東京国立博物館が“味わえる”!?メズム東京との初コラボと、新年恒例「博物館に初もうで」を楽しむ冬のおでかけガイド
東京・上野にある東京国立博物館(以下、東博)は、日本最古の博物館として、国宝・重要文化財をはじめとする膨大なコレクションを誇る、日本文化の殿堂です。そんな東博が今、ホテルとの初コラボスイーツと新年恒例イベントで、いつにも増して注目を集めています。
ひとつは、竹芝のラグジュアリーホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション」で提供されている、東博とのコラボレーション・アフタヌーンティー。もうひとつは、干支・午(うま)年の新年に合わせて東博で開催される、新春恒例イベント「博物館に初もうで」です。
この記事では、この冬話題の「食べて楽しむ東博」と「見て学ぶ東博の新春企画」を、わかりやすく丁寧にご紹介します。日本文化にふれたい方はもちろん、久しぶりに博物館へ足を運んでみたい方の参考になれば幸いです。
「メズム東京」×「東京国立博物館」初コラボアフタヌーンティーとは
東京都港区・竹芝に位置するモダンラグジュアリーホテル「メズム東京、オートグラフ コレクション」では、16階のバー&ラウンジ「Whisk(ウィスク)」で、アートをテーマにした独自のアフタヌーンティーシリーズ「アフタヌーン・エキシビション」を展開してきました。
このシリーズでは、これまでレオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」や、ポーラ美術館、すみだ北斎美術館とのコラボレーションなど、“アートを五感で味わう”ユニークな企画が行われてきました。その第15弾として登場したのが、東博との初のコラボレーション企画「アフタヌーン・エキシビション チャプター15『東博~テイスト of アーカイブ~』」です。
このプログラムは、「日本文化を味わう」ことをテーマに、東博が所蔵する名品のエッセンスを小さなスイーツに凝縮し、まるで展示室を巡るように一皿ずつ楽しめる構成になっています。
コンセプトは「博物館をまるごと一皿に」
メズム東京が掲げるコンセプトは「Tokyo Waves」。五感を刺激する体験を通じて、東京の今を味わってもらうことを大切にしてきました。その一環として誕生したアフタヌーン・エキシビションは、一般的な三段スタンドのアフタヌーンティーとは異なり、一品ずつコースのように提供される“食べる展覧会”です。
今回の東博コラボでは、「エントランスから展示室へ」という来館体験全体がひとつの物語として描かれています。
- 前菜(スイーツ&モクテル)で東博本館のエントランスを表現
- メインでは、東博が誇る名品8点をモチーフにした8種のスイーツ&モクテルが登場
まるでギャラリーを巡るように、一皿一皿に込められたストーリーを想像しながら味わう時間は、アフタヌーンティーでありながら、まさに小さな美術鑑賞。静かなバー&ラウンジで、作品世界に没入できるのも魅力です。
前菜は「東博のエントランス」をイメージした一皿
体験はまず、「旅の玄関口」をテーマにした前菜から始まります。ここで供されるのは、「レモングラス香るバニラパンナコッタ」。東博の「顔」である本館正面の情景と、シンボルツリーのユリノキがそびえ立つ風景が表現されている一皿です。
ガラス越しに本館へと続く空間を眺めるようなイメージで、口に運ぶごとに、これから始まる“博物館の旅”に心が高まっていきます。ここで提供されるモクテルも、エントランスで胸いっぱいに吸い込む空気のような、清々しい香りが特徴です。
東博の名品8点をモチーフにした「食べる展示室」
続いて登場するのが、約3.5cm角のキューブ状スイーツとホットモクテルのセット。これらは、東博が所蔵する国宝・重要文化財などの名品8点から着想を得て作られています。
モチーフとなっているのは、例えば次のような作品たちです。
- 重要文化財「埴輪 盛装女子」 ― 古墳時代の優雅な女性像
- 重要文化財「開基勝宝」 ― 仏教美術に通じる精神性を表す作品
- 名物「三日月宗近」 ― 刀剣ファンにもおなじみの名刀
- 国宝「孔雀明王像」 ― 極彩色の荘厳な仏画
- 国宝「秋冬山水図」 ― 静けさと余白が美しい水墨画
- 国宝「檜図屏風」 ― 力強い檜の姿が印象的な屏風絵
- 重要文化財「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」 ― 浮世絵の名作として知られる役者絵
- 国宝「八橋蒔絵螺鈿硯箱」 ― 雅な蒔絵装飾が輝く硯箱
それぞれの名品が、色や形、質感、味わいといった要素に変換され、ミニマルなスイーツとして再構成されています。例えば、蒔絵や螺鈿のきらめきを感じさせる繊細な装飾や、山水画の余白をチョコレートの配置で表現するなど、視覚的にも楽しく、思わず写真を撮りたくなるような仕上がりです。
一品ずつ味わいながら、「これはどの作品がモチーフなのかな?」と想像するのも、このアフタヌーンティーならではの楽しみ方。実際に東博で本物を鑑賞したことがある方は、作品のイメージを思い出しながら、より深く味わえるでしょう。
ひとりでも楽しめる「静かなアート体験」
アフタヌーン・エキシビションの特徴のひとつは、ひとりで訪れるゲストが多いことだといいます。誰かと一緒に感想を語り合いながら楽しむのもよし、ひとりでゆっくり作品と向き合うようにスイーツを味わうのもよし。自分のペースでのんびり過ごせるのが大きな魅力です。
東博ファンはもちろん、「美術館には少しハードルを感じてしまう」という方にもおすすめ。ホテルラウンジというリラックスした空間で、日本美術の世界への入口に立てる、やさしいアート体験になっています。
提供期間・場所・予約方法
アフタヌーン・エキシビション チャプター15 『東博~テイスト of アーカイブ~』の概要は以下の通りです。
- 場所:メズム東京 16階 バー&ラウンジ「Whisk(ウィスク)」
- 期間:2025年12月1日(月)〜2026年3月31日(火) ※一部除外日あり(2026年1月1日、1月12日など)
- 時間:平日 14:00/14:30/15:00/18:00、土日祝 14:00/14:30/15:00
- 料金:1名 7,000円(消費税・サービス料15%込み)
- 予約:利用1日前21:00までに要予約
人気の時間帯は予約が埋まりやすいため、予定が決まり次第、早めの予約がおすすめです。アフタヌーンティーとしてはもちろん、夕方の時間帯を選べば、夜景とともに“ナイトミュージアム”気分も味わえます。
東博で迎える新年「博物館に初もうで」ってどんなイベント?
一方、上野の東京国立博物館では、新年の恒例行事として「博物館に初もうで」を元日から開催します。干支が午(うま)年となる今回の新年は、人間と馬の深い絆に焦点を当てた展示や企画が予定されています。
「博物館に初もうで」は、その名の通り、初詣のような気持ちで博物館を訪れ、新年の文化体験を楽しんでもらおうという趣旨のイベントです。正月らしい華やかな雰囲気の中で、日本美術・考古・歴史資料などの名品を鑑賞できる、東博ならではの新春行事として親しまれてきました。
午年ならではの「馬」をテーマにした展示
午年の新年に合わせた今回の「博物館に初もうで」では、馬をテーマにした作品や資料に注目が集まります。日本の歴史や文化において、馬は単なる移動手段や軍事の存在にとどまらず、神事・祭礼・芸能・信仰など、さまざまな場面で重要な役割を果たしてきました。
例えば、
- 武将と愛馬の関係を描いた絵画・甲冑・馬具
- 神社に奉納された絵馬や、馬を象った縁起物
- 農耕や運搬を支えた馬の姿を表す民具や写真
といった資料を通じて、人と馬の共生の歴史を感じることができるでしょう。馬を神の使いとして敬う信仰、豊作祈願としての馬のイメージなど、日本人が古くから抱いてきた畏敬と感謝の心も見えてきます。
こうした展示を通じて、単に「干支の動物」としての馬ではなく、長い時代を通じて人間と寄り添ってきたパートナーとしての馬に思いをはせることができます。午年のスタートにふさわしい、あたたかいテーマと言えるでしょう。
新年を祝う特別展示や新春企画も盛りだくさん
「博物館に初もうで」期間中は、干支に関連する展示だけでなく、新年を寿ぐ特別展示や新春企画が多数用意されます。
- 新春にふさわしい名品の特別公開 ― 松竹梅や鶴亀、宝尽くしなど、おめでたいモチーフを描いた絵画・工芸品
- 正月ならではのしつらえ ― エントランスやロビーには門松や生け花などの装飾
- 子ども向け・ファミリー向けの企画 ― ワークショップやガイドツアーなど(実施内容は年度により異なります)
特別展示では、通常はあまり見ることのできない作品が登場することもあり、東博ファンにとっても見逃せない機会です。また、正月期間は着物姿で訪れる来館者の姿も多く、館内全体がどこか華やいだ雰囲気に包まれます。
元日から開館、新年の「文化的初詣」に
「博物館に初もうで」は元日からスタートするのが大きな特徴です。多くの神社仏閣への初詣に加え、新年の恒例行事として博物館を訪れるという楽しみ方も定着しつつあります。
特に東博は、広々とした上野公園内に位置し、周辺には動物園や美術館も集まる文化ゾーン。午前中に神社で参拝し、午後は東博でゆったりと美術鑑賞、という一日の過ごし方もおすすめです。
館内は暖かく、天候に左右されずに楽しめるのも魅力です。冷え込みが厳しい時季だからこそ、屋内でじっくり名品を堪能する時間は、心身ともに満たされる特別なひとときになるでしょう。
東博とメズム東京、「見る」と「味わう」で広がる日本文化体験
今回ご紹介したように、東京国立博物館は、館内での展示鑑賞はもちろん、ホテルとのコラボレーションを通じて“日本文化を味わう”新しい試みにも挑戦しています。
上野の東博では、新年を祝う「博物館に初もうで」で、午年にちなむ「馬」と人間との絆や、新春にふさわしい名品の数々に出会えます。一方、竹芝のメズム東京では、「東博~テイスト of アーカイブ~」で、東博の名品をモチーフにした繊細なスイーツを味わいながら、静かな“食のアート鑑賞”を楽しめます。
どちらも、日本文化をやさしく、そして深く感じられる場であることに変わりはありません。午年の新年に向けて、東博とメズム東京を組み合わせた“文化のはしご”プランを立ててみるのも素敵です。
例えば、
- 午前:東博で「博物館に初もうで」を楽しみ、馬にまつわる展示や新春特別展示を鑑賞
- 午後:竹芝へ移動し、メズム東京「Whisk」で、東博コラボ・アフタヌーンティーをゆったり堪能
という一日を過ごせば、「見る」「知る」「味わう」のすべてを通して日本文化の奥行きを感じられるでしょう。
今年の冬は、少しだけ足を伸ばして、東博とメズム東京で心に残る文化体験を楽しんでみませんか。




