東急東横線の発車サイン音が11月に刷新――よりわかりやすく、向谷実氏が新メロディ担当
11月1日から東横線の発車サイン音が順次変更へ
東急電鉄は、2025年11月1日(土)から東横線で使用する複数の車両の発車サイン音を順次変更することを発表しました。今回の変更対象は、主に5050系と5050系4000番台とされており、これまでホームから流されていた方式から、車両側面のスピーカーから流す形式へと変更された流れを受け、より乗客の利便性と認識性を向上させるための取り組みとなります。
なぜ発車サイン音を変えるのか
そもそも発車サイン音は、列車の発車が近付き、ドアが閉まることを乗客に知らせ安心して利用できるよう設置されています。2023年3月6日以降、東横線ではこれをホームから車両の側面スピーカーに切り替えていました。今回、そのサイン音をさらに刷新する理由は、特に田園調布~日吉間で並走する東横線と目黒線の区別や、島式ホームでの上り・下り列車の発車をよりわかりやすくすることを目的としています。
- 並走区間(田園調布~日吉間)でどちらの路線列車が発車するのか、従来は音だけでは区別しづらいという課題があったため、サイン音自体を変えることで混乱や誤乗車を未然に防ぐ意図があります。
- また、上下線いずれが発車するのか明瞭にし、複数の路線・列車が集まるターミナル駅のホームでの利便性向上も考慮されています。
「向谷メロディ」採用――新たなサイン音の特徴
今回の発車サイン音は、日本の音楽業界や鉄道ファンの間で広く知られる向谷実さんがこのためだけに新たに書き下ろしたメロディです。
- 向谷実氏はフュージョンバンド「カシオペア」の元キーボード奏者としても有名で、これまでに多くの鉄道事業者向けに発車メロディを手掛けてきた音楽家です。
- 今回のサイン音も、「耳に優しく」「瞬時に記憶・判別しやすい」という点にこだわって制作されました。
- 実際の新サイン音は、東急電鉄の公式YouTubeチャンネルで視聴できるようになっています。
向谷氏の経歴についても、鉄道ファンでありながら音楽家・事業家として幅広く活躍されており、最近では令和4年度交通文化賞も受賞しています。鉄道と音楽の融合を象徴する存在です。
導入対象路線や車両
- 東横線(渋谷~横浜)
- 東急新横浜線(日吉~新横浜)
- みなとみらい線(横浜駅~元町・中華街駅)も、同じく11月1日から順次同様の発車サイン音に切り替えられます。
- 東横線を走行する他社所属の車両(東武、西武、東京メトロなど)についても、今後順次新サイン音が導入予定です。
新しい発車サイン音導入までの流れ
- 11月1日から対象車両・区間で順次導入
- 導入時は運行現場にも幅広く案内され、乗務員や駅係員も音の違いで即座に対応できるよう研修なども行われます。
- 導入初期は従来サイン音との混在も予想されますが、速やかに新音へ一本化。
- 利用客に混乱がないよう、駅や公式ウェブサイト、および各種広報媒体でアナウンスされます。
利用者にとってのメリット
新しい発車サイン音への変更は、単なる気分転換や演出のためだけではありません。「何の列車が今から動くのか」「上下どちらの列車なのか」が音で分かれば、観光客や通勤・通学客、視覚障がい者にとっても列車移動がより安心・安全になるからです。
- 明確なサイン音は、駅の混雑時や騒がしい状況でも瞬時に列車の動きを把握しやすくなるため、安全性・利便性の向上に直結します。
- 多くの他社車両が相互直通運転することも多い東横線の特性にフィットした取り組みです。
- 鉄道ファンからは「向谷メロディ」で耳も楽しめる、鉄道利用以外の新しい楽しみも生まれそうです。
みなとみらい線、新横浜線にも拡大
今回の発車サイン音は、東横線だけでなくみなとみらい線や新横浜線でも活用が始まるため、相互直通運転区間全体で共通のサウンドとなります。これにより、複数区間を乗り換えながら移動する場合も発車の合図が統一され、迷いなく快適な移動が可能になるでしょう。
- みなとみらい線(横浜駅~元町・中華街駅)も同じメロディで順次対応。
- 東急新横浜線(日吉~新横浜)も同様に当日から導入予定です。
おわりに――鉄道に新たな彩りを添える「音」の変化
今や鉄道の「音」は、快適な移動だけでなく、地域の文化・記憶にも深く新たな価値をもたらしています。今回の東急東横線サイン音変更は、その象徴的な出来事と言えるでしょう。使いやすさ・見分けやすさ・安全性という実用的なメリットのほか、音楽的な楽しみや地域への愛着もきっと広がっていくはずです。
新しい発車サイン音が日常の駅に響くその日を心待ちにしながら――東横線沿線で暮らす人々、乗り換え利用者、鉄道ファンそれぞれがこれからの通勤・通学時間にどんな変化を感じるのか、とても楽しみですね。



