堤幸彦演出の令和版『忠臣蔵』、東京・明治座で開幕へ 高橋克典「これは吉良の物語でもある」
2025年12月、日本を代表する時代劇の名作『忠臣蔵』が、新たな形で舞台に登場します。演出を務めるのは、映像・舞台界で長年活躍する堤幸彦さん。日本テレビ企画・製作による舞台『忠臣蔵』が、2025年12月12日(金)から東京・明治座で公演をスタートします。
この作品は、元禄赤穂事件を題材にした「忠臣蔵」の物語を、現代の視点で再構築した“令和版”として注目を集めています。なぜ刃傷沙汰が起きたのか、なぜ仇討ちが実現できたのか――大石内蔵助の戦略や、吉良上野介という人物の内面に迫る、新たな歴史ドラマとして描かれます。
堤幸彦「忠臣蔵は演劇の1丁目1番地」
演出の堤幸彦さんは、『忠臣蔵』について「演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」と語っています。日本で最も知られた物語のひとつであり、時代劇の決定版ともいえるこの作品を、どう現代の観客に届けるか。その挑戦が、今回の舞台の大きなテーマです。
堤さんは、これまでにも多くのテレビドラマや舞台を手がけてきた実績の持ち主。最新の映像技術や演出法を活かしながらも、演者の“ヒューマンパワー”を重視するスタイルで知られています。今回の『忠臣蔵』でも、豪華なキャスト陣の演技と、迫力ある殺陣、そして時代の空気感を丁寧に紡ぎ出すことで、観る人を江戸の世界へと引き込む作品づくりを目指しています。
上川隆也が大石内蔵助に初挑戦
主演の大石内蔵助を務めるのは、舞台・映像で幅広く活躍する上川隆也さん。大石内蔵助という、武士の忠義と人間の葛藤が凝縮された役に初挑戦する上川さん。製作発表では「ついに『忠臣蔵』か」と感慨深げに語り、その重みを強く感じている様子が伝わってきました。
上川さんが演じる大石内蔵助は、主君の仇を討つため、敵の目を欺くために敢えて遊興にふけるなど、冷静かつ大胆な戦略を描き出します。その裏にある、家族や家臣たちへの思い、そして自らの覚悟。堤幸彦演出のもと、上川隆也がどのような内蔵助像を創り出すのか、大きな注目が集まっています。
藤原紀香が大石りくに 武士の妻の覚悟を体現
大石内蔵助の妻・大石りくを演じるのは、藤原紀香さん。堤幸彦作品に2度目の出演となる藤原さんは、「堤先生の作品は最新のデジタル技術と皆さんの殺陣にプラスし、ヒューマンパワーが必要不可欠です」と語り、気を引き締めて臨む決意を明かしました。
大石りくは、武士の妻としての覚悟と、家族を支える強さを兼ね備えた人物。夫の決断を受け止め、家族を守り抜く姿は、現代の観客にも深く響くものとなるでしょう。藤原紀香が、どのようなりく像を舞台で見せてくれるのか、楽しみなポイントのひとつです。
高橋克典「これは吉良の物語でもある」
一方、吉良上野介を演じるのは、高橋克典さん。『忠臣蔵』といえば、赤穂浪士たちの物語として語られることが多いですが、高橋さんは「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」と語っています。
吉良上野介は、物語のなかでしばしば“悪役”として描かれがちですが、高橋さんはその人物の内面に光を当て、彼が抱える立場や葛藤、そして運命を丁寧に演じようとしています。稽古場の最終日には、その胸中をつづり、役への深い思い入れを綴ったと伝えられています。
堤幸彦演出のもと、高橋克典がどのような吉良像を創り出すのか。敵とされる人物の視点から、忠臣蔵の物語に新たな深みを与える存在として、注目が集まっています。
豪華な若手キャストも続々 新たな忠臣蔵像を創る
この舞台『忠臣蔵』には、上川隆也、藤原紀香、高橋克典といったベテランに加え、多くの若手実力派俳優も名を連ねています。
- 堀部安兵衛:藤岡真威人
- 不破数右衛門:崎山つばさ
- 片岡源五右衛門:岐洲 匠
- 大高源吾:石川凌雅
- 清水一学:近藤頌利
- 大石主税:藤林泰也
- 矢頭右衛門七:唐木俊輔
- 寺坂吉右衛門:財木琢磨
- 原惣右衛門:松田賢二
- 色部又四郎:徳重 聡
- 阿久里(瑤泉院)・おかる:珠城りょう
- 高田郡兵衛:俊藤光利
- 神崎与五郎:日向野祥
- 赤埴源蔵:真島光平
- 岡野金右衛門:和田有徳
- 大野九郎兵衛・宝井其角:横山一敏
こうした若手たちが、それぞれの浪士たちの個性や信念を力強く表現し、討ち入りの瞬間へと物語を駆け上がります。堤幸彦演出のもと、世代を超えたキャストたちが一体となって創り出す、新たな『忠臣蔵』の世界に期待が高まります。
明治座で12月12日開幕 アフタートークも実施
舞台『忠臣蔵』は、2025年12月12日(金)から12月28日(日)まで、東京・明治座で上演されます。公演期間中には、アフタートークも複数回予定されており、観客がキャストたちと直接触れ合える機会も設けられています。
たとえば、12月14日(日)16時公演後には、上川隆也、崎山つばさ、岐洲 匠、松田賢二、珠城りょうが参加するアフタートークが開催。また、12月23日(火)16時公演後には高橋克典、立石俊樹、藤岡真威人、近藤頌利、徳重 聡が、12月25日(木)16時公演後には藤原紀香、石川凌雅、藤林泰也、唐木俊輔、財木琢磨がそれぞれ登壇する予定です。
こうしたイベントを通じて、舞台の裏側や役作りの思いを知ることができ、より深く作品を楽しめる仕組みになっています。
つかこうへいへのオマージュ「つか版・忠臣蔵」も東京公演
一方、劇団扉座による『つか版・忠臣蔵』の東京公演も、この時期にスタートしています。つかこうへいの代表作のひとつとして知られるこの作品は、従来の忠臣蔵物語とは一線を画す、独特の視点と演出で知られています。
劇団扉座の『つか版・忠臣蔵』は、つかこうへいへのオマージュとして、その精神を受け継ぎながらも、現代の舞台で再解釈された作品として注目されています。舞台写真なども公開され、その迫力ある演出や、俳優たちの演技が話題となっています。
『忠臣蔵』という物語が、堤幸彦版、つかこうへい版と、異なる演出家・劇団によって多様な形で舞台化されていることからも、この物語がいかに日本演劇の中心的存在であるかがわかります。
令和の時代に問う「忠臣蔵」の意味
堤幸彦演出の舞台『忠臣蔵』は、単なる古典のリメイクではなく、現代の観客に「忠義とは何か」「正義とは何か」「個人の覚悟と集団の行動」について問いかける作品です。
なぜ刃傷沙汰が起きたのか、なぜ仇討ちが実現できたのか――その謎を解き明かす過程で、大石内蔵助の戦略や、吉良上野介という人物の複雑さ、そして赤穂浪士たち一人ひとりの思いが浮かび上がります。
堤幸彦さんは「ついに『忠臣蔵』か」と語り、その重みを感じながらも、新たな視点でこの物語を蘇らせようとしています。上川隆也、藤原紀香、高橋克典ら豪華キャストとともに、令和の時代にふさわしい“決定版”の忠臣蔵像が、明治座の舞台で生まれようとしています。
舞台『忠臣蔵』は、2025年12月12日(金)から東京・明治座で上演。その後、2026年1月から名古屋・御園座、高知、富山、大阪・梅田芸術劇場、新潟・長岡市立劇場など全国で上演される予定です。日本演劇の“1丁目1番地”ともいえるこの物語が、今、新たな形で動き出しています。




