2025年9月、日本全国で皆既月食「ブラッドムーン」――3年ぶりの天体ショーに期待

見どころ満載の天体現象、9月7日夜〜8日未明のスケジュール

2025年9月7日(日)の夜から8日(月)の未明にかけて、日本全国で「皆既月食」が観測されます。今回の皆既月食は、約3年ぶりとなり、多くの天体ファンや家族連れが夜空を見上げる絶好の機会となっています。皆既月食とは、月が地球の影に完全に入る現象で、その間、月は赤銅色の輝きを放ちます。この現象は「ブラッドムーン」(Blood Moon、赤い月)という愛称でも親しまれています。

  • 現象発生日:2025年9月7日(日)夜〜8日(月)未明
  • 皆既月食(ブラッドムーン)観測が可能:日本全国
  • 皆既月食の観測可能時間:約82分間(全過程では約3時間半)
  • 前回の全国的な皆既月食:2022年11月8日(約3年ぶり)

観測時間の詳細

国立天文台の発表などをもとに、今回の皆既月食の正確な進行時刻を整理しました(日本国内共通)。

  • 半影食の始まり  :8日(月) 0時27分頃
  • 部分食の始まり  :8日(月) 1時27分頃
  • 皆既食の始まり  :8日(月) 2時30分頃
  • 皆既食の最大   :8日(月) 3時12分頃
  • 皆既食の終わり  :8日(月) 3時53分頃
  • 部分食の終わり  :8日(月) 4時57分頃
  • 半影食の終わり  :8日(月) 5時57分頃

皆既の状態は2時30分から3時53分まで続き、およそ1時間23分ものあいだ、月が真っ赤に染まった幻想的な世界をじっくり堪能できます。

皆既月食――なぜ月が「赤く」見えるの?

月食の仕組みは、太陽・地球・月が一直線に並び、地球の影が月を覆うことで起こります。皆既月食の際、太陽光は地球の大気に屈折し、一部だけが月に届きます。この時、青い光は散乱しやすく消え、赤い光のみが地球の大気を通って月まで届きます。そのため、月は赤銅色やオレンジ色、赤色に輝き、これが「ブラッドムーン」と呼ばれる所以です。

全経過をフルで楽しめる――日本の観測好条件

今回の皆既月食は、日本全域で最初から最後までの経過を観察することができるという、非常に恵まれた観測条件となっています。都市部でも天候次第で観測可能ですが、街明かりが少なく空がひらけた場所に行くと、より感動的な赤い月を目撃しやすくなります。

また、北米や南米の多くの地域では今回の日程が現地の日中にあたり、夜の月食観測は難しいものとなりますが、アジア・オーストラリア・ヨーロッパ・アフリカなどでも部分的あるいは全経過の観測が楽しめる予想です。

9月の満月は「コーンムーン」――豊かな自然と季節の意味

今回の皆既月食は、ちょうど満月の時期に重なります。今年9月の満月は、「コーンムーン(Corn Moon)」とも呼ばれており、アメリカ先住民の伝承がその由来です。9月はトウモロコシをはじめとする農作物の収穫期であり、1年の実りを祝う季節となっています。

他にも、木の実の収穫時期であることから「ナッツムーン」、鹿のオスが盛んに鳴く時期を指し「ラッティングムーン」とも呼ばれる9月の満月。新しい1年の実りへの願い事や、新たなスタートを願うにもふさわしい満月です。

観測するときのポイントと注意点

  • 観測時は気温変化や防寒対策に注意しましょう。秋の夜間は思ったより冷え込むことがあります。
  • 天気予報をよく確認し、晴れる地域や開けた空を探すこと。月がなるべく高く昇る位置(南の空)で観察するのがおすすめです。
  • 双眼鏡や望遠鏡を使うと、月面の模様や赤色のグラデーションがより鮮明に見えます。
  • 都会の明るい場所でも観測はできますが、ビルや街路樹が視界を遮らない場所で東の空に注目しましょう。
  • お子さんやご家族と一緒に、楽しく安全に観測を楽しみましょう。

過去の皆既月食とのちがいは?

直近で日本全域で楽しめた皆既月食は2022年11月8日でした。今回の皆既月食も全国で観測でき、時間も深夜から未明にかけてじっくり見ることができます。3年前は惑星食と重なるレアな現象となり話題を呼びましたが、2025年は純粋に「赤い月」に注目が集まります。

世界中で注目される宇宙ショー――ライブ中継・SNSの活用も

国内外の天文台やメディアは、皆既月食の様子をライブ中継する予定です。千葉県のウェザーニューススタジオや各地から生中継され、多くの視聴者がオンラインでも「血の月」の神秘に触れることになります。加えて、SNSを通じて自分の撮影した月食の写真や感想をシェアすることで、天体イベントを世界中の人々と分かち合うことができます。

歴史や文化に残る皆既月食

皆既月食は古来より世界中で神秘的な現象として受け止められてきました。日本でも「赤い月」は吉兆・不吉などさまざまな伝説や習慣の題材になっており、多くの詩歌や文学にも登場します。現代では、最新の科学知識によってその正体が明らかにされ、誰もが夜空を楽しめるイベントとなりました。

この夜だけの絶景を見逃さないで

3年ぶりの貴重な天体ショー、皆既月食「ブラッドムーン」。秋の夜長、ご家族や友人と一緒に夜空を見上げ、宇宙の神秘を感じてみてはいかがでしょうか。次に日本全国で皆既月食を見られるのは2028年までお預けとなる見込みなので、この機会をどうぞお見逃しなく。

まとめ:2025年9月7日~8日 未明の皆既月食

  • 観測日時:2025年9月7日夜~8日未明
  • 皆既月食のブラッドムーンが全国的に観測可能
  • 今回は「コーンムーン」とも呼ばれ、秋の収穫と新たな祈りのタイミング
  • 次回の全国的な皆既月食は2028年まで見られません

今宵、日本の空に浮かぶ「赤い月」は、多くの人々の心に残る絶景となるでしょう。ぜひ、この一夜限りの天体ショーをお楽しみください。

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