東京タワーがシルバーに輝く夜──世界メンタルヘルスデー2025の取り組み
2025年10月10日、東京タワーが特別なシルバーの光に包まれました。これは「世界メンタルヘルスデー」に合わせて実施されたライトアップイベントで、全国各地のランドマークでも同様の啓発活動が行われました。今回は特に、東京タワーを中心とした世界メンタルヘルスデー2025の活動を、応援サポーターのリラックマや関係NPOの取り組みとともに詳しくご紹介します。
世界メンタルヘルスデーとは
世界メンタルヘルスデー(World Mental Health Day)は、精神的な健康や心の病気に対する理解を深め、偏見や差別をなくすことを目的として、毎年10月10日に制定されました。日本でも年々関心が高まり、2020年以降は東京タワーのシルバーライトアップが恒例となっています。シルバーリボン運動のシンボルカラー「シルバー」と、メンタルヘルスのイメージカラー「グリーン」を基調としたライトアップで、多くの人にメンタルヘルスの大切さを伝えるきっかけとなっています。
なぜ東京タワーがシルバーに?──“シルバーリボン運動”の意味
精神疾患やメンタルヘルス不調への偏見や差別をなくす活動として誕生したのが、「シルバーリボン運動」です。この運動の創始者ジーン・リーシティー氏自身が、精神疾患を持つ家族の偏見と闘う中で、曇天から差し込むシルバーの光を希望と感じた経験がシンボルとなりました。この考えに賛同する形で、東京タワーがシルバーにライトアップされるようになったのです。
今年の東京タワーでのイベント内容
- 10月10日夕方、点灯式が開催され、秋山剛先生(世界精神保健連盟理事長)をはじめとする関係各所の代表者が出席。
- 点灯式はYouTubeなどでライブ配信され、全国各地からオンラインで参加できました。
- 東京タワー館内では10月10日から13日まで普及啓発イベントが実施され、日本精神科看護協会や日本精神保健福祉士協会など多くの関係団体が出展ブースを設け、無料で参加できました。
- 高校生によるワークショップ企画や、各種セミナーも行われ、幅広い世代が交流できる場となりました。
ライトアップの広がり──全国のランドマークが連携
今年は東京タワーだけでなく、全国30か所以上のシンボル的建造物やランドマークが同時に、シルバー&グリーンのライトアップを実施しました。代表的なスポットとして、さっぽろテレビ塔(北海道)、仙台スカイキャンドル(宮城)、臨江閣(群馬)などが挙げられます。
みんなで参加!ラン&ウォーク──心と体の健康を考える
2025年の新たな特徴として、「シルバーリボン ラン&ウォーク2025 ~みんなで進もう。Well Being~」が開催されました。これは全国どこからでも参加できるオンラインスポーツイベントで、自分のペースでランニングやウォーキングをしながら、心と体の健康について考えるきっかけとするものです。期間は10月いっぱいで、誰でも無料で参加できる手軽さが多くの注目を集めました。
リラックマが応援サポーターとして活躍
2025年も大人気キャラクターリラックマが2年連続で応援サポーターを務め、今年は「コリラックマ」も加わりました。東京タワー館内ではリラックマとのフォトブースや、ぬいぐるみ展示コーナーも登場。親子連れからカップルまで幅広い世代が笑顔であふれる空間となりました。
自治体やNPOも連携した啓発活動──身近な地域で
横浜市泉区や香川県高松市でも、地域のNPOや行政が連携し、「正しい知識と理解」を広める啓発イベントを実施しました。市民向けの講演やパネル展示、相談コーナーなどが設置され、精神疾患への誤解や偏見をなくす活動が地域に根付いています。
なぜ「今」メンタルヘルスが注目されるのか
近年はコロナ禍をはじめとする社会環境の変化や働き方・生活様式の多様化により、心の健康に対する関心が急速に高まっています。職場・学校・家庭など、あらゆる場面でストレスや心理的負担が増大し、自分自身や家族・友人のメンタルヘルスを見つめなおすきっかけが求められています。
また、SNS時代の今、「つながっているはずなのに孤独を感じる」という声も多く、「心のバリアフリー」を実現する社会づくりが大きなテーマとなっています。
メンタルヘルスデーの意義と今後への展望
世界メンタルヘルスデーが掲げる最大のメッセージは、「すべての人に心の健康を」。それは、当事者だけでなく、家族や友人・地域・職場、そして社会全体が協力し支え合うことの大切さを訴えかけています。東京タワーのシルバーライトアップは、その象徴的な存在として今後も多くの方に「気づき」と「つながり」の機会を提供していくでしょう。
- メンタルヘルスの知識を正しく知ることで、偏見や誤解をなくせる
- 自分自身が困ったとき、誰かに頼る「勇気」を持つことができる
- 地域や社会の多様性を認め合うきっかけとなる
- 啓発イベントを通じて自分の心と向き合うきっかけが生まれる
今回の東京タワーのシルバーライトアップと普及啓発イベントをきっかけに、誰もが気軽に語り合える、こころにやさしい社会を一緒につくっていきませんか。