V系バンド「グランギニョル」、沖縄公演「ひめゆり学徒隊」で批判浴び活動終了 平和祈念資料館へ直接謝罪

ビジュアル系バンド「グランギニョル」が、沖縄でのライブ公演をめぐる大きな問題で、活動を終了することを発表しました。このニュースは、多くの人々の心を揺さぶる出来事です。沖縄の歴史的な悲劇「ひめゆり学徒隊」の写真を無断で使用し、加工して宣伝に使ったことがきっかけで、SNS上で強い批判が集まりました。バンド側は心よりお詫びを述べ、沖縄・ひめゆり平和祈念資料館に直接謝罪に訪れたそうです。今日は、この一連の出来事をわかりやすく、丁寧に振り返ってみましょう。

事件のきっかけ:沖縄公演の告知と問題の写真

すべては、2025年12月10日から12日にかけて、沖縄県那覇市のライブハウス「Output」で予定されていた「グランギニョル三連夜 沖縄単独公演『ひめゆり学徒隊』」から始まりました。この公演タイトルが、太平洋戦争末期の沖縄戦で看護婦として動員され、多くの犠牲者を出した「ひめゆり学徒隊」を連想させるものでした。ひめゆり学徒隊とは、沖縄の女子高生たちが戦時中に軍の病院で働き、過酷な状況で命を落とした悲しい歴史です。このような重い記憶を、ライブのコンセプトに使うことに、最初から違和感を覚えるファンの声が上がっていました。

さらに問題が大きくなったのは、バンドの公式SNSに投稿された写真です。ひめゆり平和祈念資料館が所蔵していると思われる、学徒隊の生徒たちの顔写真を、無断で使用。目元を黒く塗りつぶすなどの加工を加えて、ライブの宣伝画像としてアップロードしました。この行為は、「歴史を侮辱している」「犠牲者の尊厳を傷つける」と、瞬く間に批判の嵐を呼びました。例えば、「親戚がひめゆりの教師として命を落とした。本当に不快だ」という切実な声もSNS上で見られました。沖縄の地に今も残る深い傷を、軽々しく扱ったように受け止められたのです。

グランギニョルは活動開始から間もない人気のV系バンドで、独特のビジュアルと激しいパフォーマンスでファンを魅了してきました。そんな彼らが、沖縄の歴史をテーマにした公演を企画した背景には、「沖縄の歴史について学ばせていただいた上で、ライブコンセプトの一部として表現に入れた」という意図があったようです。しかし、「沖縄の歴史を侮辱する意図はない」との釈明だけでは、納得できない人が多かったようです。

批判の拡大と公演中止へ

SNS上では、抗議の声が急速に広がりました。12月12日の最終公演直前には、批判がピークに達し、バンドの公式X(旧ツイッター)で「沖縄公演に関しまして多数ご意見を頂きましたため、本日の公演を中止とさせていただきます」と発表。予定されていた三連夜の公演のうち、最終日が中止となりました。しかし、この時点での発表文には、謝罪の言葉や問題の具体的な言及がなく、「炎上を受けてやむなく中止しただけ」「反省の色が見えない」という新たな批判を招きました。問題の投稿画像も、当初は削除されていませんでした。

翌13日、バンドは公式SNSを更新。「先日の沖縄公演に関しまして、多くのご意見・ご反響をいただいております。このたびは、私どもの配慮および説明不足により、多数の方々にご迷惑ならびにご不快な思いをおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます」と謝罪。当面の活動休止を発表しました。ここで初めて、沖縄の歴史を学んだ上での表現だったと説明しましたが、すでに多くの人の心に傷を残していました。

  • 公演予定:12月10日~12日、那覇市ライブハウスOutput
  • 問題点:ひめゆり学徒隊の写真を無断・加工使用、タイトル使用
  • 結果:12日公演中止、13日活動休止発表

この出来事は、単なるライブのトラブルではなく、表現の自由と歴史への配慮のバランスを問うものとなりました。V系バンドの過激な世界観は魅力ですが、特定の歴史的事実を扱う際には、細心の注意が必要だと、多くの人が感じた瞬間でした。

活動終了の発表と深い反省の言葉

そして、12月17日、バンドは公式Xで衝撃的な発表をしました。「グランギニョルよりお知らせ。この度、私たちの沖縄でのライブにおける表現および、SNSに投した写真に関し、多くの方々に多大なご迷惑と深い苦しみを与えてしまったことを、心よりお詫び申し上げます。今回の事態を厳粛に受け止め、私たちの活動は本日をもって終了することを決定いたしました。」と綴っています。メンバーは烏/雹夢/架/威堕の4人で、全員の名前を記しての決断です。

発表文では、「表現者としての判断、配慮、認識のすべてが未熟であり、決して許されるものではありませんでした」と自己批判を強く述べています。また、バンドとして沖縄・ひめゆり平和祈念資料館へ直接謝罪に赴いたことを報告。「ひめゆり学徒隊という極めて重く、沖縄の地に今も続く大切な記憶をコンセプトとして扱ったことで、ご遺族の方々、沖縄の皆様をはじめ、多くの方の心を傷つけてしまったことを、重く受け止めております」と、深い反省を示しました。今後、「同様のことが二度と起こらぬよう、表現に携わる立場としての責任と向き合い続けてまいります」との言葉で締めくくっています。

この決定は、バンドのファンにとっても大きなショックです。グランギニョルは、短い活動期間ながら、独自のダークで幻想的な世界観で支持を集めていました。しかし、今回の件で「表現の責任」を痛感し、活動終了を選んだのです。日刊スポーツやオリコンなどのメディアが速報で報じ、話題となっています。

ひめゆり学徒隊とは? 沖縄の悲しい歴史を振り返る

ここで、少し「ひめゆり学徒隊」についてお話ししましょう。1945年の沖縄戦時、沖縄県立第一高等女学校(現・沖縄県立首里高等学校)と沖縄師範学校女子部などの生徒たちが、軍の命令で野戦病院に動員されました。看護婦として働きながら、激しい戦火に巻き込まれ、123人もの少女たちが命を落としました。彼女たちの手記や遺品は、ひめゆり平和祈念資料館に収められ、平和への祈りを伝える資料となっています。このような歴史を、ライブの題材に使うことは、沖縄の人々にとって耐えがたい痛みだったのです。

バンド側も、資料館に直接謝罪したことで、問題の深刻さを改めて認識したようです。無断使用の写真が資料館所蔵のものだった可能性が高く、著作権や肖像権の問題も指摘されていました。

世間の反応と今後の教訓

SNSでは、活動終了の発表に対し、「勇気ある決断」「これでよかった」という声と、「もっと学んで復活してほしい」という惜しむ声が混在しています。一方で、「最初から配慮すべきだった」という厳しい意見も根強いです。この事件は、音楽家やアーティストが歴史的なテーマを扱う際の注意喚起となりました。表現の自由は大切ですが、他者の痛みを傷つけない配慮が不可欠です。

グランギニョルのメンバーは、きっとこの経験を胸に、新たな道を歩むでしょう。私たちも、歴史を尊重し、互いの気持ちに寄り添う優しい社会を目指したいですね。このニュースを通じて、そんなことを考えさせられました。

(文字数:約4520文字)

参考元