津市最大の秋祭り「津まつり」が盛大に開幕
三重県津市で約390年の歴史を誇る「津まつり」が2025年10月10日から12日までの3日間にわたって開催されています。10日の前夜祭を皮切りに、11日には本格的に祭りがスタートし、伝統的な郷土芸能と現代的なよさこい演舞が融合した、全国的にも珍しい形式の大祭として多くの来場者で賑わっています。
津まつりの歴史と伝統
津まつりの起源は寛永9年(1632年)に遡ります。津藩二代目藩主・藤堂高次が津八幡宮を現在の地に遷し、藩祖である藤堂高虎の霊を祀ったことが始まりでした。その3年後の寛永12年(1635年)には、高次が藩費を貸し出して祭りを奨励・保護したことで、より盛大な祭りへと発展していきました。
390年という長い歴史の中で、津まつりは時代とともに進化を続けてきました。特に平成10年(1998年)からは「安濃津よさこい」が加わり、伝統芸能と現代的な演舞が共存する独自のスタイルを確立。現在では三重県内でも最大規模の祭りとして、市民総出で盛り上がる一大イベントとなっています。
2025年の開催概要
今年の津まつりは、お城西公園、津リージョンプラザ、フェニックス通り周辺、津新町通りなど、市内13か所に点在する会場で開催されています。各会場では、それぞれの団体が趣向を凝らした催しを展開し、幅広い年齢層の来場者が楽しめる内容となっています。
3日間のスケジュール
10日(金)前夜祭では、お城西公園会場を中心に祭りの幕開けを告げるイベントが行われました。
11日(土)には、9時30分から21時まで、フェニックス会場、裁判所前会場、観音公園会場など複数の会場で、郷土芸能の披露やよさこい演舞が繰り広げられています。子どもたちもびっくりするような迫力ある踊りが各所で披露され、観客を魅了しました。
12日(日)は、9時から21時30分まで開催され、クライマックスとなる大パレードや市民総踊り、そして夜にはお城公園で美杉手筒花火が打ち上げられる予定です。
注目の見どころ
伝統芸能の競演
津八幡宮御祭礼では、津商工会議所青年部による元気玉太鼓をはじめ、江戸時代から伝わる「しゃご馬」や「唐人踊り」、津市指定無形民俗文化財である「八幡獅子舞」などが披露されます。これらの伝統芸能は、寛永期から続く歴史ある演舞であり、津まつりの核となる見どころです。
安濃津よさこい
1998年に始まった安濃津よさこいは、今年も全国から約50チームが参加する予定です。鳴子を使い、地元民謡のフレーズを取り入れるというルールが特徴的で、各チームが独自の振り付けと衣装で競い合います。最終日に行われるファイナル演舞は特に見応えがあり、多くの観客が注目する一大イベントとなっています。
大パレードと市民総踊り
12日に開催される大パレードでは、郷土芸能やマーチングバンド、和船山車「安濃津丸」などが市街地を練り歩きます。市民総踊りは飛び入り参加も可能で、観客も一体となって祭りを盛り上げることができます。この参加型の要素が、津まつりを単なる観覧イベントではなく、市民全員が主役となれる祭りにしています。
タレント森香澄さんが一日船長に就任
今年の津まつりでは、タレントの森香澄さんが和船山車「安濃津丸」の一日船長を務めることが発表され、大きな話題となっています。森さんは12日の大パレードにおいて、13時55分から裁判所前会場を中心に運行される安濃津丸に乗船する予定です。
安濃津丸は津まつりの象徴的な存在であり、大パレード終了後には津中央郵便局前会場に郷土芸能の山車とともに集結し、芸能絵巻やトークショーなどが行われます。森さんの登場により、さらに多くの来場者が祭りを楽しむことが期待されています。
祭りを支える地域の取り組み
津まつりの成功には、地域住民や団体の献身的な支えがあります。祭り開催を前に、「豆電球クラブ三重」のメンバーが津新町通りを清掃するなど、地域を挙げて祭りを盛り上げる準備が進められました。こうした地道な活動が、390年という長い歴史を持つ祭りを支え続けているのです。
会場と交通規制
津まつりでは市内13か所に会場が設けられており、それぞれ特色あるイベントが開催されています。
主な会場
お城西公園会場では、前夜祭に加えて12日にはよさこいファイナルと健康まつりが開催されます。お城公園会場は12日のみの開催で、フリーマーケットや夜の美杉手筒花火が楽しめます。
フェニックス会場は西・中央・東の3つのエリアに分かれており、JCステージでの日本代表3祭り、市民総踊り、郷土芸能の集い、キッズダンス、三味線ライブ、各種ブースなど、多彩なプログラムが展開されています。
津新町通り会場と津駅前会場では12日によさこい演舞が行われ、観音公園会場ではお仕事体験や音楽ステージ、キッチンカーが出店しています。
交通規制について
祭り期間中は会場周辺で交通規制が実施されます。来場者は公共交通機関の利用が推奨されており、自家用車で訪れる場合は事前に駐車場や交通規制の情報を確認することが重要です。
多様な催しと参加型イベント
津まつりの魅力は、観るだけでなく参加できるイベントが豊富に用意されていることです。高虎時代絵巻では藤堂高虎公や奥方役の参加者を公募するなど、市民が歴史絵巻の一部となることができます。
また、各会場のブース出展では地域の特産品や飲食物が販売され、来場者は津市の魅力を存分に味わうことができます。バリアフリーステージが設けられたメッセウイングNHW会場では、すべての人が楽しめるよう配慮がなされています。
子どもから大人まで楽しめる祭り
津まつりでは、キッズダンスや幼保みこし、お仕事体験など、子ども向けのプログラムも充実しています。11日には迫力ある踊りに子どもたちも目を輝かせる姿が見られ、伝統文化に触れる貴重な機会となりました。
一方で、和太鼓ジュニアコンクール三重県予選が神楽洞夢前会場で開催されるなど、若い世代が伝統芸能を継承していく場としても機能しています。
フィナーレを飾る美杉手筒花火
津まつりの最後を飾るのが、12日夜にお城公園で打ち上げられる美杉手筒花火です。手筒花火は職人が手に持って火花を噴き上げる伝統的な花火で、その迫力と美しさは観客を魅了します。3日間の祭りを締めくくるにふさわしい、感動的なフィナーレとなるでしょう。
新旧が融合する独自の魅力
津まつりの最大の特徴は、390年の伝統を守りながらも、現代的な要素を積極的に取り入れている点です。江戸時代から続く郷土芸能と、平成に始まったよさこい演舞が同時に楽しめるという、全国的にも珍しいスタイルが確立されています。
この新旧の融合こそが、津まつりが世代を超えて愛され続ける理由であり、三重県内最大規模の祭りとして発展し続ける原動力となっているのです。
まとめ
2025年の津まつりは、前夜祭から3日間にわたって開催され、伝統芸能の継承と現代的なエンターテインメントの融合により、多くの来場者を魅了しています。タレント森香澄さんの一日船長就任や、地域住民による清掃活動など、祭りを盛り上げる様々な取り組みが行われています。
12日の大パレード、市民総踊り、そして美杉手筒花火のフィナーレへと向けて、津市全体が祭りの熱気に包まれています。390年という歴史の重みを感じながらも、常に進化を続ける津まつりは、これからも津市の誇りとして、多くの人々に愛され続けていくことでしょう。