青春の歌声がNHKホールに響き渡る――第92回Nコン2025 高校の部を徹底レポート

NHK全国学校音楽コンクール(Nコン)とは?

NHK全国学校音楽コンクール(通称Nコン)は、国内最大級の学校合唱コンクールです。小学校、中学校、高等学校の児童・生徒が各ブロック大会を勝ち抜き、全国から選ばれた計33校が東京・NHKホールの舞台でその歌声と想いを競い合います。この歴史あるコンクールは、出場したすべての生徒たちにとって、かけがえのない青春の1ページとなっています。

2025年・第92回の概要

  • 開催日:2025年10月11日(土) 高校の部
  • 会場:NHKホール(東京都渋谷区)
  • 主催:NHK、全日本音楽教育研究会
  • 後援:文化庁、全国放送教育研究連盟
  • 全国大会出場校:計11校(各ブロック代表)

課題曲テーマ「空」――高校の部は野木亜紀子さん作詞『惑星そぞろ』

小学校・中学校・高校ごとに異なる課題曲が毎年設定されるNコン。2025年・第92回の高校の部の課題曲は、
人気ドラマ『アンナチュラル』『獣になれない私たち』などを手掛けた脚本家野木亜紀子さん作詞、作曲家名田綾子さん作曲の『惑星そぞろ』でした。
“空”というテーマのもと、一人ひとりの夢や心の広がりを歌にのせて届ける作品で、各校の個性豊かな表現が光りました。

2025年・高校の部 全国大会出場校一覧

  • 香川県立坂出高等学校(四国ブロック代表)
  • 大妻中野高等学校(関東甲信越ブロック代表)
  • 頌栄女子学院高等学校(関東甲信越ブロック代表)
  • 鹿児島高等学校(九州・沖縄ブロック代表)
  • 福島県立安積黎明高等学校(東北ブロック代表)
  • 専修大学松戸高等学校(関東甲信越ブロック代表)
  • 名古屋市立向陽高等学校(東海北陸ブロック代表)
  • 出雲北陵高等学校(中国ブロック代表)
  • 福島県立郡山高等学校(東北ブロック代表)
  • 武庫川女子大学附属高等学校(近畿ブロック代表)
  • 札幌山の手高等学校(北海道ブロック代表)

各学校は地方大会を経て、合唱・表現・音楽的技術の粋を競いました。

輝いた合唱魂!専修大学松戸高等学校が金賞受賞

今年の高校の部で金賞(日本一)に輝いたのは、千葉県の専修大学松戸高等学校です。2年連続の全国大会出場であり、身体を使ったテンポ練習や、それぞれの個人技術を高める1対1の集中練習を積極的に取り入れ、チーム全体でレベルアップ。全員で息を合わせた演奏を見事に実現し、聴衆と審査員に強い感動を届けました

専大松戸高生たちにとって、この舞台は、日々の練習や仲間と歩んできた時間、そのすべてが昇華する、特別な場所。演奏後の生徒の表情からは、達成感と誇り、そしてこれからも音楽と共に歩んでいく覚悟が感じられました。

福島県立郡山高等学校が銀賞――「何千時間も愛した曲、伝えきった」

銀賞は福島県立郡山高等学校(福島県)。担当した生徒は「何千時間も愛してきた曲、伝えきった」と胸を張りました。
郡山高等学校の演奏は、緻密なハーモニーと一体感、そして何より曲への深い愛情に満ちており、観客を魅了しました。惜しくも金賞には届かなかったものの、その情熱あふれる音楽表現には多くの共感と感動の声が寄せられました。

銅賞は大妻中野高等学校・頌栄女子学院高等学校

銅賞は、東京都の大妻中野高等学校と頌栄女子学院高等学校の2校が受賞。どちらも関東甲信越ブロック代表校としてレベルの高い演奏を披露し、会場から大きな拍手が送られました。
大妻中野は、コンクール常連校として知られ、毎年高い水準の合唱を目指しています。頌栄女子学院も独自の美しいハーモニーが際立ち、見事な表現力を見せました。

中国ブロック代表・出雲北陵高等学校は優良賞

島根県の出雲北陵高等学校は「優良賞」を受賞しました。中国地方代表として堂々たる合唱を披露し、地域の期待に応えました。惜しくも入賞には届きませんでしたが、地元での活躍ぶりとチャレンジ精神は、多くの人々に勇気と感動を与えました。

その他の受賞・地区代表校にもエールを

惜しくも入賞には届かなかった学校のひとつひとつにも、舞台を踏みしめた力強い想いと挑戦の物語がありました。各代表校には地域を背負って戦う責任感があり、どの演奏も甲乙つけがたいものでした。
例えば、札幌山の手高等学校は雪国北海道の澄んだ空気をそのまま表したような透明感ある歌声が印象的でした。鹿児島高等学校や名古屋市立向陽高等学校なども、会場の雰囲気をがらりと変えるほど情熱を注ぎました。

参加者や指導者たちの声――青春と成長の証

  • 「このステージに立てたこと、仲間と歌えたことが一生の宝物です」
  • 「歌を通して人とつながる温かさ、自己表現の喜びを知りました」
  • 「悔しい思いもあったけど、この舞台にかけてきた努力は決して無駄ではない」

指導者からは「一人ひとりの心の成長が、合唱の質にあらわれていた」といった感動のコメントも。Nコンは、単に賞を競う場ではなく、合唱という共同作業を通じて人間的な成長を促し、生涯誇れる経験を積む場であることが改めて示されました。

Nコンの意義――「歌は心をつなぐ」

長い歴史を刻み続けるNコン。コロナ禍による中止(2020年度)や開催形態の変化などを経て、再び全国から歌声が集うこの場所は、次の世代へとつながる創造と希望の舞台です。

今後の日程も注目

  • 小学校の部:2025年10月12日(日)
  • 中学校の部:2025年10月13日(月・祝)

それぞれNHK Eテレで生放送され、全国の視聴者に子どもたちの真剣な歌声が届けられます。今後の小学校・中学校の部の熱戦にも注目が集まります。

おわりに――記憶に残る一日、「歌の未来」への希望

Nコンは、日本の学校音楽界において特別な意味を持つコンクールです。それぞれの合唱団が作り上げてきた日々、そして舞台で響かせた歌声は、聴く人々の心に深く残るものとなりました。
本気で歌うこと、仲間と向き合うこと、困難を乗り越えること――Nコンで得られる学びや喜びは、音楽を超えて誰かの人生を豊かにし続けています。

専修大学松戸高等学校の皆さん、本当におめでとうございます。参加したすべての学生、指導者、応援してきた関係者に、心からの拍手を贈ります。歌声が未来への希望となる瞬間が、これからもNHKホールに響き続けていくことでしょう。

参考元