も伝えられています。
火鍋は、
- 脂身の多い肉
- 内臓系
- バター・ラード入りのスープ
- 揚げ物・練り物
などをまとめて摂りやすいため、
- LDLコレステロール(悪玉)や中性脂肪の増加
- 肝臓への脂肪蓄積(脂肪肝)
につながりやすい食事スタイルです。そこに、多量の塩分やアルコールが重なると、
- 肝臓
- 腎臓
- 血管
が同時にストレスを受け、「冬の短期間で、からだを一気に老けさせる」ような状況になりかねません。
それでも火鍋を楽しみたい!今日からできる7つの対策
ここまで読むと「火鍋はもう食べない方がいいの?」と心配になるかもしれませんが、重要なのは「完全にやめる」ことではなく「上手に付き合う」ことです。専門家のアドバイスをもとに、すぐに実践できるポイントをまとめます。
- スープは“味わう程度”で、飲み干さない
30分以上煮込んだスープほど塩分・脂肪・プリン体が濃くなります。味見程度にとどめ、「シメまで全部飲む」のは控えましょう。 - 水で薄めても油断しない
水を足してもしょっぱさが少し和らぐだけで、ナトリウムの総量はほとんど変わりません。「薄くしたから大丈夫」と思ってたくさん飲まないように気をつけましょう。 - 具材は「加工品より原型食材」を優先
つみれ・団子・揚げ物などは少なめにし、野菜・きのこ・海藻・豆腐・きのこ類などの「元の形が分かる食材」を中心に選びます。 - スープはあっさりタイプを選ぶ
麻辣・濃厚白湯・油がたっぷり浮いたスープよりも、昆布・鶏ガラ・野菜ベースのあっさり出汁が、腎臓や血管への負担を減らします。 - 「連日の鍋」ではなく「ときどきのご褒美」に
3日・4日と続けて食べるのではなく、間に普通の和食やあっさりメニューを挟み、からだをリセットする時間をつくりましょう。 - 食後に冷たい飲み物・アイスは避ける
胃腸に大きな温度差ストレスを与えます。常温の水・お茶、または温かいお茶がおすすめです。 - 持病がある人は特に慎重に
腎臓病・高血圧・心臓病・糖尿病・脂肪肝・高脂血症などがある人は、主治医や栄養士のアドバイスを受けながら、頻度・スープの種類・量を調整しましょう。
「都」市の冬を健康に楽しむために
都市部(都)では、仕事帰りに同僚と、週末に家族と、気がつけば冬の間に何度も火鍋を囲んでいる…という人も少なくありません。それ自体は、コミュニケーションの場としても、とても大切で楽しい時間です。
ただ、その楽しい時間を「腎臓・血管・肝臓の犠牲」の上に成り立たせないためには、
- スープの飲み方
- 具材の選び方
- 食べるペースと頻度
を少しだけ見直すことがとても重要です。
ニュースで話題になっているような「7つの悪習慣」をすべてやめる必要はありません。まずは、
- 「スープを飲み干さない」
- 「加工品を減らして野菜やきのこを増やす」
といった、取り組みやすいところから始めてみてください。それだけでも、腎臓や血管への負担はかなり変わってきます。
寒い季節の火鍋は、本来、からだを温め、心をほぐしてくれる楽しい食文化です。少しだけ賢く選び、少しだけ控えめに楽しむことで、「おいしい」と「健康」の両方を手に入れていきましょう。


