小豆島オールロケ映画「海辺へ行く道」 身近な島の魅力と新たな映画体験【香川】

2025年夏、小豆島で全編ロケを敢行した映画「海辺へ行く道」が、全国公開を間近に控えています。国内外の映画祭に評価され、地域とともに作り上げてきた本作は、観る者に深い共感と新鮮な驚きを与える作品として注目を集めています。

映画「海辺へ行く道」とは?— 原作・スタッフ・放映情報

「海辺へ行く道」は、三好銀さんによる人気漫画を原作に、横浜聡子監督がメガホンを取った群像コメディ映画です。2023年夏に小豆島で全編オールロケ撮影が行われました。瀬戸内海に浮かぶ自然豊かなこの島で、出演者やスタッフは島の空気や風景、そして地域の人々との交流を作品に織り込みました。

本作は、2025年2月のベルリン国際映画祭で特別表彰を受けるなど、すでに高い注目を集めています。瀬戸内国際芸術祭2025にも映画として初めて正式参加しており、芸術的観点からも多くの評価を得ています。

  • 公開日:全国公開間近。香川県では8月22日、Cafe Style Hazukiで特別上映。
  • 監督・脚本:横浜聡子(代表作「砂の花」等)
  • プロデューサー:和田大輔
  • 原作:三好銀「海辺へ行く道」
  • 主な出演者:原田琥之佑、他有名俳優陣

全編小豆島ロケ— 「初めてなのに、初めてじゃない感覚」と語る現場

横浜聡子監督は「海がきれいで、印象的な場所を探していた中で小豆島に一目惚れした」と語っています。「これほど映画の風景に心が吸い込まれるのは珍しい」と、島の自然の持つ力を絶賛。また、主演の原田琥之佑さんも「初めて来たのに、どこか懐かしい、初めてじゃない感覚。好きになった」と小豆島への愛着を表現しています。

本作はアーティストの移住を支援する海辺の小さな街を舞台に、自由奔放な子どもたちと、秘密と嘘を抱える大人たちを描いたコメディ。地元の住民もキャストとして参加し、小豆島の日常や人情が色濃く反映されています。

全国公開前に特別イベント多数— 地元ならではの体験が続々

  • 小豆島無料上映会(土庄町立中央公民館、7月26日開催)
    映画本編の上映に加えて、横浜聡子監督や和田大輔プロデューサーによるトークイベントも併催され、映画製作の裏側や撮影地の秘話など、ここでしか聞けない話が披露されました。
  • 小豆島ロケ地ツアー(7月27日開催)
    実際の撮影地を巡る特別ツアーが実施。監督も同行し、映画に登場するランチを食べながら現場の雰囲気を体感できる貴重な機会となりました。申し込みはネットに加え、現地の案内所やメールでも受付。
  • 香川県内でのミニシアター上映
    公開前後に地元カフェや施設でも上映を実施、地元住民との交流機会が増えています。

多様なキャラクターと小豆島の風景— 8人の個性が彩る物語

映画では個性豊かな8人のキャラクタービジュアルも解禁。登場人物それぞれが小豆島の自然や日常に溶け込みつつ、多彩な人間模様を展開します。人生につまずき、再起を目指す者、島に新たな夢を見出す者、そして島と共に生きる地元住民。映画を通じて、小豆島という土地がキャラクターとともに成長し、変化していく様子が描かれるのです。

キャストは実力派俳優のほか、現地住民や実際の観光ガイドも一部出演。リアリティある会話や空気感、ノスタルジックな光景が観る人の記憶に残ります。

なぜ今「小豆島」なのか?— 地域と映画、芸術祭の相乗効果

小豆島は近年、移住先や観光地としても注目が集まっています。映画の撮影を通じて、地元住民の協力と地域資源の活用が進み、映画がきっかけとなった新しい街おこしや観光促進も期待されています。その象徴が「海辺へ行く道」です。

この映画は、観光地としてだけではなく、日常と非日常、人間関係や生き方の再考といった普遍的テーマを、小豆島という風景とともに描きます。地域と芸術が融合した作品として、今後の地域映画の在り方にも影響を与える重要作です。

「初めてなのに、初めてじゃない」— 監督・出演者が感じた小豆島の不思議な魅力

TBSニュースインタビューの中で、横浜聡子監督は「小豆島の自然や空気感が、物語をより魅力的にした」と語っています。また主演の原田琥之佑さんは「小豆島に降り立った瞬間、この場所に子どものころから通っていたような、どこか懐かしさを感じた」と述べており、スタッフ・キャスト一同が小豆島に特別な思いを抱いて撮影に臨んだことが伝わります。

制作スタッフによると、「この島の人たち、食べ物、風景、すべてが映画の空気感を支えてくれた」とのこと。出演者と地域住民の共同作業は、映画作りの枠を超えたかけがえのない体験をもたらしました。

「海辺へ行く道」— シネママナー映像やアートワークも注目

映画公開に合わせて、劇場マナー動画や特別アートワークも制作・公開されました。8人の登場人物それぞれの個性を表現したビジュアルは、SNSなどで話題に。他にも、撮影裏話や監督メッセージ、キャストのインタビュー動画が順次公開されています。

地域に根差した新しい映画体験— 上映+ツアー+コミュニティ

「海辺へ行く道」は単なる映画鑑賞を超え、上映とロケ地ツアー、地域限定イベントを融合。これは映画とファン、地域住民をつなぐ新しい形の体験型アートイベントです。

  • 上映会後、監督やプロデューサーによるトークで映画の裏側を知れる
  • ロケ地をめぐるツアーで、実際に映画に登場した場所を体感
  • 映画に関わった人々・住民と直接交流できる

イベント参加者からは「自分の暮らす場所がスクリーンに映って新鮮」「映画をきっかけに、小豆島の新たな一面を知ることができた」といった喜びの声が相次いでいます。

「海辺へ行く道」が示す小豆島の未来— 地域と映画の希望

小豆島発のオールロケ映画「海辺へ行く道」は、映像作品としてのみならず、地域の魅力を再発見し、それを外へ発信する媒体となりました。映画の成功が示すのは、映像文化と地域社会の新しい関係の可能性です。

全国公開を前にして、小豆島に足を運ぶ観光客や映画ファンが増えているのもその証拠。「初めてなのに初めてじゃない」、そんな不思議な体験を与えてくれる映画「海辺へ行く道」と小豆島から、今後も目が離せません。

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