サウジアラビアが世界の注目を集める――2030年「リヤド万博」と2025年大阪・関西万博サウジアラビア館の最前線

サウジアラビアが、国際的な大舞台で再び大きな存在感を見せています。2030年には首都リヤドで大規模な万国博覧会(リヤド万博)が開催予定で、その驚異的なスケールや革新的な都市設計が話題を集めています。一方、2025年の大阪・関西万博では、サウジアラビア館が伝統文化と現代の技術が融合した展示やイベントで多くの来場者を魅了しています。本記事では、この2つの最新トピックを中心に、サウジアラビアの万博への取り組みと見どころを分かりやすくお伝えします。

2030年リヤド万博――圧巻のスケールと未来都市の誕生

  • 開催地:サウジアラビア王国 リヤド
  • 開催期間:2030年10月1日~2031年3月31日
  • テーマ:「The Era of Change: Together for a Foresighted Tomorrow(変化の時代 共に先見性のある明日へ)」
  • 予想来場者数:4,000万人以上
  • 会場面積:約600万平方メートル(大阪・関西万博の約4倍)
  • 会場設計:ドイツの建築事務所LAVA(Laboratory for Visionary Architecture)が担当

リヤド万博の最大の特徴は、その圧倒的なスケールにあります。会場はリヤド北部、キング・サルマン国際空港の近くに建設され、東京ディズニーランドの約10倍、大阪・関西万博の約4倍という巨大な敷地が用意されます。この広さは、来場者の多様な体験を可能にし、万博が新たな都市インフラの基盤となることを示しています。

設計にはサウジアラビアの特徴的な「ワディ(涸れ川)」の自然地形が取り入れられ、自然と共存する都市設計が進められます。会場内には生物多様性を考慮した緑地や歩行空間が整備され、快適な気候環境もデザインの一部です。

さらに、リヤド万博会場は閉幕後もそのまま活用され「グローバル・ビレッジ」として、新たな都市機能を担い続ける計画です。単なるイベントの場ではなく、持続可能な都市開発と未来社会の実験場として発展していくことが期待されています。

開催地決定の舞台裏――リヤドの圧勝

2030年万博の開催地選出は、リヤド、釜山、ローマの三都市による熾烈な争いでしたが、最終投票でリヤドが119票を獲得し、他都市を大きく引き離して開催権を勝ち取りました。釜山は29票、ローマは17票と、リヤドの強力な招致活動が際立ちました。

世界から集まる期待――中東2度目の万博開催

中東での万博開催は、2021年のドバイ国際博覧会に次いで史上2度目です。サウジアラビアは経済・社会の変革「ビジョン2030」を推進しており、国内外からの投資誘致や観光振興、新しい都市・生活モデルの発信の場としてリヤド万博を最大限に活用する構えです。

2025年大阪・関西万博「サウジアラビア館」――伝統と革新が交差する体験型展示

2030年のリヤド万博に先駆け、2025年大阪・関西万博のサウジアラビア館も大きな話題となっています。ここでは、サウジアラビアの伝統文化と現代の技術が融合したさまざまなプログラムが展開されています。

サウジアラビア館の注目イベント・展示

  • 「隼匠&ハヤブサ」出演:サウジアラビアが誇る伝統の鷹匠文化を、実演やライブパフォーマンスで体験可能。匠の技や鷹の美しい動きが間近で見られます。
  • アラビアヒョウとアラブ馬の人形劇:サウジの野生生物と文化遺産を表現する人形劇がスタート。家族連れや子ども達にも人気で、自然環境保護のメッセージも伝えられます。
  • パビリオン建築と設計:中東建築の象徴的な意匠と持続可能性が高い設計思想が融合。最新の建築技術や再生可能エネルギーを活用しています。

展示は「過去・現在・未来」という3部構成で、伝統芸能や歴史的な遺産、美術工芸品から、現代のエネルギー戦略やサステイナブルな社会、AI活用といった技術革新まで、サウジ社会の多様な側面を紹介しています。来場者は、インタラクティブな体験型展示を通じて、文化や科学、教育の分野に広がるサウジアラビアの新たな可能性に触れることができます。

国際連携と未来への貢献――日・サウジEXPO投資フォーラム

大阪・関西万博会場内では、日本・サウジアラビア両国による「日・サウジEXPO投資フォーラム」が開催されました。本フォーラムは、両国間の戦略的パートナーシップ「日・サウジ・ビジョン2030」に基づき、経済、エネルギー、ヘルスケア、エンターテイメント分野での協力を深める場となっています。サウジアラビア投資大臣をはじめ政府や企業関係者が多数参加し、次世代に向けたイノベーションと国際連携が進められています。

万博を通じて広がるサウジアラビアの魅力

2030年リヤド万博と2025年大阪・関西万博サウジアラビア館は、サウジアラビアの「変革の時代」を象徴する大きなイベントです。これらの万博を通じて、石油依存からの脱却を目指す「サウジ・ビジョン2030」、環境に配慮した未来都市づくり、伝統と現代性が共存する文化の発信など、サウジ社会の多様な顔が世界へ発信されています。

日本との経済連携や観光・文化交流も今後一層活発になることが予想され、世界各国からの投資や技術も集まり、更なる発展が期待されます。「リヤド万博」は、規模と理念の両面で国際社会に新たなインパクトを与える歴史的なイベントとなるでしょう。

今後に向けて――世界とのつながりを深める新時代へ

サウジアラビアは、これまでの産油国というイメージから脱却し、「未来都市」として新たな価値と役割を国際社会に打ち出そうとしています。万博という舞台は、持続可能で多様性のある社会の実現、そしてイノベーションの拠点にサウジアラビアが生まれ変わるための絶好の機会です。2030年リヤド万博、2025年大阪・関西万博の両方を通じて、サウジアラビアがどのように変化し、世界の未来に貢献していくのか――その挑戦に今、世界中が注目しています。

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