天王寺動物園で戦時中の動物園をテーマにした企画展が開催中
大阪市天王寺区にある天王寺動物園では、2025年8月6日から8月31日までの期間、「戦時中の動物園 ~語りつぐ、いのちの記憶~」という企画展が開催されています。この展示では、第二次世界大戦中に天王寺動物園で実際に起きた出来事を中心に、戦争が動物たちの命や日常生活に与えた影響を伝えています。
戦時中の動物園で起きた出来事とは
戦時中、多くの動物園で飼育されていた動物たちが軍事的な理由や物資の不足から殺処分されるという悲しい歴史がありました。天王寺動物園でも例外ではなく、多くの動物が殺処分され、その後、剝製として保存された動物たちの姿が今に残っています。企画展では、これらの剝製を通じて当時の厳しい状況や動物たちの生涯を物語っています。
企画展の意義と狙い
この企画展は今年で20回目の開催となり、戦後80年を経た今、戦争体験を直接語ることができる世代が少なくなったことを踏まえ、戦争を「遠い出来事」とせず、現代の私たちが身近に感じ考えるきっかけを作ることを目指しています。担当者は、世界各地で続く紛争や戦争の報道が届く一方で、それを自身のこととして受け止めるのは難しいと指摘し、戦争が人間だけでなく動物の命や日常にも大きな影響をもたらすことを伝える展示の重要性を語っています。
子どもたちへの特別な配慮
大阪市内の小・中学生は入場料が無料であり、夏休み期間中に企画展を通して戦争の悲惨さと動物への思いやりを学べる貴重な機会となっています。これにより、次世代への平和教育や命の尊さを伝える役割も期待されています。
展示内容の特徴
- 戦時中に殺処分された動物たちの剝製
- 当時の写真や資料
- 動物園スタッフの証言や記録映像
- 戦争が動物と人々の生活に与えた影響をわかりやすく解説
また、8月9日から11日と15日から17日の「ナイトZOO」開催時は開園時間を延長し、より多くの来園者がゆっくりと企画展を訪れることができるよう配慮されています。
関連イベントも充実
さらに、アニメ作品「どうぶつたちのねがい 戦争中の天王寺動物園」の完成披露上映会も予定されており、映像を通じて子どもから大人まで幅広い層が戦時下の動物園の様子に触れられる機会を設けています。このアニメは実際に戦争で犠牲となった動物たちの物語を感動的に描いており、展示と連動した学びの場となっています。
来園者の声とスタッフの思い
企画展を訪れた人々からは、「戦争の恐ろしさと動物たちの命の大切さを改めて考えさせられた」という感想が多く寄せられています。天王寺動物園のスタッフも、「戦争の記憶が風化しないよう、そして命の尊さを次の世代に伝えるために、この企画展を通じて多くの方に知ってもらいたい」と話しています。
まとめ
天王寺動物園で開催中の「戦時中の動物園 ~語りつぐ、いのちの記憶~」は、戦争が動物や人間の生活に及ぼした深い影響を剝製や資料を通して伝える貴重な企画展です。市内の子どもたちには無料開放されており、戦争を身近に感じ、命の尊さを考える良い機会となっています。8月末までの開催で、ナイトZOOとの連動やアニメ上映会も実施され、多彩な形で歴史を語り継いでいます。ぜひこの夏、天王寺動物園で戦争の記憶と命の重みを感じてみてはいかがでしょうか。