愛知県ではしか感染が判明、紅葉の名所「香嵐渓」を訪問した10代男性

愛知県岡崎市に住む10代の会社員の男性がはしか(麻しん)に感染していたことが、2025年11月27日に判明しました。自治体が感染経路の調査を進めるとともに、感染者が滞在していた地域を訪れた人に対して注意を呼びかけています。

患者の症状と経過

岡崎市によると、この男性は11月23日の夜に頭痛や咳の症状が出現し、翌24日に発熱したため、25日に岡崎市民病院を受診しました。その後、検査の結果、はしかへの感染が確認されました。

特筆すべき点として、この男性はすでにはしかの予防接種を受けていたことが明かされています。また、直近の海外渡航歴がないということから、国内での感染と考えられます。

香嵐渓での滞在が明らかに

豊田市の発表により、この男性が感染判明前の11月23日午後3時から午後6時前の約3時間、豊田市足助町にある紅葉の名所「香嵐渓(こうらんけい)」を訪れていたことが判明しました。香嵐渓は秋の紅葉シーズンに多くの観光客が訪れる人気スポットです。

この時期、香嵐渓には多くの来園者が想定されるため、豊田市は同じ時間帯に香嵐渓を訪れた人に対して注意を呼びかけています

自治体からの注意喚起

豊田市は、香嵐渓を訪問した人に向けて以下のような注意喚起を行っています:

  • 発熱や咳などの症状が出た場合は、速やかに医療機関に受診すること
  • 症状の有無にかかわらず、健康観察を行うこと
  • 感染者との接触から最大21日間は健康に注意すること

ただし、豊田市は現時点で香嵐渓での感染の心配はないとしており、過度な不安は不要であることを強調しています。

はしかについて知っておくべきこと

はしか(麻しん)は、非常に感染力が強い感染症です。その特徴を以下にまとめました:

感染経路:はしかは空気感染、飛沫感染、接触感染の3つの方法によってヒトからヒトに感染します。特に空気感染の可能性があるため、マスクや手洗いだけでは完全な予防ができません。

感染力の強さ:免疫を持っていない人がはしかに感染した場合、ほぼ100%発症するとされており、極めて高い感染力を持っています。

感染可能期間:発症の1日前から解熱後3日頃までが、他の人に感染させる可能性のある期間です。

潜伏期間:感染から発症までの潜伏期間は約10日から12日間です。そのため、感染者との接触から最大21日間の健康観察が推奨されています。

症状:発熱、発疹、咳などが主な症状として現れます。これらの症状は風邪と似ているため、注意が必要です。

はしかの予防と対応

はしかは特異的な根治療法がなく、対症療法が行われます。最も重要な予防方法はワクチン接種です。

すでに述べた通り、今回感染した男性もワクチン接種を受けていながら感染してしまいました。これは、ワクチンの有効性が時間とともに低下する可能性や、個人差が存在することを示唆しています。

もし感染者と接触した場合、接触後72時間以内であれば緊急ワクチン接種により発病を予防できる可能性があります。香嵐渓を訪れた人で症状が出た場合や心配な場合は、医療機関に相談することが重要です。

愛知県内でのはしか発生状況

愛知県では、2025年の年間を通じてはしかの感染報告が複数件寄せられています。今回の岡崎市の男性の感染は、愛知県内での複数の発生事例の一つであり、はしかが県内で一定程度流行している可能性を示唆しています。

これまでの報告事例を見ると、海外渡航歴がある患者から国内への持ち込みが起こる一方、今回のように直近の海外渡航歴がない患者の感染も確認されており、国内での人から人への感染も続いている状況が明らかになっています。

一般市民への呼びかけ

香嵐渓を訪れていない人も含め、一般市民は以下の点に注意することが推奨されています:

  • 原因不明の発熱や発疹が出た場合は、すぐに医療機関を受診すること
  • ワクチン接種歴を確認し、必要に応じて接種を検討すること
  • 感染者と接触した可能性がある場合は、健康観察期間中に症状の有無に注意すること

特に秋冬の季節は、はしか以外にもインフルエンザなど様々な感染症が流行する時期です。感染症全般への予防意識を高めることが重要です。

まとめ

今回、紅葉の名所である香嵐渓を訪れた10代男性のはしか感染が判明したことで、秋の観光シーズンに多くの人が集まる施設での感染リスクが改めて認識されました。

自治体の注意喚起に耳を傾け、症状が出た際には迷わず医療機関に受診することが、自分自身と他者を守るために何より大切です。感染症は個人の注意と行動によってその蔓延を防ぐことが可能な側面があります。今後の感染拡大防止に向けて、市民一人ひとりの協力が求められています。

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