タモリ&山中伸弥が迫る「日本人らしさ」のルーツ――巨大噴火と縄文人、そして私たち

NHKの知的エンターテインメント番組「知的探求フロンティア タモリ・山中伸弥の!?」が、「日本人らしさ」という大きなテーマに挑み、いま大きな話題を呼んでいます。番組では、私たちが当たり前のように感じている「礼儀正しさ」や「勤勉さ」といった日本人の気質が、じつは巨大噴火などの大災害と深く関係しているのではないか――という、意外な視点から解き明かされました。

このシリーズ第4回で取り上げられたのが、南九州にある鬼界カルデラの超巨大噴火です。最新の地質学・海洋探査・遺伝子研究の成果をもとに、「縄文人を襲った未曾有の災害」と「現代日本人の気質」がどのようにつながるのかが、わかりやすく紹介されました。

「日本人らしさ」はどこから来たのか?

今回の放送のメインテーマは、「日本人らしさは、どのようにして生まれたのか?」という問いです。礼儀正しさ、勤勉さ、協調性、我慢強さ――。世界からも注目されるこうした特徴が、いつ、どのような過程で形づくられてきたのかは、一言で説明できるものではありません。

番組では、歴史・地理・文化、そして最新の遺伝子解析まで、多方面の知見を総動員しながら、この難問にアプローチしました。ある専門家は、幾度も巨大災害を経験するなかで、生き残るのに有利な性質を持った人々の遺伝子が受け継がれてきた可能性を指摘します。つまり、「日本人らしさ」は、単なる気質や教育の結果ではなく、過去1万年にわたるサバイバルの歴史と密接に結びついているかもしれないのです。

鬼界カルデラの超巨大噴火がテーマに

番組の次回予告でも話題になっていたのが、土曜19時30分からの放送で扱われた南九州の鬼界カルデラです。鬼界カルデラは、縄文時代の人々を襲ったとされる超巨大噴火の跡であり、「過去1万年で地球最大級の噴火」とも言われています。

NHKの番組では、神戸大学の海洋底探査センターなどによる最新の探査成果が紹介され、海底に眠るカルデラの実態に迫りました。高精細なCG映像とともに、どれほどの規模の噴火だったのか、それが当時の人々と環境にどんな影響を与えたのかが解説され、視聴者からも「ブラタモリ的な地理・地学回」として注目を集めています。

こうした地学的な事実を背景に、番組では、鬼界カルデラ噴火をはじめとする度重なる自然災害が、日本列島に暮らす人々の生活様式や価値観、さらには遺伝子レベルにまで影響を与えたのではないかという視点が提示されました。

「日本人だけが持つ驚きの遺伝子」とは

今回の放送で多くの視聴者を驚かせたのが、「日本人だけが持つ驚きの遺伝子」という表現です。詳細な配列名などは番組内で専門家が解説しましたが、ポイントは、ある遺伝的特徴が、大災害の多いこの列島で生き抜くうえで有利に働いた可能性があるということです。

この視点に立つと、「礼儀正しい」「勤勉」「我慢強い」といった日本人の気質も、単なる国民性というより、厳しい環境を皆で乗り越えるために必要だった協調性や計画性が、長い時間をかけて選び取られてきたとも考えられます。番組では、生理学的な観点から「日本人らしさ」を分析する研究者も登場し、身体の反応やストレスへの耐性など、目に見えにくい部分にも光が当てられました。

タモリが語る「縄文人が“3コ上の先輩”」という感覚

印象的だったのが、収録を終えたタモリさんのコメントです。今回のテーマを通じて縄文人をぐっと身近に感じるようになったと語り、「今では縄文人が“3コ上の先輩”くらいの感覚です」と笑い交じりに話しています。

この言葉には、数千年前を生きた人々が決して「遠い過去の人」ではなく、自分たちと同じ列島に暮らした、少し年上の先輩たちなのだという、親しみのこもった視点がにじみます。日本文化が長い時間をかけて連続してきたこと、そして、その連続性のなかに「日本人らしさ」が育まれてきたことを実感させる一言と言えるでしょう。

タモリさんはまた、日本の絵画・音楽などの独特な文化や、「無常観」といった感性に触れながら、「これがあるから日本に住みたいと思う」とも語っています。こうした感覚もまた、災害と共に生きる中で培われた、この土地ならではの世界の捉え方なのかもしれません。

山中伸弥が驚いた「災害」と「私たちらしさ」の関係

ノーベル賞受賞者であり、iPS細胞研究で知られる山中伸弥さんも、今回のテーマに強い関心を示しました。収録の中で何度も口にしたというのが、「まさかこのテーマで遺伝子の話が出てくるとは!」という驚きです。

「災害」と「私たちらしさ」が、地学・遺伝子・歴史を通じてひとつにつながっていく過程に、山中さんは強いインパクトを覚えたとされています。日本列島という島国の地理環境のもと、逃げ場の少ない中で何度も大災害を乗り越えてきた結果、特定のDNAが生き残ってきたという視点は、まさに生命科学者ならではの見方でもあります。

番組を通じて、山中さんは「日本人がもっている気質や傾向には、それなりの理由がある」「自分のルーツを誇りに感じられる」といったメッセージを視聴者と共有しようとしていました。単なる「国民性の話」にとどまらず、「自分の中のご先祖さま」を意識することで、目に見えない強さや支えを感じてもらいたい――そんな思いがにじみ出ています。

「ブラタモリ的」な楽しさと、最先端科学の融合

今回の放送は、「土曜19時半『タモリ・山中伸弥の!?』、次回は南九州の鬼界カルデラを扱う、ブラタモリ的な地理・地学回」として、事前から注目されていました。実際、地形や地層、海底地形をたどりながら謎を解いていくスタイルは、タモリさんが長年関わってきた「ブラタモリ」にも通じる楽しさがあります。

一方で、「タモリ・山中伸弥の!?」ならではの特徴は、そこに最先端の遺伝子研究や生理学が組み合わさっている点です。地学・考古学・歴史・遺伝子・生理学が一つのテーマのもとに束ねられ、「巨大噴火が“日本人”を生んだ!?」という大胆なサブタイトルへとつながっていきます。

視聴者は、美しい映像やわかりやすい解説を楽しみながらも、「自分たちの気質には、こんな背景があったのかもしれない」と、自分自身のルーツを見つめ直すきっかけを得ることができます。

「ご先祖に誇りを感じる」番組に

番組に出演したタレントの吉岡里帆さんらも、収録を通じて「自分たちのご先祖に誇りを感じるようになった」とコメントしています。巨大災害に何度も立ち向かい、それでもこの列島に暮らし続けてきた人々の姿を、地学・考古学・遺伝子など様々な角度から見ていくことで、「自分はひとりで生きているのではない」という実感が湧いてくるといいます。

視聴者に向けても、「日本人らしさ」が地学から始まり、DNAを通じて今の自分たちにつながっていることを知ることで、自分の中に隠れている強さを再認識してほしい、というメッセージが語られました。日本列島という「災害の多い場所」に生きる意味を考えるきっかけにもなりそうです。

「日本人らしさ」を考える、やさしい入口として

「日本人らしさ」というと、構えた議論になりがちですが、今回の「タモリ・山中伸弥の!?」は、映像の迫力やタモリさんの軽妙なトークもあって、子どもから大人まで楽しめる内容になっています。巨大噴火のCGや、海底カルデラの探査映像は、単純に「見ているだけでも面白い」仕上がりです。

そのうえで、「礼儀正しさ」「勤勉さ」「我慢強さ」といった言葉に、少し違った意味合いが加わります。災害の多い土地で、みんなで協力しなければ生き残れなかったからこそ育まれた気質だと考えると、「日本人らしさ」は単なるステレオタイプではなく、「この土地で連綿と続いてきた生き方」そのものに見えてきます。

タモリさんの「縄文人が3コ上の先輩」という言葉のように、過去の人々を身近に感じることで、今の自分たちの生き方にも、少しだけ誇りと優しさを持てるようになるかもしれません。

これからの「日本人らしさ」をどう育てていくか

番組では、鬼界カルデラの噴火など過去の出来事を紐解きながら、「今後の日本人の生き方」について考える視点も提示されました。気候変動や巨大地震など、現代もまた別の形で自然の厳しさに直面しています。

だからこそ、過去に何度も危機を乗り越えてきたご先祖の知恵や気質を振り返ることには、大きな意味があります。協調性や助け合いの精神、変化へのしなやかな適応力――。それらは、これからの社会を生きるうえでも、大切な力になるはずです。

「タモリ・山中伸弥の!?」が提示したのは、「日本人らしさ」を単に褒めたり批判したりするのではなく、科学的な視点で一度分解し、その上で、自分たちはどんな未来を選びたいのかを考えようという、静かな提案でもあります。

巨大噴火と遺伝子という一見かけ離れたテーマから、「日本人らしさ」という身近な問いへとつながっていく今回の放送。タモリさんと山中伸弥さんという、異なる分野で活躍する二人がタッグを組むことで、科学と歴史がぐっと身近になる時間となりました。

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