渡辺哲が挑む渾身のひとり芝居『カクエイはかく語りき』が話題に
俳優・渡辺哲(75)が、昭和の名宰相・田中角栄をテーマにしたひとり芝居『カクエイはかく語りき』を、2025年8月から9月にかけて新潟・柏崎市と東京・下北沢ザ・スズナリで上演します。田中角栄の壮絶な人生と政治家としての人間味を熱演し、その「強力な孤独感」や「想像の相手が勝手に動き出す」演技力に注目が集まっています。
田中角栄の生きざまを一人芝居で余すところなく描く
『カクエイはかく語りき』は、2018年に再演された作品を7年ぶりに改訂し、渡辺哲が田中角栄元首相を演じるひとり芝居です。田中は「今太閤」とも呼ばれ、国民的な人気を誇ったもののロッキード事件で刑事被告人となり、1993年に75歳で亡くなりました。渡辺は今回、田中と同じ75歳の年齢に達したタイミングで田中の人生を改めて体現します。約50年以上舞台一筋で生きてきた渡辺は、「ごまかしがきかない舞台の厳しさ」を率直に語りつつ、その緊張感とエネルギーこそ舞台の醍醐味だと話しています。
孤独な一人芝居の魅力と演技の深み
一人芝居は想像力が試される場面です。渡辺は「強力な孤独感」を味わいながら、存在しない相手を観客の前に生き生きと出現させる技術を持っています。たとえば、田中角栄が妻・真紀子氏と二人でモナリザを見たエピソードを芝居の中で語るシーンは、観る者の胸を打ちます。渡辺が一人で演じながらも、まるで複数の人物がそこにいるかのようなリアリティを作り上げることで、伝説的政治家の人間性がより審美的に浮かび上がります。
舞台の伝統と現代の演劇事情についての思い
渡辺はインタビューで「舞台の本質は変わらない」と語り、映像や配信が普及する現代でも劇場で繰り返されるライブの緊張感と熱量が唯一無二であると強調します。映画やテレビが必ずしもリアルタイムや同じ空間で楽しむものではなくなった中、舞台はその刹那的な共有体験が演劇ならではの魅力として残っています。彼の芝居はこの舞台芸術の根幹を守り続ける一環でもあり、挑戦であるといえます。
企画されたいくつかの特別企画も話題
8月の新潟公演に先駆け、長嶋茂雄の引退日に日テレバイト中の渡辺が出演した特番なども話題を呼びました。渡辺が田中角栄を演じる姿をテレビでも見る機会があり、舞台への注目度はさらに高まっています。
公演概要とチケット情報
- 新潟・柏崎市文化会館:8月23日、24日
- 東京・下北沢ザ・スズナリ:9月9日~15日
チケットは一般発売中で、下北沢ザ・スズナリの公演では先着順での販売となっています。舞台は約75分の上演予定で、田中角栄を通じて日本の昭和史を感じる貴重な機会となるでしょう。
まとめ
75歳という円熟の年齢に達した渡辺哲が、ひとり芝居『カクエイはかく語りき』で田中角栄を演じることで、昭和の政治史と人間ドラマを生き生きと描き出します。孤独な一人芝居に込められた熱い想いと演技力は、多くの観客の心に響くこと間違いありません。舞台好きだけでなく、昭和史や政治に関心がある方もぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。